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第9章 オレはケレメイン大公国の大公妃殿下です。

260.「今日は、私の旦那記念日。一人で完結したがるヒサツグが、私を旦那と認めた日。ヒサツグが、初めて、私を頼った日。」

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オレをお姫様抱っこして、秘密基地に連れてきたクロードは、終始ご機嫌。

「クロード、何かいいことがあったのかな?」

クロードは、にこにこ。
「ヒサツグが、私に頼るのは初めて。」
と話すクロードの声は、弾んでいる。

オレは、クロードより年上だから、という発想に凝り固まり過ぎて、自分を動けなくしただけじゃなく、クロードも不安にさせていたんだな。

「ごめん。クロード。
オレには、クロードがいて、クロードにはオレがいる。

オレは、それを分かったつもりになっていたけど、理解していなかった。

一人で、できるつもりでいたことが、できない現実が、辛くなってきて、悔しくて、殻を閉じていたな、オレ。
クロードに対しても。

クロードは、また、待っていてくれたんだな。

ありがとう。

オレは、クロードの腕の中で、クロードの体温を感じるのが、好きだ。

オレかクロードが、この世を去るまで、ずっとこうして、二人で生きていきたい。

毎朝、クロードの温もりを感じながら目を覚まして、眠るときは、クロードと同じベッドで、クロードと触れ合いながらがいいな。

今のオレは、オレ史上、最大の不安に悩まされて困っている。

クロード、オレを助けろ。

クロードには、オレを助ける力がある。

オレは、クロードに、オレの思いや、相談を聞いてほしい。」

オレは、クロードの顔を直視できなくて、クロードの膝にまたがっているのをいいことに、クロードの顔の横に、オレの顔がくるように、座り直した。

クロードは、オレの髪を優しく撫でている。

「ヒサツグは、年上の余裕がなくなるのを嫌がって、私と向き合うのを怖がってきた。」
とクロード。

オレの葛藤は、クロードにはお見通しだったのか。

恥ずかしいけれど、安心。

クロードに失望されなかったことに、オレはほっとする。

「怖い、わけじゃ。怖いのかな、オレは。」

クロードの伴侶が、オレである意味がないと、クロードに思われたくなくて。

クロードが、オレを伴侶にしてがっかりしたと思っていることを思い知らされたくない、と、オレは考えていた。

「私は、ヒサツグに、大事に守られたことで、ヒサツグを守ることを覚えた。

ヒサツグが、私の助けを必要としない間は、見守るだけでも良かった。

ヒサツグは、一人で完結したがるから。
今日、ヒサツグは、私の存在を思い出して、私を頼った。
私は、旦那として、ヒサツグに認められた。
今日は、私の旦那記念日。」
とクロード。

クロードに、オレをさらけ出して、しがみついていることを歓迎されるのは、嬉し恥ずかし、心地よい。

「クロード、愛している。」

思わず、愛をささやいてしまうオレ。

ん?

クロードの手の位置が?

クロードが、オレのズボンをずらそうとしている!

待て!

オレは、これから、真面目な話をするんだぞ!

クロードと場所を変えて、盛り上がるために、クロードの仕事場に突撃したんじゃない。

オレは、クロードの手を握った。

「クロード。たくさん愛し合う前に、オレは、オレの心の憂いを晴らしたいんだ。
心の憂いがなくなった後の方が、いつもより、愛が深まる。」
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