140 / 673
第6章 異世界で公爵の伴侶やってます。溺愛とは、何でしょうか。
140.愛をささやくよりも、恋に溺れるよりも、大事なことは、何ですか?
しおりを挟む
迂闊なことを言ってはまずいと分かるけれど、オレには、どれが迂闊か分からない。
「クロード。」
「ヒサツグは、私から逃げ出そうと計画していたことを私に悟らせなかった?」
とクロード。
「クロード。」
開かずの扉を開けてしまった気がする。
「私のヒサツグは、賢いのに、判断を間違えるところが可愛い。」
とクロード。
「クロード。」
今すぐ、封印したい何かを感じる。
クロードから、何か怖いものが漏れてくる。
「私から逃げ出す判断は、可愛くない。」
とクロード。
クロード、今、オレは、めちゃくちゃ逃げ出したい。
クロードが上にいるから、無理だけど。
体が自由に動けたら、脱兎のごとく逃げ出している。
「ヒサツグが二度と、逃げ出す考えを起こさないように。」
とクロード。
待て、クロード!
今、魔法を使おうとしているんじゃないのかなー?
屋敷に軟禁する魔法より、強烈な魔法を使おうとしていないかなー?
「もう考えていないから。全然考えていない。
クロードの横で、クロードと生きるんだよ、オレは。」
オレは、逃げ出し計画を懸命に否定した。
どうしよう?
クロードの様子に変化はない。
ボタンを一つ間違えたら、魔法が、きそう。
怖いんだけど。
そういえば。
何で、オレは、クロードに怖がらせられてるんだ?
あ、そっか。
オレが、逃げ出すと思われているからか。
クロード相手に、逃げ腰になったらダメだ。
誤魔化しもダメだ。
クロードには、真正面からぶつからないと。
オレ達は、出会ってから長い間、二人で話をしてこなかった。
そのせいで。
オレもクロードも、根っこの部分で互いに信じきれていない。
オレは、クロードが、神子様に気持ちを戻さないか、という不安が拭えない。
ことあるごとに、神子様に、オレのクロード、とアピールしているけれど。
オレが、本来、アピールしなくちゃいけないのは、神子様じゃない。
オレが、アピールする相手は、クロードだ。
夫がオレを不安にさせるな。
オレが安心して、夫婦でいられるように、オレに話をして、納得させろ。
そんな風に、オレは、クロードにぶつかってこなかったから、不安を神子様に押し付けてしまっていた。
オレ、神子様に、悪いことをしたな。
クロードは、クロードに何も話さないで、オレが何回も逃げ出そうとしたから、オレの気持ちが、クロードから逃げる方に傾くことを警戒している。
オレ、神子様とは、腹を割って話したのに。
一番、大事なクロードとは、話をしてこなかったな。
大切なことは、何も。
話しにくいことを話さなくて済むなら、このままにしておこう、と、ずっと誤魔化してきた。
誤魔化しながら、じゃ、クロードの信頼を得られない。
クロードの信頼を得られないオレは、また、クロードを不安にさせてしまう。
愛をささやくよりも。
恋に溺れるよりも。
信頼関係を築かないと、いつかは、互いを信じきれずに破綻する。
オレは、クロードに切羽詰まらせたいわけじゃない。
オレが、クロードを幸せにして、オレもクロードと幸せになる。
向き合うかなー。
クロードと二人で。
蓋をしたままにしてきた、色々なものと。
オレとクロードが、互いに疑心暗鬼にならないために。
オレは、クロードと心から寄り添いあう夫婦になりたいからなー。
「クロード。」
「ヒサツグは、私から逃げ出そうと計画していたことを私に悟らせなかった?」
とクロード。
「クロード。」
開かずの扉を開けてしまった気がする。
「私のヒサツグは、賢いのに、判断を間違えるところが可愛い。」
とクロード。
「クロード。」
今すぐ、封印したい何かを感じる。
クロードから、何か怖いものが漏れてくる。
「私から逃げ出す判断は、可愛くない。」
とクロード。
クロード、今、オレは、めちゃくちゃ逃げ出したい。
クロードが上にいるから、無理だけど。
体が自由に動けたら、脱兎のごとく逃げ出している。
「ヒサツグが二度と、逃げ出す考えを起こさないように。」
とクロード。
待て、クロード!
今、魔法を使おうとしているんじゃないのかなー?
屋敷に軟禁する魔法より、強烈な魔法を使おうとしていないかなー?
「もう考えていないから。全然考えていない。
クロードの横で、クロードと生きるんだよ、オレは。」
オレは、逃げ出し計画を懸命に否定した。
どうしよう?
クロードの様子に変化はない。
ボタンを一つ間違えたら、魔法が、きそう。
怖いんだけど。
そういえば。
何で、オレは、クロードに怖がらせられてるんだ?
あ、そっか。
オレが、逃げ出すと思われているからか。
クロード相手に、逃げ腰になったらダメだ。
誤魔化しもダメだ。
クロードには、真正面からぶつからないと。
オレ達は、出会ってから長い間、二人で話をしてこなかった。
そのせいで。
オレもクロードも、根っこの部分で互いに信じきれていない。
オレは、クロードが、神子様に気持ちを戻さないか、という不安が拭えない。
ことあるごとに、神子様に、オレのクロード、とアピールしているけれど。
オレが、本来、アピールしなくちゃいけないのは、神子様じゃない。
オレが、アピールする相手は、クロードだ。
夫がオレを不安にさせるな。
オレが安心して、夫婦でいられるように、オレに話をして、納得させろ。
そんな風に、オレは、クロードにぶつかってこなかったから、不安を神子様に押し付けてしまっていた。
オレ、神子様に、悪いことをしたな。
クロードは、クロードに何も話さないで、オレが何回も逃げ出そうとしたから、オレの気持ちが、クロードから逃げる方に傾くことを警戒している。
オレ、神子様とは、腹を割って話したのに。
一番、大事なクロードとは、話をしてこなかったな。
大切なことは、何も。
話しにくいことを話さなくて済むなら、このままにしておこう、と、ずっと誤魔化してきた。
誤魔化しながら、じゃ、クロードの信頼を得られない。
クロードの信頼を得られないオレは、また、クロードを不安にさせてしまう。
愛をささやくよりも。
恋に溺れるよりも。
信頼関係を築かないと、いつかは、互いを信じきれずに破綻する。
オレは、クロードに切羽詰まらせたいわけじゃない。
オレが、クロードを幸せにして、オレもクロードと幸せになる。
向き合うかなー。
クロードと二人で。
蓋をしたままにしてきた、色々なものと。
オレとクロードが、互いに疑心暗鬼にならないために。
オレは、クロードと心から寄り添いあう夫婦になりたいからなー。
63
お気に入りに追加
1,813
あなたにおすすめの小説


