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第9章 オレはケレメイン大公国の大公妃殿下です。
321.サーバル王国の王女様は、首振り人形じゃないようです。オレは、嘘つき扱いされています。オレは女神様の裁定理由に含みを持たせたいんです。
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ここらで、ジャブをうってみるかな。
「王女様。
オレとクロードがいる前で、サーバル王国の国王陛下夫妻を代表とするサーバル王国の外交団と王女様が、ケレメイン大公国の地に足をつけたときのことを思い出せ。
オレとクロードは、初めましての王女様に、王女様を招待していないこと、呼んでいないから速やかに帰国するように、と王女様自身に伝えたよな。
なぜ帰らなかった?」
オレは威圧的にならないように気をつけながら、王女様に問いかけた。
「わたくしを招待していないなどと、まだそんな嘘をつく、ずべし。」
と王女様。
王女様は、サーバル王国の同行者からのトスがあがりそうにないことを察して、自身の言葉で話すことにしたようだ。
打ちひしがれて、か弱そうだった風情は、すっかり鳴りをひそめている。
「嘘は、一つもないんだけどなー。なんで嘘だと思うのかな?」
サーバル王国の人は、王女様も含めて、オレが嘘つきだと思っているようだぞ。
嘘つきなオレの言うことは信用できないから、女神様の出方をうかがっていたんだなー。
失礼極まりない。
女神様がオレの話を否定しないことから、オレが、嘘をついていないと察したサーバル王国の同行者は、今後のプランを構築中かな?
オレの話したことは、
『サーバル王国の王女様の押し売りは勘弁してください。
王女様には面と向かって、お宅は不要だよ、お引き取りください、と伝えましたよね。
女神様の結んだ縁があるから、ケレメイン大公クロードと王女様の結婚は、王女様が、ケレメイン大公国に来ても来なくても、最初からなかったんです。
断っているのに、自信満々に居座った王女様に対して、ケレメイン大公夫妻はドン引きしていました。』
だからな。
オレの狙いは、女神様とオレとクロードへの印象のズレを利用して、女神様が、裁定を下した理由に、含みを持たせること。
サーバル王国の人には、女神様が結んだクロードとオレの縁を、人が人の都合で切り離そうとしたから女神様の裁定が下ったんだ、と認識してもらいたいんだよなー。
女神様の真実は、女神様のお気に入りの英雄クロードへの扱いが気に食わないから裁定を下した、なんだけどさ。
「わたくしを呼んでいないなど、そんなあからさまな嘘が、いまだに通用するなど、ずべし。
クロード様と結婚し、この国の国母になるわたくしが、クロード様の初めての外交の場に居合わせないなど、あってはならないこと、ずべし。」
と王女様。
王女様は、理由もわからず、神輿に乗せられていたわけではないんだな?
帰れと促されて、頑なに帰らなかったのは、王女様の意地と信念と勝利を疑わない傲慢さのなせるわざかな?
今後のことを考えると、王女様の意思がはっきりしている方が、オレは助かる。
正直なところ、誰かの首振り人形の王女様だったら、ケレメイン大公国として、王女様に友好大使は任せられない。
友好大使は、名誉職だからな。
王女様の下につく実務担当は、ケレメイン大公国の柴犬人。
部下の勤労意欲を低下させるのが、上司の王女様、とか洒落にならない。
柴犬人は、王女様を評価していた。
王女様には、柴犬人の評価を裏切らない仕事をしてもらいたい。
柴犬人は、クロードのご両親が信頼していた使用人だからさ。
柴犬人は、裏切らなければ、一生をケレメイン大公クロードに捧げていてもおかしくなかった使用人だ。
ケレメイン大公家の使用人の中でも、重要な使用人を部下にしている王女様の友好大使としての仕事の成果が、ゼロやマイナスだったら、采配したオレの手腕も問われる。
任命責任で、足を引っ張られるのは、避けないとな。
任命責任を問われないくらいに盤石な地盤がないオレは、地固めが大事。
「オレとクロードは、ケレメイン大公夫妻として、国王陛下ご夫妻をはじめとする既婚者のみを外交団として招待した。
未婚者は誰であろうとケレメイン大公国への入国を断る、という内容にサーバル王国が合意したから、外交団を受け入れた。
大公妃であるオレが直接帰れと言っているにも関わらず、クロードにすり寄ってくる王女様。
王女様を止めない国王陛下ご夫妻。
外交団の団員を既婚者に限定したのに、サーバル王国から来た外交団の団員は、未婚者の方が多かった。
サーバル王国の対応は、ケレメイン大公国を馬鹿にしている、というレベルじゃないぞ。
クロードの初めての外交にいないなんてあり得ない、というのが、ケレメイン大公国に押しかけた王女様の動機なら。
サーバル王国は、ケレメイン大公国を、サーバル王国の属国にしたつもりだったのかな?」
さて、王女様。
オレが王女様の口から聞きたいのは、自己弁護じゃないぞ。
「王女様。
オレとクロードがいる前で、サーバル王国の国王陛下夫妻を代表とするサーバル王国の外交団と王女様が、ケレメイン大公国の地に足をつけたときのことを思い出せ。
オレとクロードは、初めましての王女様に、王女様を招待していないこと、呼んでいないから速やかに帰国するように、と王女様自身に伝えたよな。
なぜ帰らなかった?」
オレは威圧的にならないように気をつけながら、王女様に問いかけた。
「わたくしを招待していないなどと、まだそんな嘘をつく、ずべし。」
と王女様。
王女様は、サーバル王国の同行者からのトスがあがりそうにないことを察して、自身の言葉で話すことにしたようだ。
打ちひしがれて、か弱そうだった風情は、すっかり鳴りをひそめている。
「嘘は、一つもないんだけどなー。なんで嘘だと思うのかな?」
サーバル王国の人は、王女様も含めて、オレが嘘つきだと思っているようだぞ。
嘘つきなオレの言うことは信用できないから、女神様の出方をうかがっていたんだなー。
失礼極まりない。
女神様がオレの話を否定しないことから、オレが、嘘をついていないと察したサーバル王国の同行者は、今後のプランを構築中かな?
