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第8章 29歳、異世界人になっていました。日本に帰りたいのに、英雄公爵に溺愛されています。
243.日本に帰らないでほしい、帰る実験もしないでほしい、とクロードに頼まれています。なんと答えましょうか?
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オレとクロードは、元神子様カズラ君の手続きを指示したり、女神様による迷惑の後始末を終わらせた。
今は、二人、並んで座っている。
今から、オレとクロードは、話し合いをする。
一度は、決裂した話し合い。
今度は、意見のすり合わせが終わるまで、終わらない予定。
クロードは、退かない。
オレが、飲み込むことになる。
だから。
クロードには、オレにうんと言わせてほしい。
クロード、オレを説得してみせろ。
オレに、理由を寄越せ。
オレが、日本に帰らなくてもいい、と言えるだけの。
クロード、出来るよな。
オレを説得できるのは、この世で、クロードだけだぞ?
オレは、頑固だからな。
オレに、クロードの本気を見せろ。
オレは、クロードの隣で、拳を握りしめる。
クロードが、意を決した。
来るか?
さあ、来い!
クロードは、話し始めるにあたり、オレのつむじの匂いを嗅いだり、ぎゅうぎゅう抱き締めたりしなかった。
クロードが真剣だ。
クロードの覚悟を見るときが、ついに来た。
オレは、クロードの隣で、居住まいを正す。
「私は、私のいない場所にヒサツグを行かせたくない。私は、私が行けない場所には、私のヒサツグを行かせないようにする。」
とクロード。
クロード、それは、説得じゃない。
前の主張が、バージョンアップしただけだぞ?
拒否したからって、監禁をバージョンアップは、なしだからな?
もっと、語りにこい!
心の底にあるものをぶつけてこい!
「クロード、お互いの主張を話すだけじゃ、平行線だ。クロードが、そう思う理由を話せ。オレは、クロードの心を知りたい。」
「女神様は、別れる前提でヒサツグを連れてきたが、私は、ヒサツグと別れない。」
とクロード。
「オレも、別れる気は、ないぞ。」
「私がヒサツグと別々にいると、別れたがっていると邪推されたり、別れたと受け取られる。」
とクロード。
「何でだよ?あ、マウンテン王国の王城では、そうだったんだな?
今のクロードは、ケレメイン大公国は国主だから、言ってくるやつは、外国の王様クラスか?」
「私がヒサツグと結婚し、ケレメイン大公国の大公になったと発表した日から、姉妹や娘、従姉妹などをあてがおうとする動きが後を絶たない。
ヒサツグが、いなくなった途端に、彼方此方から大挙して押し寄せてくる。」
とクロード。
「知らなかった。オレ、本当に、クロードに守られていたんだな。ありがとう。」
「嫁を守ってこそ、一人前の旦那になれる。」
と嬉しそうなクロード。
「理由の一つは、オレとクロードの仲を引き裂こうとする勢力を勢いづかせて、介入してくる口実を作らせないため。
結婚して、堂々と乗っ取ろうということだな?
他には?
クロードが、オレに日本へ帰ってほしくない理由はまだあるよな?」
「私の側にヒサツグのいない時間、私は生きていても、死んでいる状態になる。」
とクロード。
熱烈な愛の告白だなー。
「私の人生に光明を届け、私に寄り添い、私の味方であり続けたのは、両親亡き後、ヒサツグだけだ。
ヒサツグには、感謝しかない。
ヒサツグがいなければ、私の人生が損なわれていることに、私自身で気づけたか?
気付けても、どうしたらよいか途方に暮れるうちに、さらに悪い方へ進むことを止められなかっただろう。」
とクロード。
面と向かって、感謝されると、嬉しくて、照れる。
「私は、ヒサツグの願いなら、なんでも、叶えたいと思っている。
ヒサツグは、わがままを言わないが。
でも。
どんなに願われても、ヒサツグが元の世界に帰ることにだけは、ダメだ。
私の心が、不安で押しつぶされる。
私は、ヒサツグがいない場所で生きていけない。
ヒサツグ、私の願いを聞き入れてほしい。
元の世界に帰らないで、一生、私と生きると約束してほしい。
私と生きて、私と死んでほしい。私のために。
私は、元の世界に帰りたいというヒサツグの願いを知っていながら、私自身のためだけに、ヒサツグにそれを止めるように要求している。
私は自分勝手だ。
愛しているヒサツグに、私の都合と私の感情だけを配慮するように、私は求めている。
私の要求は、愛じゃなくエゴだ。
承知の上で、私は要求を取り下げることはしない。
ヒサツグ、私のために、元の世界に戻らない、元の世界に戻るための実験は一生しないと、誓ってほしい。」
とクロード。
今は、二人、並んで座っている。
今から、オレとクロードは、話し合いをする。
一度は、決裂した話し合い。
今度は、意見のすり合わせが終わるまで、終わらない予定。
クロードは、退かない。
オレが、飲み込むことになる。
だから。
クロードには、オレにうんと言わせてほしい。
クロード、オレを説得してみせろ。
オレに、理由を寄越せ。
オレが、日本に帰らなくてもいい、と言えるだけの。
クロード、出来るよな。
オレを説得できるのは、この世で、クロードだけだぞ?
