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第9章 オレはケレメイン大公国の大公妃殿下です。
320.オレは、クロードの苦手分野と、クロードが関わらない方がクロードの幸せに繋がる分野を担当すると決めています。オレは、伴侶ですから。
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王女様は、サーバル王国からの同行者に目を向けた。
サーバル王国からの同行者は、王女様に意見を求められて回答しかねている。
女神様の真意がどうあれ、クロードの願いを叶えるために女神様はオレを連れてきた。
女神様の真意を知るのはオレだけ。
オレを排除しようとしたことが、女神様の意にそわないことだったのでは?と考えて、怖気づいたのかなー。
王女様もサーバル王国からの同行者もどちらも無言。
この機会に畳み掛けるぞ。
「オレもクロードも、王女様がクロードと結婚したがっていると知ったのは、オレ達が結婚して、ケレメイン大公国の大公夫妻になってから。」
「そんな後に持ち上がった話では、ずべし。」
と王女様。
「王女様がどうして、クロードとの結婚が決まっていると考えていたのか、は、オレとクロードの感じ方を伝えた後に、まとめて話してほしい。
ケレメイン大公クロードと結婚したいと主張する王女様がいると聞いたオレとクロードは。
サーバル王国の王女様は、権力と権威が好きな女性だと思ったな。」
「わたくしは、違う、そのように卑しくなど、ずべし。」
と王女様。
誇りを傷つけられた、という様子を見せてくれる王女様。
オレは、王女様がどれだけ打ちひしがれようとも、追撃の手はゆるめない。
この場にクロードを連れて来なかった、オレの本音をクロードに伝えることはない。
オレは、オレの伴侶がしないことをやると決めている。
クロードの苦手な分野。
クロードが関わると、クロードが幸せでいられなくなる分野。
両方、オレのフィールド。
オレだけのフィールド。
王女様には、自身がしたことを理解してもわらないといけないからな。
誇りを傷つけられたのは、王女様だけじゃない。
失ったものの多さが、傷の深さの度合いが、段違いな男がいるんだよ。
ケレメイン大公国にはさ。
王女様が、周りに言われるままに夢を見てばかりじゃなかったら。
ケレメイン大公国に来てすぐに、現実での立ち位置を王女様が理解して引き返していたなら。
その男は、ここまで傷つかずに済んだ。
王女様。
誰のことだか、分かるかな?
オレが、この話し合いは非公式だと明言して、一緒に連れてこなかった男がいるだろう?
王女様が待っていた男。
王女様が、焦がれて、我が物にしたいと願っている男。
王女様は、男に寄り添うより、自身に男を寄り添わせようとしたな。
オレは、王女様の無知を言い訳に使わせない。
クロードは、オレの伴侶だからな。
仲の良かった両親が魔王による消失で姿を消した今。
クロードにとって、家族のように信頼してきた使用人は、幸せな時間の代弁者だった。
ケレメイン大公家にいた裏切り者をあぶり出せて良かったね、じゃ終われない。
裏切り者なんて、いない方がいい。
裏切り者なんて、組織内から出さないのが一番だ。
使用人の心を揺さぶった誘い文句。
使用人が決断して、実行に移るために、なんの呵責も感じなかった、と王女様は考えていないだろうな?
王女様が、ケレメイン大公国での滞在を強行していなければ。
踏み出さないで済んだ一歩があった。
いくつも。
その一歩が、クロードを追い詰め、苦しめている。
クロードは、決して、苦悩を表には出さない。
弱みになるからな。
クロードは、苦しみを閉じ込めたままにしている。
家内の使用人が信用できないんじゃ、胸の内をさらけ出す場所はどこにもないんだよ。
オレといても、な。
苦楽を共にし、成長を見守られ、これからも支えになってくれることを信じてやまなかった人達の裏切りが、クロードにどれほどの負荷をかけたか。
理解させた上で、王女様に色々話をさせたいと、オレは思っている。
サーバル王国からの同行者は、王女様に意見を求められて回答しかねている。
女神様の真意がどうあれ、クロードの願いを叶えるために女神様はオレを連れてきた。
女神様の真意を知るのはオレだけ。
オレを排除しようとしたことが、女神様の意にそわないことだったのでは?と考えて、怖気づいたのかなー。
王女様もサーバル王国からの同行者もどちらも無言。
この機会に畳み掛けるぞ。
「オレもクロードも、王女様がクロードと結婚したがっていると知ったのは、オレ達が結婚して、ケレメイン大公国の大公夫妻になってから。」
「そんな後に持ち上がった話では、ずべし。」
と王女様。
「王女様がどうして、クロードとの結婚が決まっていると考えていたのか、は、オレとクロードの感じ方を伝えた後に、まとめて話してほしい。
ケレメイン大公クロードと結婚したいと主張する王女様がいると聞いたオレとクロードは。
サーバル王国の王女様は、権力と権威が好きな女性だと思ったな。」
「わたくしは、違う、そのように卑しくなど、ずべし。」
と王女様。
誇りを傷つけられた、という様子を見せてくれる王女様。
オレは、王女様がどれだけ打ちひしがれようとも、追撃の手はゆるめない。
この場にクロードを連れて来なかった、オレの本音をクロードに伝えることはない。
オレは、オレの伴侶がしないことをやると決めている。
クロードの苦手な分野。
クロードが関わると、クロードが幸せでいられなくなる分野。
両方、オレのフィールド。
オレだけのフィールド。
王女様には、自身がしたことを理解してもわらないといけないからな。
誇りを傷つけられたのは、王女様だけじゃない。
失ったものの多さが、傷の深さの度合いが、段違いな男がいるんだよ。
ケレメイン大公国にはさ。
王女様が、周りに言われるままに夢を見てばかりじゃなかったら。
ケレメイン大公国に来てすぐに、現実での立ち位置を王女様が理解して引き返していたなら。
その男は、ここまで傷つかずに済んだ。
王女様。
誰のことだか、分かるかな?
オレが、この話し合いは非公式だと明言して、一緒に連れてこなかった男がいるだろう?
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王女様は、男に寄り添うより、自身に男を寄り添わせようとしたな。
オレは、王女様の無知を言い訳に使わせない。
クロードは、オレの伴侶だからな。
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クロードにとって、家族のように信頼してきた使用人は、幸せな時間の代弁者だった。
ケレメイン大公家にいた裏切り者をあぶり出せて良かったね、じゃ終われない。
裏切り者なんて、いない方がいい。
裏切り者なんて、組織内から出さないのが一番だ。
使用人の心を揺さぶった誘い文句。
使用人が決断して、実行に移るために、なんの呵責も感じなかった、と王女様は考えていないだろうな?
王女様が、ケレメイン大公国での滞在を強行していなければ。
踏み出さないで済んだ一歩があった。
いくつも。
その一歩が、クロードを追い詰め、苦しめている。
クロードは、決して、苦悩を表には出さない。
弱みになるからな。
クロードは、苦しみを閉じ込めたままにしている。
家内の使用人が信用できないんじゃ、胸の内をさらけ出す場所はどこにもないんだよ。
オレといても、な。
苦楽を共にし、成長を見守られ、これからも支えになってくれることを信じてやまなかった人達の裏切りが、クロードにどれほどの負荷をかけたか。
理解させた上で、王女様に色々話をさせたいと、オレは思っている。
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