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第9章 オレはケレメイン大公国の大公妃殿下です。
305.カズラくんは、サーバル王国の随行員のうち、王女様と女神様の裁定が下った人を担当しています。クロードが知らない話をお願いしましょう。
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オレとクロードが、オレに女神様を張り付かせながら、ケレメイン大公家内の組織改革を急ピッチで進めている間。
サーバル王国の国王陛下と単身赴任で来ている随行員は、本国とのやりとりで多忙を極めていた。
カズラくんには、女神様の裁定が下った、王女様と大使館勤務になる随行員を担当してもらっている。
表向きは外交で押しかけてきている以上、野放しにはできない人達だからな。
というのは、表向きの理由。
衝撃が強すぎて、反発心が抑えられていた裁定直後より、冷静になる時間ができた今、最後の悪あがきをさせないため。
ケレメイン大公家内の組織改革により、信用して任せられる人には、既に外せない仕事が割り振られている状況。
カズラくん以上の適材はいない。
カズラくんは、サーバル王国のケレメイン大公国大使館を世界一周旅行のための足場にしようと考えている。
カズラくんは、サーバル王国を拠点に各国を旅行するには、という視点から、サーバル王国を含む、各国の情報を収集している。
外国から見たケレメイン大公国についての立ち位置。
サーバル王国が外交を装おって、ケレメイン大公国への占領作戦に出た動機を聞き出してほしい、とカズラくんに頼んである。
オレに女神様の加護がなかったら、サーバル王国によるケレメイン大公国の占領は成功していた可能性が高い。
ただ、いくら、成功していた可能性が高くても、占領作戦は性急過ぎないかな?
と最初は思った。
でも。
ケレメイン大公家の使用人への侵食度合いを考えたときに、一つの結論が出た。
オレとクロードには、唐突にサーバル王国が動いたように見えたけれど。
ケレメイン大公国になる前、マウンテン王国ケレメイン公爵家の時代から、サーバル王国とケレメイン公爵家の交流はあったんじゃないか、とオレは推測した。
クロードのご両親の代のケレメイン公爵時代に。
まだ子どもで政治に関わりがなかったクロードが知らない範囲で。
ケレメイン公爵家とサーバル王国が交流を持っていたとしたら?
クロードのご両親は、魔王による消失で、突然いなくなった。
ある日、突然、この世から姿を消してしまったクロードのご両親。
後継ぎのクロードに引き継ぎをする余裕がなかったどころか、クロードに後継ぎ教育をしている最中だったんじゃないか、とオレは考えた。
マウンテン王国の公爵夫妻が、マウンテン王国の国王夫妻を差し置いて、サーバル王国の王家と昵懇だった事実は、秘匿されてきたんじゃないかな。
クロードにも、マウンテン王国の王家にも。
クロードのご両親は、クロードが、ケレメイン公爵として独り立ちするまでには伝えただろうけどさ。
クロードとクロードのご両親の中で、クロードがケレメイン公爵を継ぐ予定は、魔王による消失さえなければ、だいぶ先の話になっていたんじゃないかな、とオレは思う。
魔王による消失で、サーバル王国と昵懇だった、前ケレメイン公爵夫妻、クロードのご両親は、後継ぎに説明する前にこの世からいなくなった。
ご両親の後を継いで、ケレメイン公爵になったクロードは、サーバル王国との交流を知らない。
クロードがケレメイン公爵になってから、ケレメイン公爵領に戻る時間が確保できていれば、公爵領にいた使用人から報告することも出来ていた。
マウンテン王国の国王陛下の策略で、仕事を詰め込まれていた、ケレメイン公爵クロードが、ケレメイン公爵領に滞在したのは、オレとケレメイン公爵領に来たときが初めて。
クロードは、ケレメイン公爵になってから、オレが同行するまで、ケレメイン公爵領に足を踏み入れていない。
ケレメイン公爵家の王都邸は、クロードの友人が自由に出入りしていたため、秘匿事項の伝達場所にむかなかった。
クロードが英雄になってからは、ケレメイン公爵家の王都邸に帰ってくることさえ、少なくなった。
クロード不在でも、ケレメイン公爵家とケレメイン公爵領は、ある時期まで問題なくやれている。
ケレメイン公爵領にいたケレメイン公爵家の使用人が頼った先が、サーバル王国の王家だったんじゃないかな?
クロードに黙って、密約を交わしていたんじゃないかな?
