《本編 完結 続編開始》29歳、異世界人になっていました。日本に帰りたいのに、年下の英雄公爵に溺愛されています。

かざみはら まなか

文字の大きさ
上 下
207 / 667
第7章 オレは、英雄公爵と並んで歩いています。始まりは、一人と一人でしたね。道なき道を切り拓きます。

207.どう転んでも茨の道なら、どちらかを選びましょう。『本当に頼れる男でいたいから、オレが必要とされなくなったとしても、いい環境をやる。』

しおりを挟む
女神様にも、国王陛下にもオレとクロードの真の狙いは秘めたまま、復讐は始まる。

この復讐は、スタートをきれたら、勝負はついたも同然。

だから、唯一、女神様と対等なオレが一人で話を進めた。

クロードが、何もしないのは、女神様に引きずられないため。

女神様の優先順位は、国王陛下が一番だ。

女神様にとって、英雄クロードは、最近、気になる新人、のようなもの。

英雄クロード一人では、女神様と女神様のしもべ国王陛下のタッグには、勝てない。

女神様と国王陛下の意識から、英雄クロードの存在をそらし続けることが、勝利の鍵だった。

オレも神子様もクロードも人生を弄ばれて、黙っている人間じゃない。

神子様は、こちらから元の世界に戻ることで、女神様と国王陛下の両方に痛手を負わせた。

オレと神子様は、魔法が使えない。
クロードは、オレに尻バリアを使っているから、魔法が使えない。

オレ達は、魔法なしで、復讐を成し遂げ、狙った成果を手にした。

魔法があっても、勝負の肝じゃない。

勝敗を決めるのは、知恵と度胸だ。

女神様の影響から、女神様公認で抜け出た今。

オレとクロードが興したケレメイン大公国の発展は、人の力をどう活かすか、にかかってくる。

ケレメイン大公国が成功例になれば、後に続く国が出てくる。

女神様に歯向かった失敗例として、どん底に落ちるも、成功例として、先駆者になるのも、オレ達次第。


オレが、クロードに、王になりたいか?
と確認したとき。

オレもクロードも、もう茨の道を突き進むしかないと分かっていた。

平穏無事な道は、もう歩けない、と覚悟していた。

どう転んでも、茨の道しかないのなら。

せめて、自分達が納得して選んだ道を歩きたい。

それが、オレとクロードが出した答え。

今までの苦しみを、これからも我慢し続けるか?

今までの苦しみは、リセットして、代わりに、納得して、新しい艱難辛苦を一生背負うか?

オレとクロードは、後者を選んだ。

茨の道を進む覚悟をして、自分達の意思で、進む道を決めた。

オレとクロードは、これから、ケレメイン大公国の国民のために頭をひねったり、頭を下げる日が続くことになる。

クロードが、一人で叶えようと奮闘していた魔王になった元神子の女性の最期の願いは、どうしても叶えたかった。

オレがクロードの伴侶だから。

クロードの苦しみの始まりにもなった、魔王と英雄の成就しない恋は、オレと出会ったことで、恋ではなく、決意に変化していた。

オレは、クロードの決意は立派だと思う。

でも、立派な決意のために、クロードが苦しむのを見ているだけ、というのは、オレの性に合わない。

オレは、クロードが一人で苦しまないようにしたい。

クロードが、オレといて、幸せだと感じでくれたら、最高。

そのためなら、オレは、頑張れる。

今日も、やりきった。

今日も、オレは、クロードの頼れる男だった。

良かった。

クロードが、安心してオレを頼ってきたら、オレは、クロードを安心させて、頼らせる。

オレ達は、そうやって、うまくやってきたんだ。

ずっと。

まだ、女神様と国王陛下に話すことはある。

でも、肩の荷はおりた。


オレがクロードを助ける距離にいなくても、クロードが困らないように。
クロードが、新しい傷を負わなくていいように。

この先、クロードに幻滅されて、別れを告げられたら?と考えたら、苦しくなる。

オレがいなくなっても、クロードが生きていける環境を作っているなんて、自殺行為みたいだ。

だけど。
オレは、クロードが、本当に頼れる男でいたい。

クロードがオレに依存しなくてもいいように、一人で羽ばたきたいときに、羽ばたけるような環境を作る。

クロードが旅に出たいと言ったら、胸を張って送り出せるようにしておく。

今の、まだ、オレに、余裕があるうちに。
しおりを挟む
感想 84

あなたにおすすめの小説

どうしてこうなった?(ショートから短編枠にしたもの)

