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第7章 オレは、英雄公爵と並んで歩いています。始まりは、一人と一人でしたね。道なき道を切り拓きます。
187.女神様は、なんで、オレを異世界転移させたのですか?他にも条件に合う人はいましたよね。
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「神子と英雄は、異性というのが通例なら、神子様が神子様を承諾するより前に、神子様に確認しないとダメだろう。」
「ぼくは、どっちでもいけるよ。
でも、女性限定なら、選ぶ前に知っておきたかった。
そうすれば、最初から、女性の中で探したのに。
国王陛下も候補に入っているし、他にも男が候補にいるから、どちらでもいいのかと思っていた。
ろくなやつがいないと思ったら、クロードが来たんだよ?
クロードを選ぶに決まっている。
クロード一択だよ。」
と神子様。
神子様は、どっちもアリだったのか。
経験豊富そうな気はしていた。
「メンバーを聞いたら、選ぶ余地がなー。
女神様が、そのメンバーに合いそうな相手を神子として連れてきたら良かったんだ。
神子様が来る方が、魔王の出現より後なんだから。
英雄候補の選出も済んでいただろうに。」
オレは、はあ、とため息をついた。
「女神様が、オレを異世界転移させたのもなー。」
「あなたは、クロードが選んだんだよ?」
と神子様。
神子様は、何を贅沢言っているのか、と言わんばかりに、オレを見ている。
でもなー。
「クロードに選ばせるなら、オレである必要はあったかな?」
「どういう意味?」
と神子様。
「クロードがオレに惚れた理由は、クロードを頼るんじゃなく、クロードを受け止めて、支えて、引っ張れるからだ。
クロードが英雄だと知らないことよりも、相性が問題だと思う。
クロードは、24歳で、突然両親を失い、その両肩に責任と仕事がおりてきた。
クロードに嫁取りさせたいなら、クロードと同じか、それ以上に仕事をすることができて、クロードが安心して甘えられる相手であることが、前提だ。
こちらには、オレしかいなかった。
でも。
日本になら、いるだろ?
オレは、日本の生活に不満なんて、なくはないが、我慢できる程度だった。
こちらに来てからは、不満がいっぱいだぞ?
そもそも、こちらに来たくなかったんだから。」
オレは、ずっと疑問に思っていて、誰にも打ち明けたことがない一言を初めて吐露した。
「なんで、オレだったんだよ。」
と。
「あなたは、本当に、来たくなかったんだ?」
と驚く神子様。
「オレは、会社関係者や家族、隣近所の人や友達に、腹を立てることはあっても、会いたくない、とまでは考えたことがなかった。
いなくなりたい、とも思ったことはない。
腹立つことが続いた後、事態が好転して喜んでいたところだったんだ。
早く戻りたくて、戻りたくて、ずっと必死だった。
なんで、オレは、戻れない。
考えていたことがある。
神子様は、色々経験したけれど、この世界にいたいと思うか?
日本で暮らすよりも?」
「ぼくは、こちらに、というより、元の世界にいたくない。」
と神子様。
「オレは、日本に残してきたものが、心残りが、たくさんある。日本に帰れるなら、帰りたい。」
「あなたが、帰るのは、できないんじゃなかった?」
と神子様。
「試したいんだ。試さないと諦めきれない。」
「失敗したら、変わらないけれど、うまくいったら?クロードは?」
と神子様。
「戻って来る。必ず戻って来るから、一度帰りたい。盆と正月は、帰る習慣にしたい。」
「そんなに帰りたいんだ?」
と神子様。
「強制的に、オレの29年の人生を投げ出すことを余儀なくされたけれど、オレは投げ出すことに、納得していない。」
「未練があるの?」
と神子様。
「未練しかない。」
「ぼくと正反対。ぼくは、元の世界なんて全部いらないのに。うまくいかないよね。」
と神子様は、残念そうだ。
「神子様は、元の世界にいたくない、こちらにいたい、ということだよな。
オレは、日本に帰りたい。
神子様、今から話すオレの提案に乗らないか?」
「ぼくは、どっちでもいけるよ。
でも、女性限定なら、選ぶ前に知っておきたかった。
そうすれば、最初から、女性の中で探したのに。
国王陛下も候補に入っているし、他にも男が候補にいるから、どちらでもいいのかと思っていた。
ろくなやつがいないと思ったら、クロードが来たんだよ?
クロードを選ぶに決まっている。
クロード一択だよ。」
と神子様。
神子様は、どっちもアリだったのか。
経験豊富そうな気はしていた。
「メンバーを聞いたら、選ぶ余地がなー。
女神様が、そのメンバーに合いそうな相手を神子として連れてきたら良かったんだ。
神子様が来る方が、魔王の出現より後なんだから。
英雄候補の選出も済んでいただろうに。」
オレは、はあ、とため息をついた。
「女神様が、オレを異世界転移させたのもなー。」
「あなたは、クロードが選んだんだよ?」
と神子様。
神子様は、何を贅沢言っているのか、と言わんばかりに、オレを見ている。
でもなー。
「クロードに選ばせるなら、オレである必要はあったかな?」
「どういう意味?」
と神子様。
「クロードがオレに惚れた理由は、クロードを頼るんじゃなく、クロードを受け止めて、支えて、引っ張れるからだ。
クロードが英雄だと知らないことよりも、相性が問題だと思う。
クロードは、24歳で、突然両親を失い、その両肩に責任と仕事がおりてきた。
クロードに嫁取りさせたいなら、クロードと同じか、それ以上に仕事をすることができて、クロードが安心して甘えられる相手であることが、前提だ。
こちらには、オレしかいなかった。
でも。
日本になら、いるだろ?
オレは、日本の生活に不満なんて、なくはないが、我慢できる程度だった。
こちらに来てからは、不満がいっぱいだぞ?
そもそも、こちらに来たくなかったんだから。」
オレは、ずっと疑問に思っていて、誰にも打ち明けたことがない一言を初めて吐露した。
「なんで、オレだったんだよ。」
と。
「あなたは、本当に、来たくなかったんだ?」
と驚く神子様。
「オレは、会社関係者や家族、隣近所の人や友達に、腹を立てることはあっても、会いたくない、とまでは考えたことがなかった。
いなくなりたい、とも思ったことはない。
腹立つことが続いた後、事態が好転して喜んでいたところだったんだ。
早く戻りたくて、戻りたくて、ずっと必死だった。
なんで、オレは、戻れない。
考えていたことがある。
神子様は、色々経験したけれど、この世界にいたいと思うか?
日本で暮らすよりも?」
「ぼくは、こちらに、というより、元の世界にいたくない。」
と神子様。
「オレは、日本に残してきたものが、心残りが、たくさんある。日本に帰れるなら、帰りたい。」
「あなたが、帰るのは、できないんじゃなかった?」
と神子様。
「試したいんだ。試さないと諦めきれない。」
「失敗したら、変わらないけれど、うまくいったら?クロードは?」
と神子様。
「戻って来る。必ず戻って来るから、一度帰りたい。盆と正月は、帰る習慣にしたい。」
「そんなに帰りたいんだ?」
と神子様。
「強制的に、オレの29年の人生を投げ出すことを余儀なくされたけれど、オレは投げ出すことに、納得していない。」
「未練があるの?」
と神子様。
「未練しかない。」
「ぼくと正反対。ぼくは、元の世界なんて全部いらないのに。うまくいかないよね。」
と神子様は、残念そうだ。
「神子様は、元の世界にいたくない、こちらにいたい、ということだよな。
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