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第7章 オレは、英雄公爵と並んで歩いています。始まりは、一人と一人でしたね。道なき道を切り拓きます。

194.英雄公爵は廃業!好きになればなるほど、好きな人に言えない胸の内。頼られたいのはエゴだと自覚しているから、知られたくないんです。

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「こちらにおわすのは、ケレメイン大公国の大公殿下と大公妃殿下である。」
とミーレ長官。

妃殿下かー。

他に、ないかなー。

「大公国?公爵じゃなくなった?」
「大公殿下?大公妃殿下?」

門番は困惑して、顔を見合わせている。

「男に見えるけど?」
オレをじっと見てから、また顔を見合わせる門番。

「確認しよう!」

城内に確認することにしたようだ。

「しばらく、お待ち下さい。」
と門番。

「ミーレ長官は、入りますか?」
と門番。

「私は、大公殿下ご夫妻の案内を務めている。」
とミーレ長官。

「入らないんですね。」
と門番。

「私だけ入ると、大公殿下ご夫妻の案内ができなくなる。」
と長官。

「では、ミーレ長官は、外にいるということで。」
と門番。

オレとクロードは、仲良く並んでいる。

今日は、歴史を動かす日になる。

オレとクロードは、いつの間にか、互いに見つめ合っていた。

いつから、だろう。

この手と体温に安心を覚えるようになったのは。

側にいることが当たり前になって。

今は、毎日、どこに行くにも、一緒だ。


最初の頃。

説明は?
オレの疑問点を聞いてから、話をしてみろ?

というクロードへのツッコミを心の中で繰り返していたオレ。

クロードは、徐々に話すようになった。

表情も豊かになり、オレといるときは、いつもご機嫌なクロード。

ひるがえって。

オレは、話せないことを、心の奥底に隠すようになった。

決して、誰にも悟られないように。

オレは、オレが日本に帰りたいと思う気持ちの根っこの部分を、クロードに明かすことは、したくない。

オレが、オレとして、クロードといるために、クロードに知られたくない。

オレの意地。

オレのプライド。

狭量かもしれない。

クロードには、年上の頼れる男の顔を見せていたいオレのエゴだから。

でも。

オレが、オレとして、クロードの隣に立つためには捨てられないエゴ。

クロードにとって、年上の頼れる男というステータスがないオレは、どんな存在になる?

想像もつかない。

クロードにすがって、クロードの一挙手一投足に一喜一憂して、クロードに媚びたり、クロードに一方的に期待するような人間にはなりたくない。

クロードが選ばなかった婚約者候補達と同じになってしまう。

苦しい。

苦しいけれど、吐き出すところがない。

だから。

このエゴは、オレが一人で向き合わないと。

クロードに知られないように。

クロードには、決して、悟られないように。
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