《本編 完結 続編開始》29歳、異世界人になっていました。日本に帰りたいのに、年下の英雄公爵に溺愛されています。

かざみはら まなか

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第9章 オレはケレメイン大公国の大公妃殿下です。

326.王女様の情報源に、オレがケレメイン公爵の伴侶として一緒に仕事をしていた人は含まれていませんでした。ヤグルマさんに会いたいなー。

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オレは、大公妃予算の横領の内訳を思い出した。

王女様が結婚式で使うものと、新婚夫婦に必要なものが大半を占めていた。

「王女様は、クロードとの結婚を夢見て、結婚式と新婚生活に向けての準備以外に何をしてきたんだ?」

「結婚前の女性がすることなんて、結婚式準備と新婚生活の手配の他にはない、ずべし。」
と王女様。

王女様の、『結婚前の』の定義についてなんだけどさ。
生まれてから未婚の間は、結婚する前、に当てはまるわけじゃないよな。

「王女様とクロードは、今回、王女様がケレメイン大公国に入国するまで、面識がなかった。

王女様は、クロードについてどんなことを知っていたんだ?」

クロードは、王女様について、公表されている以上の情報は知らない。

「クロード様について、お生まれになった瞬間の出来事から全て、わたくしが知らないことなどない、ずべし。」
と王女様。

クロードの生まれた瞬間から?

子どもの頃のクロードは、ケレメイン公爵領でイキイキと過ごしていたんだったな。

クロードに関するエピソードは、ケレメイン大公領内の人に聞けば色々と知ることができるな。

でも、腑に落ちない。

クロードに関する全ての出来事と言いながら、クロードがケレメイン公爵時代に結婚していたことを、王女様は知らなかった。

全て、の範囲は、文字通りの全てじゃないのかな。

「王女様は、クロードが結婚していた時期について、知らなかったよな?

王女様は、自分でクロードについての情報を集めていなかったのかな。」

「わたくしという花嫁を待たせたまま、クロード様が恥知らずとご結婚してしまわれた、と多くの民が嘆き悲しんでいた、ずべし。」
と王女様。

王女様の主な情報源は、ケレメイン公爵領だったときに、公爵領の領都の使用人だった人に限定されているということかな。

ケレメイン公爵領で、オレと交流していた公爵家の使用人や公爵領の文官は、王女様の情報源じゃないんだな。

なんか、嬉しい。

めちゃくちゃ嬉しい。

オレが、ケレメイン公爵の伴侶として、ケレメイン公爵領でしてきたこと、オレが築き上げてきた信用が、オレの知らないうちにゼロになったわけじゃないということが。

これが、公爵の伴侶としてやってきた甲斐があるっていうことだよな。

ああ、嬉しい。

王女様は、マウンテン王国の王都にあるケレメイン公爵家の王都邸の使用人からも、情報を得ていない。

ケレメイン公爵家の王都邸の使用人とは、ヤグルマさんを筆頭に、クロードに公爵家の王都邸に連れてこられてからの付き合い。

ケレメイン大公国を興してからは、マウンテン王国の王都にいるケレメイン大公家の使用人の誰とも会えていない。

ヤグルマさーん。

オレは、今、ヤグルマさんに無性に会いたい。

ヤグルマさんをはじめとする、ケレメイン公爵家の王都邸にいた使用人。

ケレメイン公爵領時代に、ケレメイン公爵の伴侶として、オレが関わったケレメイン大公国の文官とケレメイン大公家の使用人。

オレを実際に見知っていて、一緒に仕事をした人は、オレの情報をサーバル王国の王女様に渡していないという気づきが、オレを奮い立たせた。

「王女様は、ケレメイン大公国の大公妃予算を横領させて、結婚式と新婚用の色々を作らせたよな?

王女様は、結婚式について詳しいのかな?」

近々、ケレメイン大公国では、国をあげて大々的に、結婚式をあげる予定があるんだよな。

女神様が主賓であげる結婚式。

愛こんにゃく家と、こんにゃくの。
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