《本編 完結 続編開始》29歳、異世界人になっていました。日本に帰りたいのに、年下の英雄公爵に溺愛されています。

かざみはら まなか

文字の大きさ
上 下
194 / 667
第7章 オレは、英雄公爵と並んで歩いています。始まりは、一人と一人でしたね。道なき道を切り拓きます。

194.英雄公爵は廃業!好きになればなるほど、好きな人に言えない胸の内。頼られたいのはエゴだと自覚しているから、知られたくないんです。

しおりを挟む
「こちらにおわすのは、ケレメイン大公国の大公殿下と大公妃殿下である。」
とミーレ長官。

妃殿下かー。

他に、ないかなー。

「大公国?公爵じゃなくなった?」
「大公殿下?大公妃殿下?」

門番は困惑して、顔を見合わせている。

「男に見えるけど?」
オレをじっと見てから、また顔を見合わせる門番。

「確認しよう!」

城内に確認することにしたようだ。

「しばらく、お待ち下さい。」
と門番。

「ミーレ長官は、入りますか?」
と門番。

「私は、大公殿下ご夫妻の案内を務めている。」
とミーレ長官。

「入らないんですね。」
と門番。

「私だけ入ると、大公殿下ご夫妻の案内ができなくなる。」
と長官。

「では、ミーレ長官は、外にいるということで。」
と門番。

オレとクロードは、仲良く並んでいる。

今日は、歴史を動かす日になる。

オレとクロードは、いつの間にか、互いに見つめ合っていた。

いつから、だろう。

この手と体温に安心を覚えるようになったのは。

側にいることが当たり前になって。

今は、毎日、どこに行くにも、一緒だ。


最初の頃。

説明は?
オレの疑問点を聞いてから、話をしてみろ?

というクロードへのツッコミを心の中で繰り返していたオレ。

クロードは、徐々に話すようになった。

表情も豊かになり、オレといるときは、いつもご機嫌なクロード。

ひるがえって。

オレは、話せないことを、心の奥底に隠すようになった。

決して、誰にも悟られないように。

オレは、オレが日本に帰りたいと思う気持ちの根っこの部分を、クロードに明かすことは、したくない。

オレが、オレとして、クロードといるために、クロードに知られたくない。

オレの意地。

オレのプライド。

狭量かもしれない。

クロードには、年上の頼れる男の顔を見せていたいオレのエゴだから。

でも。

オレが、オレとして、クロードの隣に立つためには捨てられないエゴ。

クロードにとって、年上の頼れる男というステータスがないオレは、どんな存在になる?

想像もつかない。

クロードにすがって、クロードの一挙手一投足に一喜一憂して、クロードに媚びたり、クロードに一方的に期待するような人間にはなりたくない。

クロードが選ばなかった婚約者候補達と同じになってしまう。

苦しい。

苦しいけれど、吐き出すところがない。

だから。

このエゴは、オレが一人で向き合わないと。

クロードに知られないように。

クロードには、決して、悟られないように。
しおりを挟む
感想 84

あなたにおすすめの小説

どうしてこうなった?(ショートから短編枠にしたもの)

エウラ
BL
3歳で魔物に襲われて両親を亡くし、孤児院育ちの黒髪黒目で童顔のノヴァは前世の記憶持ちの異世界転生者だ。現在27歳のCランク冒険者。 魔物に襲われたときに前世の記憶が甦ったが、本人は特にチートもなく平々凡々に過ごしていた。そんなある日、年下22歳の若きSランク冒険者のアビスと一線を越える出来事があり、そこで自分でも知らなかった今世の過去を知ることになり、事態は色々動き出す。 若干ストーカー気味なわんこ系年下冒険者に溺愛される自己評価の低い無自覚美人の話。 *以前ショート専用の枠で書いてましたが話数増えて収拾がつかなくなったので短編枠を作って移動しました。 お手数おかけしますがよろしくお願いいたします。 なお、プロローグ以降、途中まではショートの投稿分をまるっと載せるのでそちらと重複します。ご注意下さい。出来次第投稿する予定です。 こちらはR18には*印付けます。(でも忘れたらすみません)

堕とされた悪役令息

SEKISUI
BL
 転生したら恋い焦がれたあの人がいるゲームの世界だった  王子ルートのシナリオを成立させてあの人を確実手に入れる  それまであの人との関係を楽しむ主人公  

嫌われものの僕について…

相沢京
BL
平穏な学校生活を送っていたはずなのに、ある日突然全てが壊れていった。何が原因なのかわからなくて気がつけば存在しない扱いになっていた。 だか、ある日事態は急変する 主人公が暗いです

どうも、卵から生まれた魔人です。

べす
BL
卵から生まれる瞬間、人間に召喚されてしまった魔人のレヴィウス。 太った小鳥にしか見えないせいで用無しと始末されそうになった所を、優しげな神官に救われるのだが…

【完結】ぎゅって抱っこして

かずえ
BL
幼児教育学科の短大に通う村瀬一太。訳あって普通の高校に通えなかったため、働いて貯めたお金で二年間だけでもと大学に入学してみたが、学費と生活費を稼ぎつつ学校に通うのは、考えていたよりも厳しい……。 でも、頼れる者は誰もいない。 自分で頑張らなきゃ。 本気なら何でもできるはず。 でも、ある日、金持ちの坊っちゃんと心の中で呼んでいた松島晃に苦手なピアノの課題で助けてもらってから、どうにも自分の心がコントロールできなくなって……。

実はαだった俺、逃げることにした。

るるらら
BL
 俺はアルディウス。とある貴族の生まれだが今は冒険者として悠々自適に暮らす26歳!  実は俺には秘密があって、前世の記憶があるんだ。日本という島国で暮らす一般人(サラリーマン)だったよな。事故で死んでしまったけど、今は転生して自由気ままに生きている。  一人で生きるようになって数十年。過去の人間達とはすっかり縁も切れてこのまま独身を貫いて生きていくんだろうなと思っていた矢先、事件が起きたんだ!  前世持ち特級Sランク冒険者(α)とヤンデレストーカー化した幼馴染(α→Ω)の追いかけっ子ラブ?ストーリー。 !注意! 初のオメガバース作品。 ゆるゆる設定です。運命の番はおとぎ話のようなもので主人公が暮らす時代には存在しないとされています。 バースが突然変異した設定ですので、無理だと思われたらスッとページを閉じましょう。 !ごめんなさい! 幼馴染だった王子様の嘆き3 の前に 復活した俺に不穏な影1 を更新してしまいました!申し訳ありません。新たに更新しましたので確認してみてください!

【完結】悪役令息の役目は終わりました

谷絵 ちぐり
BL
悪役令息の役目は終わりました。 断罪された令息のその後のお話。 ※全四話+後日談

嫌われ者の長男

りんか
BL
学校ではいじめられ、家でも誰からも愛してもらえない少年 岬。彼の家族は弟達だけ母親は幼い時に他界。一つずつ離れた五人の弟がいる。だけど弟達は岬には無関心で岬もそれはわかってるけど弟達の役に立つために頑張ってるそんな時とある事件が起きて.....

処理中です...