エウラ
BL
3歳で魔物に襲われて両親を亡くし、孤児院育ちの黒髪黒目で童顔のノヴァは前世の記憶持ちの異世界転生者だ。現在27歳のCランク冒険者。 魔物に襲われたときに前世の記憶が甦ったが、本人は特にチートもなく平々凡々に過ごしていた。そんなある日、年下22歳の若きSランク冒険者のアビスと一線を越える出来事があり、そこで自分でも知らなかった今世の過去を知ることになり、事態は色々動き出す。 若干ストーカー気味なわんこ系年下冒険者に溺愛される自己評価の低い無自覚美人の話。 *以前ショート専用の枠で書いてましたが話数増えて収拾がつかなくなったので短編枠を作って移動しました。 お手数おかけしますがよろしくお願いいたします。 なお、プロローグ以降、途中まではショートの投稿分をまるっと載せるのでそちらと重複します。ご注意下さい。出来次第投稿する予定です。 こちらはR18には*印付けます。(でも忘れたらすみません)

どうも、卵から生まれた魔人です。

べす
BL
卵から生まれる瞬間、人間に召喚されてしまった魔人のレヴィウス。 太った小鳥にしか見えないせいで用無しと始末されそうになった所を、優しげな神官に救われるのだが…

【完結】ぎゅって抱っこして

かずえ
BL
幼児教育学科の短大に通う村瀬一太。訳あって普通の高校に通えなかったため、働いて貯めたお金で二年間だけでもと大学に入学してみたが、学費と生活費を稼ぎつつ学校に通うのは、考えていたよりも厳しい……。 でも、頼れる者は誰もいない。 自分で頑張らなきゃ。 本気なら何でもできるはず。 でも、ある日、金持ちの坊っちゃんと心の中で呼んでいた松島晃に苦手なピアノの課題で助けてもらってから、どうにも自分の心がコントロールできなくなって……。

実はαだった俺、逃げることにした。

るるらら
BL
 俺はアルディウス。とある貴族の生まれだが今は冒険者として悠々自適に暮らす26歳!  実は俺には秘密があって、前世の記憶があるんだ。日本という島国で暮らす一般人(サラリーマン)だったよな。事故で死んでしまったけど、今は転生して自由気ままに生きている。  一人で生きるようになって数十年。過去の人間達とはすっかり縁も切れてこのまま独身を貫いて生きていくんだろうなと思っていた矢先、事件が起きたんだ!  前世持ち特級Sランク冒険者(α)とヤンデレストーカー化した幼馴染(α→Ω)の追いかけっ子ラブ?ストーリー。 !注意! 初のオメガバース作品。 ゆるゆる設定です。運命の番はおとぎ話のようなもので主人公が暮らす時代には存在しないとされています。 バースが突然変異した設定ですので、無理だと思われたらスッとページを閉じましょう。 !ごめんなさい! 幼馴染だった王子様の嘆き3 の前に 復活した俺に不穏な影1 を更新してしまいました!申し訳ありません。新たに更新しましたので確認してみてください!

嫌われ者の長男

りんか
BL
学校ではいじめられ、家でも誰からも愛してもらえない少年 岬。彼の家族は弟達だけ母親は幼い時に他界。一つずつ離れた五人の弟がいる。だけど弟達は岬には無関心で岬もそれはわかってるけど弟達の役に立つために頑張ってるそんな時とある事件が起きて.....

αからΩになった俺が幸せを掴むまで

なの
BL
柴田海、本名大嶋海里、21歳、今はオメガ、職業……オメガの出張風俗店勤務。 10年前、父が亡くなって新しいお義父さんと義兄貴ができた。 義兄貴は俺に優しくて、俺は大好きだった。 アルファと言われていた俺だったがある日熱を出してしまった。 義兄貴に看病されるうちにヒートのような症状が… 義兄貴と一線を超えてしまって逃げ出した。そんな海里は生きていくためにオメガの出張風俗店で働くようになった。 そんな海里が本当の幸せを掴むまで…

愛などもう求めない

白兪
BL
とある国の皇子、ヴェリテは長い長い夢を見た。夢ではヴェリテは偽物の皇子だと罪にかけられてしまう。情を交わした婚約者は真の皇子であるファクティスの側につき、兄は睨みつけてくる。そして、とうとう父親である皇帝は処刑を命じた。 「僕のことを1度でも愛してくれたことはありましたか?」 「お前のことを一度も息子だと思ったことはない。」 目が覚め、現実に戻ったヴェリテは安心するが、本当にただの夢だったのだろうか?もし予知夢だとしたら、今すぐここから逃げなくては。 本当に自分を愛してくれる人と生きたい。 ヴェリテの切実な願いが周りを変えていく。  ハッピーエンド大好きなので、絶対に主人公は幸せに終わらせたいです。 最後まで読んでいただけると嬉しいです。

学院のモブ役だったはずの青年溺愛物語

紅林
BL
『桜田門学院高等学校』 日本中の超金持ちの子息子女が通うこの学校は東京都内に位置する野球ドーム五個分の土地が学院としてなる巨大学園だ しかし生徒数は300人程の少人数の学院だ そんな学院でモブとして役割を果たすはずだった青年の物語である

処理中です...