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第6章 異世界で公爵の伴侶やってます。溺愛とは、何でしょうか。

162.同床異夢でしょうか。獅子身中の虫がいます。

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「シナリオライターが、ダメでも、役者が頑張れば良かったんだよね?」
と神子様。

この調子じゃ、のらりくらりと、かわされるなー。

オレは、遠回しに聞くのは、止めた。

「誘拐犯は、手際が良く、特徴が印象に残らなかった。指揮命令系統がはっきりした組織の統率がとれた動きだった。
ごろつきじゃない。
彼らは、誘拐の報酬を貰わなかった。」

「へえ。物騒だよね。」
と神子様。

動じないよなー。

「誘拐された先に、現れた男達は、誘拐前日に、オレの配下になった。男達は、最初、オレのことを体で公爵を落としたと話していた。」

「ふーん。だから?」
と神子様。

「男達は、途中で、オレのことを初物と言い始めた。」

「実際に、あなたは、経験がなかったんだよね?外れていないよね?」
神子様の返事は、木で鼻をくくったよう。

「国王陛下は、オレを簡単にひねり潰せるザコ扱いしてきた。
ある時点までは。」

「そうなんだね?」
と神子様。

言質を取らせないなー。

「ひるがえって、神子様は、どうだったかなー?」

「ぼくのことを語れるほど、あなたは、ぼくを知っていた?」
と神子様は、どうでもいい、という表情をしている。

「オレが、知っている神子様は、クロードを挟んで、オレの恋敵だったという事実だなー。
オレ、クロード、神子様の三人は、三角関係だった。」

「三角関係ね?」
神子様は、興味なさげにしている。

「神子様は、オレを排除したがっていた。
効率よくオレを排除する方法があれば、神子様はためらったかな?」

「さあ。」
と神子様は、オレに見向きもしない。

「神子様は、王城で初めて会ったときも、公爵家の屋敷に乗り込んできたときも、神子様自身が悪く言われないように動いていた。

神子様自身は、何をするでもない。
神子様は、神子様以外の誰かが、神子様の思い描く結末を実現するように、誘導する。」

神子様は、涼しい顔をしている。

「オレを囲んだ男達は、可愛がるのは、よしと指示されていた。
同時に、傷つけたり、殺したりしないように、とも指示されていた。」

神子様は、オレを傷つけたり、死なせたりは、立場上出来なかった。

魔王にならないために。

「オレは、国王陛下の恋敵じゃない。国王陛下は、オレを潰しにくるくらいなら、殺しに来る。」

標的のオレが目の前にいても、殺れ、と命令できるからな、国王陛下は。

「神子様は、オレのことを殺さない。オレを傷つけない。オレが、快楽に弱いなら、寝盗らせたら?と考えなかったかな。」

寝盗らせが目的だったと思うんだよな。

夫婦を別れさせるのに、片方に男か女を近づけて不倫に持ち込み、不貞にショックを受けている意中の人を慰める手口。

「前評判とは違って、オレは快楽に弱い性質ではなかったから、計算が狂ったよなー。」

「クロードとオレは、昨夜まで、正真正銘、清らかな間柄だった。」

「事前情報とは違ったから、うまくいかないのも仕方がない。

宰相補佐も、近衛騎士団の副団長も国王陛下も、オレについての正確な情報を集めて、神子様に伝える気はあったのかな?

クロードは、嘘の報告を聞いていたが、今は、嘘をつかれていたことを知っている。」

クロードのことを話すと、神子様は、耳を傾けるなー。

「男達は、英雄公爵クロードの鼻を明かすことを楽しみにしていた。」

神子様の知らない情報で、切り込んでいく。

「神子様のことも、ぺらぺら話したな。」

「『公爵の伴侶を公爵よりも早くいただける機会を与えてくださるなんて、偉大ですよねえ。神子様は。』と言っていたぞ。」

神子様は、無関心。

「『神子様は、公爵がいいと言っている。公爵は、神子様と結婚し直す。』とも。」

公爵と結婚は、重要なキーワードだよな。

「さて、神子様、恋敵の寝盗らせに失敗したよな?」

「憶測でぼくをなじるんだ?」
と神子様。

「オレは、デマで犯されるところだったな。」

「オレは、この件については、許す気がないから、謝らなくていい。神子様も、謝る気はないよな?」

「ぼくを有罪判定するには、早すぎるよ。」
と神子様。

「有罪判定する気はない。オレはな?でも、クロードは違う。もう、分かっただろう?」

「クロードは、ぼくのことを信用しているよ。」
神子様は、自信満々。

神子様は、人を動かすことには慣れていても、自分の立ち回りには、慣れていないよな?

「クロードが、一つの魔法を使っているときは、他の魔法は使えない。

さっき襲ってきた、王家専属の刺客は、英雄の弱点ともいえる、その情報を知っていた。

英雄と一緒に戦った人しか知らない情報だな?

クロードとオレに向かってきた刺客は、クロードが魔法を使えない状態だと感づいた。

さて、どうしてだ?」
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