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第6章 異世界で公爵の伴侶やってます。溺愛とは、何でしょうか。
146.オレが、誘拐されていた間に、クロードの身に起きていたことを聞きたいです。国王陛下や神子様と、どんな話をしたのですか?
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オレが逃げ腰になるのもよくないけれど、
クロードの逃がさないという意欲が、尋常じゃない。
追われると、逃げたくなるんだよ。
反射的に。
逃げ腰にならないように、踏ん張るけど。
「王都に戻ってきたオレとクロードは、クロードの職場環境を改善しようと、急いだ結果、国王陛下の策略にはまった。
クロード。
オレが、捕まっている間に、何があった?
国王陛下と神子様と来たよな?
三人で、話し合ってきたんだよな?
国王陛下が来たのは、神子様とクロードをオレの前で祝福した後、オレをどうにかしたかったんだと思う。
神子様は、クロードから離れたくなかったんだろう。」
クロードにとっても、オレにとっても、オレの誘拐は、嫌な記憶だ。
なかったことにしたいのに、なくならない。
嫌だから、と蓋をしたままでは、国王陛下に翻弄されるばかり。
オレの不在中に、クロードは、英雄に関する何かを知らされたんじゃないかな。
例えば、真実の愛を捧げること、の意味とか。
オレとクロードが、もっと相談しあえる関係なら、空白の時間を空白のまま、今日まで持ち越さなかった。
クロードは、オレを大事そうに抱え込む。
クロードのストレスになる話なんだな。
「早い段階で、私は、ヒサツグがいないと気づいていた。
探そうとしていると。
国王陛下と宰相補佐、近衛騎士団の副団長と神子様に引き止められて、身動きが取れなくなった。」
とクロード。
オレは、クロードの太ももに手を伸ばして、よしよしと撫でた。
現在、オレは、クロードに抱え込まれているため、身動きが制限されている。
クロードは、オレが撫でるのを味わっていた。
「ヒサツグを探しているから、と断ったところ、ヒサツグにも関係する、急ぎの話だと。」
とクロード。
オレに関係する話、と聞いたら、クロードは、飛びついただろうなー。
「どんな話だったんだ?」
クロードは、その時の不快さを思い出し、オレのつむじの匂いを嗅いでから、話し始めた。
オレのつむじが、優秀。
クロード対策には、オレのつむじかあ。
「英雄について、分かったことを知らせたい、と。」
とクロード。
「何だったんだ?」
「英雄と神子様は、結ばれるのだ、と。
女神様に、そう定められていると。
英雄は神子様に真実の愛を捧げることで、神子様と英雄は真の夫婦になる。
神子様と英雄が仲睦まじく暮らす国は栄える。
そう聞いた。」
とクロード。
「余計なお世話だなー。」
クロードは、神子様と結婚しないために、奮闘していたんだから。
クロードが、神子様と結婚するという規定路線を進めば、神子の歴史が繰り返されるだけ。
クロードは、今代の神子様で最後にしようとしていた。
クロードは、魔王となった、元神子の女性の最期の願いを叶えようとしてきた。
心を通わせたのにも関わらず、クロード自身が、魔王に手を下さなければならないため、共に生きれなかった女性が、クロードに願ったから。
「神子様は、
『クロードと仲良く過ごしてきて、クロードと結婚するのを心の支えにしてきたのに、心変わりは、どうして?』
と悲しみながら訴える。」
と、その時を思い出して、困った顔をするクロード。
クロードは、神子様も、クロードと同じ考えで、神子の連鎖を止めたい派だと考えていた、と話していた。
神子様に、決断を迫られると想定していなかったクロードは、困惑したんだろう。
神子様は、殊勝な性格ではない。
国王陛下とクロードの前で、そういう振る舞いをしてみせたんだなー。
「国王陛下と宰相補佐と近衛騎士団の副団長が、三人が証人になるから、三人の見ている前で、神子様に真実の愛を捧げるように、と私を説得してきた。」
とクロード。
知り合いに囲まれて契約を迫られる、とか、クーリングオフが必要な話だなー。
英雄が、真実の愛を捧げる件は、撤回不可、先着一回のみっぽかったから、クーリングオフは使えないけれど。
クロードは、拒否できて、偉かったぞ。
「神子様も乗り気になっていた。
私が、真実の愛を捧げる、という意味を知らない、と話すと、神子様が、英雄が真実の愛を捧げる意味や、儀式の流れ、文言を解説した後、私に手順を練習させた。」
とクロード。
「練習?」
「一度きり、で、間違っては、無効だから、と。」
とクロード。
クロードが、オレに真実の愛を捧げた行動は、神子様が、クロードに真実の愛を捧げてもらうために、神子様自身が、クロードを指導した成果なんだな。
オレ、いたたまれなくなったぞ?
