《本編 完結 続編開始》29歳、異世界人になっていました。日本に帰りたいのに、年下の英雄公爵に溺愛されています。

かざみはら まなか

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第7章 オレは、英雄公爵と並んで歩いています。始まりは、一人と一人でしたね。道なき道を切り拓きます。

211.愛こんにゃく家に筒井筒があったのですか?

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愛こんにゃく家には、今後の指針を話してある。

「愛こんにゃく家が、家族の近くに住みたいなら、マウンテン王国の王都に住んで、大使館勤務。
ケレメイン大公国に住むなら、オレ達と帰る。
家族に会って、マウンテン王国勤務から、ケレメイン大公国勤務に変わったことも伝えておけよ。
機密情報とか、うっかり知らされて、スパイとして逮捕されたくないだろう?」

「分かります。家族には話しておきます。」

という会話をして、愛こんにゃく家を送り出そうとしたら、長官が、家族と関係者を王城に招集しました、と、部屋に案内してくれた。

関係者って何だ?

部屋に入ると。

明らかに二家族以上いる。

二つのテーブルに分かれて座っていて、どちらのテーブルも全員、綺麗に着飾っている。

一つは、愛こんにゃく家に年齢が近い女性とその弟家族と妹家族。

もう一つは、愛こんにゃく家の家族。
両親と弟二人。
弟二人は、所帯持ち。

もしかして、もしかして。

愛こんにゃく家に、婚約者とか、言わないよなー?

人間の女性は、無理だぞ?

だって、こんにゃくを旦那様と言っているんだぞ?

オレは戦々恐々としていた。

誰も説明してくれないし、藪をつついて蛇を出すのはしたくないので、聞くに聞けない。

事態がのみこめるまで、静かにしていよう。

愛こんにゃく家は、部屋に入るなり、挨拶もそこそこに用件を切り出した。

「転職して、ケレメイン大公国で働いている。ケレメイン大公国で骨を埋めるから、マウンテン王国には戻らない。」
と愛こんにゃく家。

「そんな話は聞いていません。」
と声を上げたのは、女性の妹だった。

「姉は、どうするんですか?
姉はずっと待っていました。
姉に先に話をするのが筋です。」

お姉さんと、愛こんにゃく家は、どういうご関係で?

お姉さんは、顔色を変えずに愛こんにゃく家を見ている。

お姉さんは、お化粧もして華やかな洋服を着ている。

「王城にてお話があると聞いて、飛んできたら、いいお話がこれですか?
あまりに姉を馬鹿にし過ぎじゃありませんか?」
と妹さん。

何がどうなっているのやら?

愛こんにゃく家は、話すべきことは、話して、心残りはない、と、一人ですっきり顔。

長官は、地位的に、話しかける対象じゃないのか、涼しい顔。

愛こんにゃく家の家族は、ひたすら驚いている。

もう一つの家族のお姉さんは、静かに愛こんにゃく家を見ているだけ。

弟は、オレ達を見ている。

妹は、エキサイト中。

クロードは、我かんせず。

愛こんにゃく家を雇うと言い出したのは、オレだから、オレが仕切るところだなー。

愛こんにゃく家を愛こんにゃく家と呼ぶわけには、いかない。

しかし、王家の専属だった愛こんにゃく家の本名を口にするのは、はばかれる。

「家族に伝えるように、とオレは言ったな。
満足そうにしているが、家族が内容を理解したか、確認してこい。
理解したなら、家族の一人に、理解したと発言させろ。わかりやすく。」

愛こんにゃく家は、驚きっぱなしの家族の元にいくと。
「そういうことだから、今生の別れになると思う。」
と言った。

驚きっぱなしの家族は、
「理解した?」
と愛こんにゃく家に念押しされると。

「理解できるか!」
と愛こんにゃく家の父。

「何も理解できないわよ。」
と愛こんにゃく家の母。

「何がどうなってそうなったのか、経緯を話してくれない?」
と愛こんにゃく家の弟その一。

「マウンテン王国を出て戻らない理由が知りたい。」
と愛こんにゃく家の弟その二。

愛こんにゃく家は、家族に説明する気になったらしい。

「運命を感じたから。」
と愛こんにゃく家。


もう一つのテーブルの弟さんが立ち上がった。

「あなたは、この年まで、姉のことを引き延ばしておきながら、姉と結婚しないつもりなんですか?

もう何十年越しになると思っているんです?

責任とってください。」
とお姉さんの弟さん。

何十年越し?

幼馴染か?

まさか、筒井筒じゃないよな?

幼馴染と結婚の話が出ていた矢先に、仕事へ出かけて、仕事先でこんにゃくと相思相愛に、なんて。

まさか、な?
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