《本編 完結 続編開始》29歳、異世界人になっていました。日本に帰りたいのに、年下の英雄公爵に溺愛されています。

かざみはら まなか

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第8章 29歳、異世界人になっていました。日本に帰りたいのに、英雄公爵に溺愛されています。

225.尻アテレコの意味を理解しました。気づくのが遅かったようです。クロードは、オレが素直に話せないから、尻で代弁させようとしていました。

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オレの監禁命令を出したクロードは、ベッドで驚愕しているオレを抱きしめて、オレを寝かしつけようとしてきた。

オレがクロードを寝かしつけたように。

オレは、クロードに監禁は考え直してほしいと頼んだ。
クロードは、オレをあやすように笑った。

「ヒサツグの尻は素直だけど、ヒサツグの口は、素直にならない。」

オレは、その時、初めて、尻アテレコの意味を理解した。

オレが話さないから、尻にアテレコ代弁させようとしたのか。

オレの頭脳では、分からんかったなー。

「クロード、ごめん。」
オレは、謝った。

オレに話をさせようと、頑張ってくれていたクロード。

クロードの気遣いに、気づかなかったオレ。

気づいてからも、結局、クロードには話せないオレ。

そんなオレを責めないクロード。

優しいクロード。

でも、だからって、監禁命令は、ないよなー?

まさか、本気じゃないよなー?

だって、オレ、監禁されるようなことは、していないしな。

大丈夫だよなー。

オレは、なんとなくクロードにすり寄っていた。

温かい。

色々考えるのに疲れていたオレは、すっかり馴染んだぬくもりに安心して、寝ていた。

翌朝。
起きたら、ベッドに、クロードがいなかった。

「「「おはようございます。」」」
代わりに、使用人が三人もいた。

「オレは、自分のことは自分で出来るから。」

オレが起きている時間帯の寝室に使用人が入ってくることは、今までなかった。

「支度が済むまで、部屋から出て待っているか、別の部屋に行っていてほしい。支度が済めば、オレがそちらに向かう。」

部屋に、クロード以外がいるのは、落ち着かない。

「ヒサツグ様、私共は、昨晩から、ヒサツグ様付きになりました。」
と使用人その一。

「昨晩。」
オレは、クロードの監禁命令を思い出す。

まさか、本気じゃないよな?

大丈夫だよな?

「ヒサツグ様も、お聞き及びでいらっしゃいましたから、ご説明は不要でございましょう。」
と使用人その二。

まさか、オレが寝ていた間に手配済み?

「あれは、夫婦喧嘩の一貫で。クロードも本気で、オレのことをどうこうしようとしたわけじゃないから。」

「ヒサツグ様に申し上げます。クロード様のご命令は絶対です。いかにヒサツグ様といえど、背けば、罰を受けます。」
と使用人その三。

「ヒサツグ様におかれましては、本日は、寝室で、心安らかにお過ごしいただくことになっております。」
と使用人その二。

「オレは、寝室から出なかったら、心安らかじゃなくなるぞ。」

「ご安心ください。本日は、一日かけて、ヒサツグ様のお体のメンテナンスデーといたしました。」
と使用人その一。

「メンテナンス?」
ロボットか?

「全身エステです。」
と使用人その一。
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