上 下
146 / 436
第6章 異世界で公爵の伴侶やってます。溺愛とは、何でしょうか。

146.オレが、誘拐されていた間に、クロードの身に起きていたことを聞きたいです。国王陛下や神子様と、どんな話をしたのですか?

しおりを挟む
オレが逃げ腰になるのもよくないけれど、
クロードの逃がさないという意欲が、尋常じゃない。

追われると、逃げたくなるんだよ。

反射的に。

逃げ腰にならないように、踏ん張るけど。

「王都に戻ってきたオレとクロードは、クロードの職場環境を改善しようと、急いだ結果、国王陛下の策略にはまった。

クロード。
オレが、捕まっている間に、何があった?

国王陛下と神子様と来たよな?

三人で、話し合ってきたんだよな?

国王陛下が来たのは、神子様とクロードをオレの前で祝福した後、オレをどうにかしたかったんだと思う。

神子様は、クロードから離れたくなかったんだろう。」

クロードにとっても、オレにとっても、オレの誘拐は、嫌な記憶だ。

なかったことにしたいのに、なくならない。

嫌だから、と蓋をしたままでは、国王陛下に翻弄されるばかり。

オレの不在中に、クロードは、英雄に関する何かを知らされたんじゃないかな。

例えば、真実の愛を捧げること、の意味とか。

オレとクロードが、もっと相談しあえる関係なら、空白の時間を空白のまま、今日まで持ち越さなかった。

クロードは、オレを大事そうに抱え込む。

クロードのストレスになる話なんだな。

「早い段階で、私は、ヒサツグがいないと気づいていた。
探そうとしていると。
国王陛下と宰相補佐、近衛騎士団の副団長と神子様に引き止められて、身動きが取れなくなった。」
とクロード。

オレは、クロードの太ももに手を伸ばして、よしよしと撫でた。

現在、オレは、クロードに抱え込まれているため、身動きが制限されている。

クロードは、オレが撫でるのを味わっていた。

「ヒサツグを探しているから、と断ったところ、ヒサツグにも関係する、急ぎの話だと。」
とクロード。

オレに関係する話、と聞いたら、クロードは、飛びついただろうなー。

「どんな話だったんだ?」

クロードは、その時の不快さを思い出し、オレのつむじの匂いを嗅いでから、話し始めた。

オレのつむじが、優秀。

クロード対策には、オレのつむじかあ。

「英雄について、分かったことを知らせたい、と。」
とクロード。

「何だったんだ?」

「英雄と神子様は、結ばれるのだ、と。
女神様に、そう定められていると。

英雄は神子様に真実の愛を捧げることで、神子様と英雄は真の夫婦になる。

神子様と英雄が仲睦まじく暮らす国は栄える。

そう聞いた。」
とクロード。

「余計なお世話だなー。」

クロードは、神子様と結婚しないために、奮闘していたんだから。

クロードが、神子様と結婚するという規定路線を進めば、神子の歴史が繰り返されるだけ。

クロードは、今代の神子様で最後にしようとしていた。

クロードは、魔王となった、元神子の女性の最期の願いを叶えようとしてきた。

心を通わせたのにも関わらず、クロード自身が、魔王に手を下さなければならないため、共に生きれなかった女性が、クロードに願ったから。

「神子様は、
『クロードと仲良く過ごしてきて、クロードと結婚するのを心の支えにしてきたのに、心変わりは、どうして?』
と悲しみながら訴える。」
と、その時を思い出して、困った顔をするクロード。

クロードは、神子様も、クロードと同じ考えで、神子の連鎖を止めたい派だと考えていた、と話していた。

神子様に、決断を迫られると想定していなかったクロードは、困惑したんだろう。

神子様は、殊勝な性格ではない。
国王陛下とクロードの前で、そういう振る舞いをしてみせたんだなー。

「国王陛下と宰相補佐と近衛騎士団の副団長が、三人が証人になるから、三人の見ている前で、神子様に真実の愛を捧げるように、と私を説得してきた。」
とクロード。

知り合いに囲まれて契約を迫られる、とか、クーリングオフが必要な話だなー。

英雄が、真実の愛を捧げる件は、撤回不可、先着一回のみっぽかったから、クーリングオフは使えないけれど。

クロードは、拒否できて、偉かったぞ。

「神子様も乗り気になっていた。
私が、真実の愛を捧げる、という意味を知らない、と話すと、神子様が、英雄が真実の愛を捧げる意味や、儀式の流れ、文言を解説した後、私に手順を練習させた。」
とクロード。

「練習?」

「一度きり、で、間違っては、無効だから、と。」
とクロード。

クロードが、オレに真実の愛を捧げた行動は、神子様が、クロードに真実の愛を捧げてもらうために、神子様自身が、クロードを指導した成果なんだな。


オレ、いたたまれなくなったぞ?

クロードの認識と、神子様の認識に差があるよなー?
しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

きっと世界は美しい

BL / 完結 24h.ポイント:369pt お気に入り:131

黄金郷の白昼夢

BL / 完結 24h.ポイント:28pt お気に入り:74

ウサ耳おっさん剣士は狼王子の求婚から逃げられない!

BL / 連載中 24h.ポイント:568pt お気に入り:2,767

おなじクラスのながおくん!

BL / 連載中 24h.ポイント:526pt お気に入り:12

異世界でのおれへの評価がおかしいんだが

BL / 完結 24h.ポイント:1,157pt お気に入り:13,886

血と束縛と

BL / 連載中 24h.ポイント:1,995pt お気に入り:1,267

捨てたのはあなたではなく私のほうです

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:241pt お気に入り:3,263

ハートの瞳が止まらない

BL / 連載中 24h.ポイント:49pt お気に入り:51

浮気旦那と離婚しましょうそうしましょう♪

恋愛 / 完結 24h.ポイント:0pt お気に入り:15

処理中です...