オレは、頑固だからな。
オレに、クロードの本気を見せろ。
オレは、クロードの隣で、拳を握りしめる。
クロードが、意を決した。
来るか?
さあ、来い!
クロードは、話し始めるにあたり、オレのつむじの匂いを嗅いだり、ぎゅうぎゅう抱き締めたりしなかった。
クロードが真剣だ。
クロードの覚悟を見るときが、ついに来た。
オレは、クロードの隣で、居住まいを正す。
「私は、私のいない場所にヒサツグを行かせたくない。私は、私が行けない場所には、私のヒサツグを行かせないようにする。」
とクロード。
クロード、それは、説得じゃない。
前の主張が、バージョンアップしただけだぞ?
拒否したからって、監禁をバージョンアップは、なしだからな?
もっと、語りにこい!
心の底にあるものをぶつけてこい!
「クロード、お互いの主張を話すだけじゃ、平行線だ。クロードが、そう思う理由を話せ。オレは、クロードの心を知りたい。」
「女神様は、別れる前提でヒサツグを連れてきたが、私は、ヒサツグと別れない。」
とクロード。
「オレも、別れる気は、ないぞ。」
「私がヒサツグと別々にいると、別れたがっていると邪推されたり、別れたと受け取られる。」
とクロード。
「何でだよ?あ、マウンテン王国の王城では、そうだったんだな?
今のクロードは、ケレメイン大公国は国主だから、言ってくるやつは、外国の王様クラスか?」
「私がヒサツグと結婚し、ケレメイン大公国の大公になったと発表した日から、姉妹や娘、従姉妹などをあてがおうとする動きが後を絶たない。
ヒサツグが、いなくなった途端に、彼方此方から大挙して押し寄せてくる。」
とクロード。
「知らなかった。オレ、本当に、クロードに守られていたんだな。ありがとう。」
「嫁を守ってこそ、一人前の旦那になれる。」
と嬉しそうなクロード。
「理由の一つは、オレとクロードの仲を引き裂こうとする勢力を勢いづかせて、介入してくる口実を作らせないため。
結婚して、堂々と乗っ取ろうということだな?
他には?
クロードが、オレに日本へ帰ってほしくない理由はまだあるよな?」
「私の側にヒサツグのいない時間、私は生きていても、死んでいる状態になる。」
とクロード。
熱烈な愛の告白だなー。
「私の人生に光明を届け、私に寄り添い、私の味方であり続けたのは、両親亡き後、ヒサツグだけだ。
ヒサツグには、感謝しかない。
ヒサツグがいなければ、私の人生が損なわれていることに、私自身で気づけたか?
気付けても、どうしたらよいか途方に暮れるうちに、さらに悪い方へ進むことを止められなかっただろう。」
とクロード。
面と向かって、感謝されると、嬉しくて、照れる。
「私は、ヒサツグの願いなら、なんでも、叶えたいと思っている。
ヒサツグは、わがままを言わないが。
でも。
どんなに願われても、ヒサツグが元の世界に帰ることにだけは、ダメだ。
私の心が、不安で押しつぶされる。
私は、ヒサツグがいない場所で生きていけない。
ヒサツグ、私の願いを聞き入れてほしい。
元の世界に帰らないで、一生、私と生きると約束してほしい。
私と生きて、私と死んでほしい。私のために。
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私は自分勝手だ。
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私の要求は、愛じゃなくエゴだ。
承知の上で、私は要求を取り下げることはしない。
ヒサツグ、私のために、元の世界に戻らない、元の世界に戻るための実験は一生しないと、誓ってほしい。」
とクロード。
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