クロードの認識と、神子様の認識に差があるよなー?
クロードの逃がさないという意欲が、尋常じゃない。
追われると、逃げたくなるんだよ。
反射的に。
逃げ腰にならないように、踏ん張るけど。
「王都に戻ってきたオレとクロードは、クロードの職場環境を改善しようと、急いだ結果、国王陛下の策略にはまった。
クロード。
オレが、捕まっている間に、何があった?
国王陛下と神子様と来たよな?
三人で、話し合ってきたんだよな?
国王陛下が来たのは、神子様とクロードをオレの前で祝福した後、オレをどうにかしたかったんだと思う。
神子様は、クロードから離れたくなかったんだろう。」
クロードにとっても、オレにとっても、オレの誘拐は、嫌な記憶だ。
なかったことにしたいのに、なくならない。
嫌だから、と蓋をしたままでは、国王陛下に翻弄されるばかり。
オレの不在中に、クロードは、英雄に関する何かを知らされたんじゃないかな。
例えば、真実の愛を捧げること、の意味とか。
オレとクロードが、もっと相談しあえる関係なら、空白の時間を空白のまま、今日まで持ち越さなかった。
クロードは、オレを大事そうに抱え込む。
クロードのストレスになる話なんだな。
「早い段階で、私は、ヒサツグがいないと気づいていた。
探そうとしていると。
国王陛下と宰相補佐、近衛騎士団の副団長と神子様に引き止められて、身動きが取れなくなった。」
とクロード。
オレは、クロードの太ももに手を伸ばして、よしよしと撫でた。
現在、オレは、クロードに抱え込まれているため、身動きが制限されている。
クロードは、オレが撫でるのを味わっていた。
「ヒサツグを探しているから、と断ったところ、ヒサツグにも関係する、急ぎの話だと。」
とクロード。
オレに関係する話、と聞いたら、クロードは、飛びついただろうなー。
「どんな話だったんだ?」
クロードは、その時の不快さを思い出し、オレのつむじの匂いを嗅いでから、話し始めた。
オレのつむじが、優秀。
クロード対策には、オレのつむじかあ。
「英雄について、分かったことを知らせたい、と。」
とクロード。
「何だったんだ?」
「英雄と神子様は、結ばれるのだ、と。
女神様に、そう定められていると。
英雄は神子様に真実の愛を捧げることで、神子様と英雄は真の夫婦になる。
神子様と英雄が仲睦まじく暮らす国は栄える。
そう聞いた。」
とクロード。
「余計なお世話だなー。」
クロードは、神子様と結婚しないために、奮闘していたんだから。
クロードが、神子様と結婚するという規定路線を進めば、神子の歴史が繰り返されるだけ。
クロードは、今代の神子様で最後にしようとしていた。
クロードは、魔王となった、元神子の女性の最期の願いを叶えようとしてきた。
心を通わせたのにも関わらず、クロード自身が、魔王に手を下さなければならないため、共に生きれなかった女性が、クロードに願ったから。
「神子様は、
『クロードと仲良く過ごしてきて、クロードと結婚するのを心の支えにしてきたのに、心変わりは、どうして?』
と悲しみながら訴える。」
と、その時を思い出して、困った顔をするクロード。
クロードは、神子様も、クロードと同じ考えで、神子の連鎖を止めたい派だと考えていた、と話していた。
神子様に、決断を迫られると想定していなかったクロードは、困惑したんだろう。
神子様は、殊勝な性格ではない。
国王陛下とクロードの前で、そういう振る舞いをしてみせたんだなー。
「国王陛下と宰相補佐と近衛騎士団の副団長が、三人が証人になるから、三人の見ている前で、神子様に真実の愛を捧げるように、と私を説得してきた。」
とクロード。
知り合いに囲まれて契約を迫られる、とか、クーリングオフが必要な話だなー。
英雄が、真実の愛を捧げる件は、撤回不可、先着一回のみっぽかったから、クーリングオフは使えないけれど。
クロードは、拒否できて、偉かったぞ。
「神子様も乗り気になっていた。
私が、真実の愛を捧げる、という意味を知らない、と話すと、神子様が、英雄が真実の愛を捧げる意味や、儀式の流れ、文言を解説した後、私に手順を練習させた。」
とクロード。
「練習?」
「一度きり、で、間違っては、無効だから、と。」
とクロード。
クロードが、オレに真実の愛を捧げた行動は、神子様が、クロードに真実の愛を捧げてもらうために、神子様自身が、クロードを指導した成果なんだな。
オレ、いたたまれなくなったぞ?
クロードの認識と、神子様の認識に差があるよなー?
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