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第6章 異世界で公爵の伴侶やってます。溺愛とは、何でしょうか。
141.オレとクロードは、愛を語らうよりも、大事なことをしてきませんでした。互いの愛を疑わない関係を築くため、一歩ずつ踏み出します。二人で。
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クロードと話し合おう。
クロードと喧嘩になっても、クロードを泣かせても。
オレ達は、腹の中を見せ合う必要がある。
最低一回は。
信用出来ない者同士が、どうして夫婦でいられる?
気持ちを疑いたくないと思っていても。
相手のささやく愛の言葉に、いつか、疑いを抱く日がこないと言えるか?
オレは、腹をくくった。
動くなら、オレからだ。
オレは、オレの頭の両サイドにあるクロードの両手に、外側から手を添える。
「話し合うぞ、クロード。オレは、クロードに聞いてほしいことがある。
クロードに聞きたいこともある。
オレ達は、愛を語らうよりも先に、互いの愛を疑わない関係を築いていないから、互いに苦しいんだ。」
クロードは、動かない。
魔法を使おうともしていない。
多分。
オレは、クロードに視線を合わせる。
「オレは、クロードと話がしたい。
クロードは、オレと話がしたいと思えるようになったら、オレを抱きしめろ。」
クロードは、その後も十分くらい、オレの上にいた。
オレの言葉に聞く耳を持たないモードだったクロードの強固な雰囲気は、オレがクロードから目をそらさないでいると、徐々に、ゆるんできた。
クロードの目が、オレの真意を探るものに変わっていく。
最後まで、目をそらしたらダメだ。
にらめっこの耐久レースは、オレの粘り勝ちで終わった。
クロードの眼差しが、柔らかくなる。
「ヒサツグ、愛している。」
クロードは、優しい手つきで、オレの頬を撫でると、オレを包み込むように、抱きしめた。
オレは、勝利を噛みしめる。
「クロード、起きて、話し合いを。」
「このままで。このままがいい。」
とクロード。
クロード、座って話し合いは、お好みじゃないのかなー?
このまま、というと、寝転がって、オレは抱きしめられながら、だよなー?
話しにくくないかなー。
クロードは、抱きしめる体勢から動かない。
オレが、譲歩しよう。
時間だけが、無為に過ぎるよりは、話し合いの体勢くらい、なんだ。
さあ、話すぞ、と、オレが気持ちを切り替えたときに。
「いつ、いつだ、ヒサツグ。」
オレの耳に落ちてきたクロードのささやきは、弱々しかった。
「話すよ。クロード。
オレが何を考えて、どうして、そうしてきたか、を。
すぐに受け入れられなくて構わないから、オレの思いを聞いてほしい。
今は、そうなんだー、と、知ってくれるだけでいい。
クロードも、オレに話してほしい。
行動の理由でも、イライラしたことでも。
オレは、クロードが、クロードの言葉で説明する色々を聞きたい。」
クロードと喧嘩になっても、クロードを泣かせても。
オレ達は、腹の中を見せ合う必要がある。
最低一回は。
信用出来ない者同士が、どうして夫婦でいられる?
気持ちを疑いたくないと思っていても。
相手のささやく愛の言葉に、いつか、疑いを抱く日がこないと言えるか?
オレは、腹をくくった。
動くなら、オレからだ。
オレは、オレの頭の両サイドにあるクロードの両手に、外側から手を添える。
「話し合うぞ、クロード。オレは、クロードに聞いてほしいことがある。
クロードに聞きたいこともある。
オレ達は、愛を語らうよりも先に、互いの愛を疑わない関係を築いていないから、互いに苦しいんだ。」
クロードは、動かない。
魔法を使おうともしていない。
多分。
オレは、クロードに視線を合わせる。
「オレは、クロードと話がしたい。
クロードは、オレと話がしたいと思えるようになったら、オレを抱きしめろ。」
クロードは、その後も十分くらい、オレの上にいた。
オレの言葉に聞く耳を持たないモードだったクロードの強固な雰囲気は、オレがクロードから目をそらさないでいると、徐々に、ゆるんできた。
クロードの目が、オレの真意を探るものに変わっていく。
最後まで、目をそらしたらダメだ。
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クロードの眼差しが、柔らかくなる。
「ヒサツグ、愛している。」
クロードは、優しい手つきで、オレの頬を撫でると、オレを包み込むように、抱きしめた。
オレは、勝利を噛みしめる。
「クロード、起きて、話し合いを。」
「このままで。このままがいい。」
とクロード。
クロード、座って話し合いは、お好みじゃないのかなー?
このまま、というと、寝転がって、オレは抱きしめられながら、だよなー?
話しにくくないかなー。
クロードは、抱きしめる体勢から動かない。
オレが、譲歩しよう。
時間だけが、無為に過ぎるよりは、話し合いの体勢くらい、なんだ。
さあ、話すぞ、と、オレが気持ちを切り替えたときに。
「いつ、いつだ、ヒサツグ。」
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「話すよ。クロード。
オレが何を考えて、どうして、そうしてきたか、を。
すぐに受け入れられなくて構わないから、オレの思いを聞いてほしい。
今は、そうなんだー、と、知ってくれるだけでいい。
クロードも、オレに話してほしい。
行動の理由でも、イライラしたことでも。
オレは、クロードが、クロードの言葉で説明する色々を聞きたい。」
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