王女様の輿入れに関する密約があったんだと思う。
ケレメイン公爵領にいた、ケレメイン公爵家の使用人の間では、密約という意識はなかった。
クロード様の輝かしい未来を守る、という意識で、一致団結していたんじゃないかな。
でも、密約を知らないクロードは、オレと結婚した。
オレの存在が、隠されている間は、問題にならなかったけれど、オレは、ケレメイン大公国の立役者として、クロードの隣に立ち、ケレメイン大公妃を名乗るようになった。
ケレメイン大公国は、マウンテン王国が認めたため、サーバル王国には覆せない。
オレが、ケレメイン大公国の大公妃だと、世界各国が認める前に。
オレがケレメイン大公妃だった事実をなくして、王女様を大公妃にすえようと動いたような気がする。
オレとクロードが、事実確認をすれば、せっかく決まった色々が、ぐちゃぐちゃになるから、オレは、この気付きを墓場まで持っていく。
ケレメイン大公家の使用人の中で、王女様に親身になる人が多かったのは、多分、王女様が、事実上、クロードの婚約者だったから。
クロードの把握していない、クロードの婚約者。
それが、サーバル王国の王女様。
マウンテン王国にいた婚約者候補なんか、目じゃないくらいに、周囲にクロードとの未来を望まれていた婚約者。
王女様の様子だと、王女様にとっては、政略の婚約じゃなかったのかもな。
だから、カズラくんに、オレは任せている。
サーバル王国の国王陛下と単身赴任で来ている随行員は、本国とのやりとりで多忙を極めていた。
カズラくんには、女神様の裁定が下った、王女様と大使館勤務になる随行員を担当してもらっている。
表向きは外交で押しかけてきている以上、野放しにはできない人達だからな。
というのは、表向きの理由。
衝撃が強すぎて、反発心が抑えられていた裁定直後より、冷静になる時間ができた今、最後の悪あがきをさせないため。
ケレメイン大公家内の組織改革により、信用して任せられる人には、既に外せない仕事が割り振られている状況。
カズラくん以上の適材はいない。
カズラくんは、サーバル王国のケレメイン大公国大使館を世界一周旅行のための足場にしようと考えている。
カズラくんは、サーバル王国を拠点に各国を旅行するには、という視点から、サーバル王国を含む、各国の情報を収集している。
外国から見たケレメイン大公国についての立ち位置。
サーバル王国が外交を装おって、ケレメイン大公国への占領作戦に出た動機を聞き出してほしい、とカズラくんに頼んである。
オレに女神様の加護がなかったら、サーバル王国によるケレメイン大公国の占領は成功していた可能性が高い。
ただ、いくら、成功していた可能性が高くても、占領作戦は性急過ぎないかな?
と最初は思った。
でも。
ケレメイン大公家の使用人への侵食度合いを考えたときに、一つの結論が出た。
オレとクロードには、唐突にサーバル王国が動いたように見えたけれど。
ケレメイン大公国になる前、マウンテン王国ケレメイン公爵家の時代から、サーバル王国とケレメイン公爵家の交流はあったんじゃないか、とオレは推測した。
クロードのご両親の代のケレメイン公爵時代に。
まだ子どもで政治に関わりがなかったクロードが知らない範囲で。
ケレメイン公爵家とサーバル王国が交流を持っていたとしたら?
クロードのご両親は、魔王による消失で、突然いなくなった。
ある日、突然、この世から姿を消してしまったクロードのご両親。
後継ぎのクロードに引き継ぎをする余裕がなかったどころか、クロードに後継ぎ教育をしている最中だったんじゃないか、とオレは考えた。
マウンテン王国の公爵夫妻が、マウンテン王国の国王夫妻を差し置いて、サーバル王国の王家と昵懇だった事実は、秘匿されてきたんじゃないかな。
クロードにも、マウンテン王国の王家にも。
クロードのご両親は、クロードが、ケレメイン公爵として独り立ちするまでには伝えただろうけどさ。
クロードとクロードのご両親の中で、クロードがケレメイン公爵を継ぐ予定は、魔王による消失さえなければ、だいぶ先の話になっていたんじゃないかな、とオレは思う。
魔王による消失で、サーバル王国と昵懇だった、前ケレメイン公爵夫妻、クロードのご両親は、後継ぎに説明する前にこの世からいなくなった。
ご両親の後を継いで、ケレメイン公爵になったクロードは、サーバル王国との交流を知らない。
クロードがケレメイン公爵になってから、ケレメイン公爵領に戻る時間が確保できていれば、公爵領にいた使用人から報告することも出来ていた。
マウンテン王国の国王陛下の策略で、仕事を詰め込まれていた、ケレメイン公爵クロードが、ケレメイン公爵領に滞在したのは、オレとケレメイン公爵領に来たときが初めて。
クロードは、ケレメイン公爵になってから、オレが同行するまで、ケレメイン公爵領に足を踏み入れていない。
ケレメイン公爵家の王都邸は、クロードの友人が自由に出入りしていたため、秘匿事項の伝達場所にむかなかった。
クロードが英雄になってからは、ケレメイン公爵家の王都邸に帰ってくることさえ、少なくなった。
クロード不在でも、ケレメイン公爵家とケレメイン公爵領は、ある時期まで問題なくやれている。
ケレメイン公爵領にいたケレメイン公爵家の使用人が頼った先が、サーバル王国の王家だったんじゃないかな?
クロードに黙って、密約を交わしていたんじゃないかな?
王女様の輿入れに関する密約があったんだと思う。
ケレメイン公爵領にいた、ケレメイン公爵家の使用人の間では、密約という意識はなかった。
クロード様の輝かしい未来を守る、という意識で、一致団結していたんじゃないかな。
でも、密約を知らないクロードは、オレと結婚した。
オレの存在が、隠されている間は、問題にならなかったけれど、オレは、ケレメイン大公国の立役者として、クロードの隣に立ち、ケレメイン大公妃を名乗るようになった。
ケレメイン大公国は、マウンテン王国が認めたため、サーバル王国には覆せない。
オレが、ケレメイン大公国の大公妃だと、世界各国が認める前に。
オレがケレメイン大公妃だった事実をなくして、王女様を大公妃にすえようと動いたような気がする。
オレとクロードが、事実確認をすれば、せっかく決まった色々が、ぐちゃぐちゃになるから、オレは、この気付きを墓場まで持っていく。
ケレメイン大公家の使用人の中で、王女様に親身になる人が多かったのは、多分、王女様が、事実上、クロードの婚約者だったから。
クロードの把握していない、クロードの婚約者。
それが、サーバル王国の王女様。
マウンテン王国にいた婚約者候補なんか、目じゃないくらいに、周囲にクロードとの未来を望まれていた婚約者。
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