《本編 完結 続編開始》29歳、異世界人になっていました。日本に帰りたいのに、年下の英雄公爵に溺愛されています。

かざみはら まなか

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第7章 オレは、英雄公爵と並んで歩いています。始まりは、一人と一人でしたね。道なき道を切り拓きます。

185.愛こんにゃく家、長官、清廉な英雄公爵、医者と司祭、現実を直視した神子様、イレギュラーなオレ。バラエティー豊富にとりそろえています。

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長官と仲良くお喋りするようになったオレは、王都の情報に詳しくなった。


英雄公爵クロードは、情報収集という発想がなかった。
クロードは、目の前にある情報で満足していた。

オレは、クロードに色々聞くのではなく、クロードと一緒に、誰かの話を聞くようにした。


神子様の、情報は、大幅に制限がかけらていた。

神子様の自立を妨げるためだろう。

長官の話を、オレと一緒に聞いていた神子様。

神子様は、悔しがった。
『ぼくの置かれていた状況は、ぼくが望んだ風景を見せられていただけで、実態はまるで違ったんだ。
ぼくは、全く気づかず、意気揚々とかごの鳥でいたんだよ。』


クロードの友人その四、医者と、その三、司祭の情報は、役に立った。

医者は、あちこちに出入りしていたので、噂話から、ネタの裏側をよく知っていた。

司祭は、王侯貴族について詳しかった。

クロードが、司祭に情報提供をお願いして、公爵家の権威で、医者を引き立てていたら、司祭と医者は、最初から、クロード側についていたのかな、とオレは思った。

クロードは、クロード自身の清廉さから、平民の医者は、平民のままでも問題なく友人だと、医者に公爵家からの恩恵を与えなかった。

司祭は、クロードの友人として、医者が堂々と振る舞えるように、と、クロードを促したが、クロードは、地位など関係なく、医者は友人だと断っていた。

クロードは、自身の感覚で、クロードの友人の医者に地位は必要だと思わなかった。

地位も名誉もなくても、医者は、友人だから、と、にべもない断り方をした。

クロードは、医者が友人だから、地位や名誉で判断しない。

しかし、クロード以外は、クロードの友人の医者のことを地位や名誉で判断する。

クロードは、友人の医者が王侯貴族の中にいても、肩身の狭い思いをしないようにする、という頭はなかった。

クロードの中で、クロードと医者の関係は、いつも一対一。

他人の思惑なんて、クロードは知らない、気にもしない。

クロードは、ケレメイン公爵。

生まれたときから、気にされる側にいるから。

だから。

医者の気持ちも、第三者の思惑にも気づかなかった。

オレ一緒に話をきいていたクロードは、そうだったのか、と発見していた。

「水清ければ魚棲まず。」
とオレが言うと、クロードは、あれこれと思い出を掘り起こしては、医者と司祭に尋ねていた。

医者と司祭は、クロードの持ち味である清廉さを否定しないために、距離をとった部分もあったのだといいなー。

期待はしていない。

面倒だから、とか、嫌気がさしたから、とかではなく、クロードと距離をとることで、関係を続けようとしていたならなー。

実際は、国王陛下が大っぴらに拒否していない公爵家と仲違いするわけにはいかない、という、ぎりぎり王族の事情があるんだろうけど。


長官は、妻子持ちだった。

妻子の前で、生き恥をさらす人生は避けたかったらしい。

長官は、その地位の高さゆえに、特殊性癖がオープンになった日には、妻子に拒絶されるだけにとどまらず、社会的に死亡するだろうな。

行く宛をなくして、肉体も早々に死亡するだろう。

愛こんにゃく家に生まれ変わった暗殺者は、公爵家に隔離されているから、騒がれないだけだ。

愛こんにゃく家と暗殺者。

どっちなら、世に解き放っていいのかなー。


分家のクズと、クズ仲間は、逃げたりしないように、公爵領にいた狙撃手がマンツーマンで対応している。

公爵領にいた狙撃手は、長官の指示の元、ケレメイン公爵家のために働いている。

元々、長官と狙撃手には上下関係があったんだろう。

最初から、スムーズな意思疎通が出来ていた。

公爵領内にいた狙撃手に、長官は話をし、全員、無抵抗で、ケレメイン公爵家へ投降させた。

さすが長官、見事な手際だった。


都に攻め上るケレメイン公爵家の中には、長官はもちろん、愛こんにゃく家の暗殺者もいる。

バラエティー豊富に取り揃えている。
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