《本編 完結 続編開始》29歳、異世界人になっていました。日本に帰りたいのに、年下の英雄公爵に溺愛されています。

かざみはら まなか

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第8章 29歳、異世界人になっていました。日本に帰りたいのに、英雄公爵に溺愛されています。

231.秘密を打ち明けるときの心理は、秘密に同調してほしい、という気持ちがありませんか?

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表面的な悩みのその先の心の中を明かす?
明かさない?

オレが、クロードの周りの人といるときに、アウェイだな、と感じていること。

クロードの味方だらけで、オレの味方がいない。

オレは、オレだけの味方に会うために、日本に帰りたいという気持ち。

これは、きちんと言葉にして、クロードに言わなくても済むなら、言わないでおきたい。

クロードに話さないでも、オレが日本に帰ることに、クロードが賛成するなら、話さないに越したことはない。

何でもかんでも秘密を打ち明けることが、いい関係を作るとは限らない、と、オレは思っている。


環境が、要因だから、どうしようもない、変えられないことなんだよなー。

オレのせいでも、クロードのせいでもない。

オレが、こちらの住人じゃないから生じた問題。

この問題を話すのは、表面的な問題を打ち明ける以上に、用心深く振る舞わないと、意図しない方に展開しかねない。

オレは、ひとまず、表面的な問題を打ち明けるにとどめて、クロードの様子をみることにした。

お?

クロードが、何か言おうとしている。

オレの気持ちを、クロードは、どんな風に受け止めたかな?

クロードは、優しいから、きっと、オレが日本に帰ることに反対はしないよな。

『そんなに悩んでいたのなら、ヒサツグの気が済むまで、帰ったらいい。何度でも帰って、悩みを克服したらいい。』
と言いそうだよなー。

今まで、クロードには秘密にしないと、という意識しかなかったけれど、よく考えたら、案外、秘密にしなくても、堂々と実験できたんじゃないかな?

最初の段階で、正直にクロードに打ち明けていたら。

気にし過ぎたかなー。

オレは、今さらながら、反省していた。

とりあえずの秘密を打ち明けて、罪悪感を減らしたオレは、前向きな気持ちで、クロードの発言を待っていた。

オレの頭の中では、クロードは、どんどん実験したらいい、と発言している。
後は。
オレは、もっと早くに打ち明ける勇気がなくて、ごめんと、謝るだけ。

オレは、楽観的に考えていた。

オレとクロードは、生まれ育った世界が違うと、悩んだのは、オレ自身だったというのに。

オレが悩んだことを、クロードが、クロードの視点から悩んでいた、と考える視点が、オレには、抜け落ちていた。

だから。

オレは、クロードの台詞に思考を停止させてしまった。

「私は、ヒサツグを元の世界に帰さない。」
とクロードは言ったのだ。

驚きのあまり、声を出さずに、クロードを見上げるしかできないオレ。

「私は、ヒサツグが元の世界に戻るための実験を行うことは認めない。」
とクロード。

クロードから、話は終わった、みたいな、空気が流れてきた。

クロード!

待て!

まだ、決断を下すには、早すぎる。

オレは、認めないぞ!

オレが、勇気を出して、秘密の計画を打ち明けたのは、秘密の計画をおじゃんにしたかったから、じゃない。

クロードに協力して欲しかったからだ。

クロードに賛成してほしいと思ったからだ。

ここで、話を終わらせて、クロードの説得に失敗したら、日本に帰る計画が水の泡になる。

そんなの、オレの望むところじゃない。

オレは、クロードに考えを変えてもらうためには、何と言うのが正解か、を急いで考えた。
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