オレの話したことは、
『サーバル王国の王女様の押し売りは勘弁してください。
王女様には面と向かって、お宅は不要だよ、お引き取りください、と伝えましたよね。
女神様の結んだ縁があるから、ケレメイン大公クロードと王女様の結婚は、王女様が、ケレメイン大公国に来ても来なくても、最初からなかったんです。
断っているのに、自信満々に居座った王女様に対して、ケレメイン大公夫妻はドン引きしていました。』
だからな。
オレの狙いは、女神様とオレとクロードへの印象のズレを利用して、女神様が、裁定を下した理由に、含みを持たせること。
サーバル王国の人には、女神様が結んだクロードとオレの縁を、人が人の都合で切り離そうとしたから女神様の裁定が下ったんだ、と認識してもらいたいんだよなー。
女神様の真実は、女神様のお気に入りの英雄クロードへの扱いが気に食わないから裁定を下した、なんだけどさ。
「わたくしを呼んでいないなど、そんなあからさまな嘘が、いまだに通用するなど、ずべし。
クロード様と結婚し、この国の国母になるわたくしが、クロード様の初めての外交の場に居合わせないなど、あってはならないこと、ずべし。」
と王女様。
王女様は、理由もわからず、神輿に乗せられていたわけではないんだな?
帰れと促されて、頑なに帰らなかったのは、王女様の意地と信念と勝利を疑わない傲慢さのなせるわざかな?
今後のことを考えると、王女様の意思がはっきりしている方が、オレは助かる。
正直なところ、誰かの首振り人形の王女様だったら、ケレメイン大公国として、王女様に友好大使は任せられない。
友好大使は、名誉職だからな。
王女様の下につく実務担当は、ケレメイン大公国の柴犬人。
部下の勤労意欲を低下させるのが、上司の王女様、とか洒落にならない。
柴犬人は、王女様を評価していた。
王女様には、柴犬人の評価を裏切らない仕事をしてもらいたい。
柴犬人は、クロードのご両親が信頼していた使用人だからさ。
柴犬人は、裏切らなければ、一生をケレメイン大公クロードに捧げていてもおかしくなかった使用人だ。
ケレメイン大公家の使用人の中でも、重要な使用人を部下にしている王女様の友好大使としての仕事の成果が、ゼロやマイナスだったら、采配したオレの手腕も問われる。
任命責任で、足を引っ張られるのは、避けないとな。
任命責任を問われないくらいに盤石な地盤がないオレは、地固めが大事。
「オレとクロードは、ケレメイン大公夫妻として、国王陛下ご夫妻をはじめとする既婚者のみを外交団として招待した。
未婚者は誰であろうとケレメイン大公国への入国を断る、という内容にサーバル王国が合意したから、外交団を受け入れた。
大公妃であるオレが直接帰れと言っているにも関わらず、クロードにすり寄ってくる王女様。
王女様を止めない国王陛下ご夫妻。
外交団の団員を既婚者に限定したのに、サーバル王国から来た外交団の団員は、未婚者の方が多かった。
サーバル王国の対応は、ケレメイン大公国を馬鹿にしている、というレベルじゃないぞ。
クロードの初めての外交にいないなんてあり得ない、というのが、ケレメイン大公国に押しかけた王女様の動機なら。
サーバル王国は、ケレメイン大公国を、サーバル王国の属国にしたつもりだったのかな?」
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オレが王女様の口から聞きたいのは、自己弁護じゃないぞ。
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