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第9章 オレはケレメイン大公国の大公妃殿下です。

318.サーバル王国の王女様に質問する前に、王女様とオレの関係性を心の中で整理しました。恋のライバル、とは違う気がしたんです。

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オレと王女様の関係は、ひっくり返っても、お仲間じゃない。

ケレメイン大公国とサーバル王国という国同士で、外交に来た人との間には、最初から緊張感があった。

女神様の裁定後も、緊張感は漂っている。

そういう背景をふまえて、王女様との関係性を明らかにしてから、話しかけようと思ったんだけどな。

オレと王女様って、どういう関係なのか、という問いの答えをオレの中に見つけられなかった。

王女様が、恋のライバルだったか、というと。

王女様は、オレの中で、恋のライバルになっていないんだよな。

何でだろうな?

カズラくんは、恋のライバルだった。

オレは、カズラくんに、クロードをとられないか、と警戒していた。

オレのクロードだから、欲しくてもやらない!って。

オレが、カズラくんを恋のライバルだったと認識しているのは、クロードと生きるという未来が、そのときのオレには不確実な未来だったからかな。

クロードがオレといないのは嫌だ、と。

クロードを愛し、クロードに愛されるのは、オレだと。

オレ以外にクロードと相思相愛になるのはダメだ、と。

クロードを挟んで、カズラくんといるとき。
そのときは、はっきりと自覚していなかったけれど、クロードに対する独占欲や、カズラくんへの嫉妬心が、オレを突き動かしていた。

オレとクロードとカズラくん。
三人の未来がこの先どうなるか。
当時、確信を持てることは一つもなかった。

目の前にある問題を解決しながら前に進んでいた。

あのときは、クロードといることが当たり前になっていたけど、分からないことの方が多くて不安が拭えなかったな。

あ、分かった。

サーバル王国の王女様を、オレ自身が恋のライバル認定していない理由。

サーバル王国の王女様が来たとき。

オレとクロードは、互いに愛し愛されていることを自覚していた。

オレとクロードは、夫婦としての信頼関係を築き上げていた。

カズラくんを恋のライバルだと認定していたのは、クロードとオレとカズラくんの関係が、一対一対一だったから。

オレ達は、三人で三角形を作っていた。

今回。
サーバル王国の王女様とオレとクロードの三人では、どうだったか、というと。

オレとクロードは、二人で、サーバル王国の王女様と対峙した。

オレとクロードは、二人で一つだった。

オレは、クロードと一緒に困難に立ち向かった。

クロードをとられる心配をしなかったのは、クロードへの信頼があったから。

クロードへの信頼があったからこそ、クロードと肩を並べて、二人で問題解決に頑張れた。

夫婦の共同作業だよなー。

夫婦の共同作業というと、結婚式で行う、新郎新婦のケーキ入刀みたいだな。

オレの中で、王女様は、恋のライバルではなく、ケレメイン大公国を侵略しようとしてきたサーバル王国の人の一人、という位置づけに落ち着いた。

愛だの恋だのの言葉は、オレからは、王女様に出さないでいようかな。

ストレートに聞くぞ。

「王女様は、なんで、クロードと結婚すると思ったのかな?」
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