《本編 完結 続編開始》29歳、異世界人になっていました。日本に帰りたいのに、年下の英雄公爵に溺愛されています。

かざみはら まなか

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第9章 オレはケレメイン大公国の大公妃殿下です。

252.守りたいものがあるから、権威が失墜し、泥に塗れることになっても、生きることにしました。『国王陛下を上回る策略家がいたんですね。』

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今、なんと?
「ミーレ長官の母親が女王陛下なら、ミーレ長官は王太子だよな?
ミーレ長官は、母の跡を継がなかったんだな?」

ミーレ長官の目が鋭くなった。

「私は言いましたね?前国王陛下は、王位簒奪者だと。」
とミーレ長官。

どろどろの暴露話が始まる?
「ということは?」

「母である女王陛下は、客死でした。
わたしは、王太子として、母の息子として、女王陛下が客死した国に向かいました。

先々代の女王陛下の客死した滞在先での調査は、わたしが調査のために滞在中であったにも関わらず、マウンテン王国本国からの要請で打ち切られました。

私が、打ち切りの事情を調べるために急いで帰国したところ、国内の多数の貴族を従えた前国王陛下が即位していました。

前国王陛下が、私を王家の専属暗殺者をまとめる組織の長官に任命したのは、対外的に、私が国王になる道を閉ざすためです。

国王陛下に従うことを受け入れるか、母と同じ道を辿るか。
私に用意された選択肢は、二つでした。」
とミーレ長官。

ひょっとしなくても、女性陛下は、暗殺されたのでは?

「ミーレ長官の選択肢なんて、ないも同然じゃないかな。」
オレは、背筋が凍った。

マウンテン王国から、離脱しておいて、正解だな!

ケレメイン大公国、バンザイ。

「私が、独り身なら、迷ったでしょう。
絶望のあまりに、毒杯をためらわなかったと思います。
でも。
その時、私は、既に一人じゃなかった。

私は、生きることで、屈辱を味わうことになっても、生きることを選びました。

私は、生きているだけで、妻子の守りとなれる。
私の妻子を守れるなら、私のプライドなんて、些末なことでした。」
とミーレ長官。

オレは、合点がいった。

ミーレ長官が仲良くしている狙撃手は、全員、平民だ。

愛こんにゃく家の家族も、貴族とは聞いていない。

ミーレ長官は、マウンテン王国の王太子でありながら、国王への道を閉ざされた。

貴族は、ミーレ長官から、距離をおいたんだ。

事情を知らされなかった平民だけが、ミーレ長官に従ったのか。

それにしては。
国王陛下サイドのミーレ長官への見解は、不可解だぞ。
国王陛下の元側近二人は、ミーレ長官が、国王陛下に重宝されていると考えていたよな?

国王陛下の元側近の主張は
『任命した国王陛下がいなくなったのに、いつまで、大きい顔をするんだ?
引っ込んでろ!』
だったぞ。

「国王陛下サイドは、ミーレ長官が、前国王陛下に可愛がられている、と考えていたよな?齟齬はどこから生まれたのかな?」

「前国王陛下は、かつて王太子だった私が、我が子を脅かすことがないように、と警戒し、猜疑心の塊になっていましたから、しょっちゅう私を呼び出していました。

息子の国王陛下よりも、会っていた時間は長かったですね。

国王陛下は、父親が、王位簒奪者だと知らされていませんでした。

最初のうちは。

それもあって。

叔父と甥が仲良くしているように見えたのでしょう。

前国王陛下は、息子には、良き父親であろうとしていました。

国王陛下は、父親の姿を疑ったわなかったので、優しい父が、息子より甥を気にかける様に感じていたのでしょう。

国王陛下は、前国王陛下が、王位簒奪者だと知った後も、側近二人に情報の修正はしませんでした。」
とミーレ長官。

前国王陛下のタヌキ親父具合が、突き抜けているせいか、前国王陛下の話を聞いた後では、父親に比べて、国王陛下の策略の下手さが際立つなー。

「ミーレ長官がミーレ長官になったときの話は、ミーレ長官が、オレに話したい話題の前提なんだよな?
本題は?」
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