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第9章 オレはケレメイン大公国の大公妃殿下です。

304.サーバル王国の王女様を大公妃として迎えようと、オレの大公妃予算が横領されていた件は、オーダーを変更しました。柴犬人と家族の対面。

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グループワークに参加した有罪確定している人は、ケレメイン大公家の使用人の中でも、下っ端じゃない。

金と人を動かす権限があった。

そのへんのポジションが、ごそっと空いた。

組織をスリム化した。

ケレメイン公爵家のときは、マウンテン王国の王都に公爵邸を構えていた。
公爵は、王都の公爵邸で生活することが多かった。

公爵領には、裁量権を与えられていた使用人を置いて、公爵が、長期間、領地から離れていても困らないようにしてあった。

ケレメイン大公国となった今。 

ケレメイン大公クロードとオレは、ケレメイン大公国内にいる。

領地の使用人に持たせる裁量権の範囲を見直した。

ごそっと空いたポジションを狙って、そわそわしていた人は、あてが外れてがっかりしていた。

異動すると思い込んで引き継ぎを終えていた人は、そのやる気をかって、オレの下へ。

『え?』と予想外そうだったけど。

王女様を大公妃とするための発注済みの商品のうち。

王女様仕様のものの一部は、ケレメイン大公国からの友好の証として、大公妃らしさをなくした上で、サーバル王国で、王女様に使ってもらうために、オレからプレゼントすることにした。

オレとクロードは、王女様を大公妃として迎える計画に加担した商人と職人を呼び出した。

花嫁衣装には、
『大公妃ヒサツグからの、両国の友好の証として、王女殿下に相応しい衣装を下賜する。』
という文言と、サーバル王国とケレメイン大公国の国旗、国交樹立宣言を刺繍するように、オーダーを変更するオレ。

商人と職人は、クーデターに失敗して捕まった実行犯みたいな立場。

商人と職人の大半は、オレとクロードが、直々にオーダーを変更したことで、クーデターの指導者の失敗を悟った。

悟れなかった人もいた。

王女様向けに大公妃予算で仕立てた衣装には、全て同じ刺繍が入る。

悟れなかった職人は、大公妃仕様をなくすオーダーに難色を示した。

「ケレメイン大公国の商人と職人が仕立てた服が、王女様の仕事着になる。
制服やお仕着せと同じ。

サーバル王国の王女様が常時着用すれば、ケレメイン大公国の職人の腕の良さを、サーバル王国の人に宣伝できる。

やる気のある者に引き継がせるので、やる気がないなら、辞退しろ。

大公妃がオレだと知っていながら、王女様を大公妃として迎えるための品を手掛けた落とし前は、全員につけさせるならな?」
と説明したら、若干名を除き、オーダー変更を受諾。

若干名は、別室待機、とした。

待機中に、他の国から、息がかかっていないか、裏取りを指示。

腕自慢大会により、数々の芸術作品が仕上がった。

新婚さん用の家具。
新しいベッドや、箪笥、カーテンや、タペストリー、肖像画は、加工した上で、サーバル王国に出すケレメイン大公国大使館に搬入する。

タペストリーは、今の王女様の狸顔と、どんな服を着ても見えてしまうチャーミングなデベソを忠実に再現している。

肖像画は、王女様とクロードが並ぶデザインから、オレとクロードが並ぶデザインへ変更。

新婚さん用のベッドは、カズラくんが、サーバル王国へ旅行するときに、ケレメイン大公国大使館に宿泊して使うと決まった。

カズラくんは、サーバル王国のケレメイン大公国大使館を拠点にして、この世界を旅行する計画を立てている。

柴犬人は、大人しく引き継ぎしたり、オレとクロードに報告したりして、過ごしている。

女神様の裁定後の姿を見た柴犬人の家族は、ケレメイン大公国に残ってほしい、とは言わなくなった。

柴犬人と家族を集めて、クロードは、柴犬人に言った。

『ケレメイン公爵領を支えてきた功績は、あった。

生きるチャンスを与える。

二度目がないように、ケレメイン大公家の名に恥じぬ生き方を望む。』

柴犬人も家族も、肩を落としたりしながら、泣いていた。

柴犬人は、オレとクロードと家族の前で、三つの宣誓をした。

柴犬人は、女主人に、と望んだ王女様に仕えること。

ケレメイン大公国とサーバル王国の恒久的な友好のために、柴犬人は、ケレメイン大公家の使用人として、サーバル王国に骨を埋めること。

柴犬人は、ケレメイン大公家の使用人という身分のため、サーバル王国での仕事の報告を定期的に入れること。


ケレメイン大公家の使用人という身分があれば、サーバル王国も、王女様共々、勝手に処分したりはしないだろうな。

ケレメイン大公家の柴犬人の使用人から、青姦ルームで見せたような激しさは消えた。

柴犬人は、クロードがよく知る使用人らしさを取り戻した。

サーバル王国での働きに期待しよう。
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