《本編 完結 続編開始》29歳、異世界人になっていました。日本に帰りたいのに、年下の英雄公爵に溺愛されています。

かざみはら まなか

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第9章 オレはケレメイン大公国の大公妃殿下です。

324.オレが、サーバル王国の人に望むことは、一つです。仕事には誠実であること。そのたった一つをサーバル王国の人に飲み込ませたいんです。

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オレが、サーバル王国の王女様と外交団員に望むことは、そう多くないんだよなー。

ケレメイン大公国の看板を背負ってする仕事には、真摯に取り組むこと。

それだけ。

腹の中では、どう考えていても構わないとオレは割り切った。

オレとクロード、ケレメイン大公国に対するこれまでのサーバル王国の対応と外交団員の言動を照らし合わせて、サーバル王国の人の心は、一朝一夕に解決する問題じゃないと分かったから。

今の段階で、サーバル王国の人の心情に踏み込むことは、勇み足。

だから、心は求めない、今は。

ただ、仕事には、誠実であってほしい。

オレが、サーバル王国の人達に求めているのは、仕事をする本人の心構えと仕事をする能力。

サーバル王国に置くケレメイン大公国大使館の業務が滞りなく進められ、大使館が大使館として機能すること。

仕事をちゃんとやれ、やらなかったら、クビだ、と今のオレが、言うのは、百害あって一利なし。

オレ、採用責任者だから。

人事担当として、採用した人を現場に出せるような意識改革をしないとな。

サーバル王国の人の意識を変えるためには、どうするかなんだよなー。

日本にいるときとは、状況が違いすぎる。

日本にいるときのオレの職場は、就職活動して採用された人しかいなかったからな。

お金を稼ぎたいとか、職場が近いとか、理由は色々だけど、そこで働きたいから、働きにきている人しかいなかった、オレの周りには。

中には、辞めるほどの理由がない、次に行く理由がもっとない、と言っている人もいた。

その人は、文句をつけつつも、仕事をするからには、いい加減な仕事はしないという人だったなー。

オレの目の前にいるサーバル王国の人は、本人の求職活動の結果、オレに採用された、わけじゃない。

サーバル王国は、オレがいないケレメイン大公国で、クロードの横に王女様を並べ、サーバル王国の属国として、ケレメイン大公国を統治しようとしていた。

オレの下で、は、もとより、純粋にケレメイン大公国のためだけに仕事をするなんてことは、微塵も考えていなかった人達。

サーバル王国が、ケレメイン大公国を占領する計画を立てたのは、今のケレメイン大公国を繁栄させたいから、じゃない。

オレを亡き者にした後のケレメイン大公国を、サーバル王国に利をもたらす属国にするために、派遣された人員。

オレの目の前にいる人達は、属国を統治するために、サーバル王国からやってきた、選ばれた人達だった。

ケレメイン大公国に入国してすぐなら、サーバル王国にただ送り返すだけで良かった。

けれど、もう引き返せないところまで来てしまったんだよな。

オレも、サーバル王国の人達も。

引き返せないなら、突き進むしかない。

どこへ突き進むか?

サーバル王国の人達に、サーバル王国のために、もう一花咲かせようという考えを持たせないで、サーバル王国へ帰らせる。

それが、最低条件だな。
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