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第9章 オレはケレメイン大公国の大公妃殿下です。

293.勇気ある王妃陛下と、女神様の裁定、その二。

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オレが国王陛下に投げかけた台詞は、国王陛下だけでなく、青姦ルームにいる人全員の動きを一瞬止めることになった。

「大公妃殿下。女神様が、それを望んでいないというのは、確かなのでしょうか?」
とオレに聞いてきたのは、王妃陛下。

王妃陛下、急に弁えた態度に切り替わったなー。

「それ、は、英雄クロードを種馬扱いして、英雄クロードの存在価値を貶めることを意味しているのかな?

女神様が、出張してきて、御自ら、裁定を下す。

女神様に裁定を下される者がしたことを思い返してみたらどうだろう。

英雄クロードに対して、何を企み、何を実行したのかな?

国王陛下を問いただしてみても、今さら、女神様の裁定が覆ることはない。

王妃陛下の気が済むなら、女神様の裁定が終わった後に、国王陛下と、同行者全員に確認してみたらどうかな。

王妃陛下自身も、同行者に確認されるだろうから、すぐには、終わらないよな。

女神様の裁定後は、青姦ルームで仲良く、反省会をしてから、外交の取り決めをしようと思うんだけど、王妃陛下の意見を聞きたいな?」

「当たり前のことをしただけだとしても、そんなに厳しいものなのですか?」
と王妃陛下。

「どうやら、当たり前の基準を誰におくか、で失敗したのかな?」
オレは、親切にアドバイスする。

「王妃陛下は、当たり前の基準を決めるのは、誰でもいいと思っているのかな?

甘いなー。

英雄クロードに関する基準を決めるのは、英雄クロード自身。

他所の国の国王陛下や王女様や、政治を仕事にする者が、自分達の利益や都合を優先して、決めることじゃないんだよな。」

「ケレメイン大公国とケレメイン大公に対して、根本から、思い違いをしてきた、ということ。」
と口惜しそうにしている王妃陛下。

「反省会で話し合ってみると、発見があるんじゃないかなー?

オレとクロードとカズラくん以外で、青姦ルームにいる人のうち、オレ達三人の指示で動いていない人は、女神様の裁定から逃れられない。

女神様の裁定を待つ間に、想像してしまうよなー。

女神様のメッセージを受け取った国王陛下が、解釈を間違えたのか、都合よく捻じ曲げて解釈したのか?

国王陛下から指示された他の人が、拡大解釈をしたのか。

それとも。
今回の外交は、女神様のご意向のていを装ったケレメイン大公国へ侵略行為か。

女神様の裁定は、決まったかなー?」

「英雄の引き立て役となれ。」
と女神様。

あ、裁定が下ったなー。

どれどれ?

「いやあ、ずべし。」
「最悪、ずべし。」
「元に戻して、ずべし。」

語尾が、ずべし、に統一された?

しかも。

顔が、狸になっている。

ぶんぶく茶釜に出てくる愛らしい狸じゃない。

人を平気で騙しそうな悪どさが、にじみ出ていて、思わず避けたくなる人相の狸顔。

体は変化したのかな?

頭に耳はなし。
尻に尻尾はなし。

腹に、大きめのデベソがある。
デベソには、黒くて太い油性ペンで書いたみたいなバッテンマークがついている。

服の上から、デベソと、デベソのバッテンマークが透けて見える。

「あんまりですわ、ずべし。お父様、何とかしてください、ずべし。」
と王女様。
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