《本編 完結 続編開始》29歳、異世界人になっていました。日本に帰りたいのに、年下の英雄公爵に溺愛されています。

かざみはら まなか

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第9章 オレはケレメイン大公国の大公妃殿下です。

259.甘えるとは、これ、いかに?クロードが部屋から出てきました。突撃しましょう。華麗なる甘やかしタイムのために。

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オレは、クロードに甘えるというのが、具体的に想像出来ないまま、クロードの執務室へと歩いている。

甘える、甘えるって、言われてもなー。

カズラ君、甘えるって、どうすれば正解かなー?

オレを送り出す前に、レクチャーしてほしかった。
やり方が、本気で分からない。

甘えるって、おんぶか抱っこ以外に、何をすればいいのかな?

いつ、どこで、やればいいのかなー。

オレは、クロードみたいに、つむじの匂いで満たされたりはしないからなー。

どっちかというと。

オレは、クロードの体温を感じられたら、それで。

うーん。
考えながら歩いていたら、クロードが、部屋から出てきた。
タイムリーだけど、どうしよう。
何にも思いつかん。

「クロード。」

クロードが、オレを見て笑顔になる。
「ヒサツグ。」

「クロードに甘やかされるには、どうしたらいい?」

思いつかなすぎて、直球で聞いてしまった。

「ヒサツグは、私に甘やかされたい?」
クロードの声が弾んでいる。 

クロードが、喜んでいる。

オレの方が、年上なのに。
オレが、甘やかすんじゃなくて、いいのかな?

結果、オーライ?

「クロードに甘やかされにきたんだけど、どうしたら、クロードに甘やかしてもらえるのか、オレには分からない。
クロード、オレは、甘やかされたいぞ。
オレを甘やかせ。たっぷりと。」

クロードは、オレをお姫様抱っこで、立ち去ろうとする。

「クロード、仕事は?」

「ヒサツグのおねだりを無かったことにする旦那は、いない。」
とクロード。

待て。
ベッドのお誘いじゃない。
このまま、寝室になだれ込んだら、何の解決にもならない。

「夫婦の夜の時間は、夜にとっておいて、クロードにはオレをなぐさめてほしいんだ。」

「行き先は、プレイルームに変更。」
とクロード。

違う、そうじゃない。

することから、いったん、離れろ。

「プレイルームじゃなくて。」

「部屋を変える?
それとも外で?花を愛でながら?月を愛でながら?」
とクロード。

夫婦の営みはな、人目にさらされずにベッドでしたいんだ、オレは。

青姦は、勘弁しろ。

大公夫妻が青姦なんてしたら、青姦文化の先駆けとか言われそうだぞ?

文化のパイオニアになるにしても、分野は選びたい。

「クロードに、オレの不安や悩みを聞いてほしいんだ。オレは、クロードの体温を感じながら、話をしたい。
クロードとの話が終わったら、安心して、いつもより、開放的になれるかも。」

オレは、ためらいがちに、クロードにアピールしてみる。

開放的になれるかも、だからな?
なるとは言っていない。

クロードは、寝室には行かず、オレをお姫様抱っこしたまま、小さな部屋に入った。

ソファーが一つ。
棚が一つ。
大きな窓が一つ。

「この部屋は、何のための部屋?」

知らなかったなー。

「私が一人になりたいときの部屋。」
とクロード。

そんな部屋があるなんて、画期的だなー。


クロードは、真摯に、オレに向きあっている。

いつだって、クロードは、真っ直ぐに、オレを求めている。

年上の余裕とか言っていたオレは、クロードに何をした?

クロードは、オレが不安を抱えていると知って、クロードの秘密基地に連れてきた。

こんなんされたら、惚れるよな、うん。

「クロード。オレは、クロードが好きだ。何があってもオレ離すなよ。オレを諦めるなよ。」

クロードは、オレをお姫様抱っこしたまま、ソファーに座る。

オレは、クロードのお姫様抱っこからおりて、クロードの膝をまたいで、向き合った。

「クロード。オレを甘やかすんだ。」

クロードは、黙って、クロードの膝にまたがるオレを抱きしめる。

触れているところから、クロードの体温が伝わる。
温かい。

「クロード、このまま、話をしたい。」
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