【奨励賞】恋愛感情抹消魔法で元夫への恋を消去する
SKYTRICK
BL
☆11/28完結しました。
☆第11回BL小説大賞奨励賞受賞しました。ありがとうございます!
冷酷大元帥×元娼夫の忘れられた夫
——「また俺を好きになるって言ったのに、嘘つき」
元娼夫で現魔術師であるエディことサラは五年ぶりに祖国・ファルンに帰国した。しかし暫しの帰郷を味わう間も無く、直後、ファルン王国軍の大元帥であるロイ・オークランスの使者が元帥命令を掲げてサラの元へやってくる。
ロイ・オークランスの名を知らぬ者は世界でもそうそういない。魔族の血を引くロイは人間から畏怖を大いに集めながらも、大将として国防戦争に打ち勝ち、たった二十九歳で大元帥として全軍のトップに立っている。
その元帥命令の内容というのは、五年前に最愛の妻を亡くしたロイを、魔族への本能的な恐怖を感じないサラが慰めろというものだった。
ロイは妻であるリネ・オークランスを亡くし、悲しみに苛まれている。あまりの辛さで『奥様』に関する記憶すら忘却してしまったらしい。半ば強引にロイの元へ連れていかれるサラは、彼に己を『サラ』と名乗る。だが、
——「失せろ。お前のような娼夫など必要としていない」
噂通り冷酷なロイの口からは罵詈雑言が放たれた。ロイは穢らわしい娼夫を睨みつけ去ってしまう。使者らは最愛の妻を亡くしたロイを憐れむばかりで、まるでサラの様子を気にしていない。
誰も、サラこそが五年前に亡くなった『奥様』であり、最愛のその人であるとは気付いていないようだった。
しかし、最大の問題は元夫に存在を忘れられていることではない。
サラが未だにロイを愛しているという事実だ。
仕方なく、『恋愛感情抹消魔法』を己にかけることにするサラだが——……
☆描写はありませんが、受けがモブに抱かれている示唆はあります(男娼なので)
☆お読みくださりありがとうございます。良ければ感想などいただけるとパワーになります!

漆黒の瞳は何を見る
灯璃
BL
記憶を無くした青年が目覚めた世界は、妖、と呼ばれる異形の存在がいる和風の異世界だった
青年は目覚めた時、角を生やした浅黒い肌の端正な顔立ちの男性にイスミ アマネと呼びかけられたが、記憶が無く何も思い出せなかった……自分の名前すらも
男性は慌てたようにすぐに飛び去ってしまい、青年は何も聞けずに困惑する
そんな戸惑っていた青年は役人に捕えられ、都に搬送される事になった。そこで人々を統べるおひい様と呼ばれる女性に会い、あなたはこの世界を救う為に御柱様が遣わされた方だ、と言われても青年は何も思い出せなかった。経緯も、動機も。
ただチート級の能力はちゃんと貰っていたので、青年は仕方なく状況に流されるまま旅立ったのだが、自分を受け入れてくれたのは同じ姿形をしている人ではなく、妖の方だった……。
この世界では不吉だと人に忌み嫌われる漆黒の髪、漆黒の瞳をもった、自己肯定感の低い(容姿は可愛い)主人公が、人や妖と出会い、やがてこの世界を救うお話(になっていけば良いな)
※攻めとの絡みはだいぶ遅いです
※4/9 番外編 朱雀(妖たちの王の前)と終幕(最後)を更新しました。これにて本当に完結です。お読み頂き、ありがとうございました!

田舎育ちの天然令息、姉様の嫌がった婚約を押し付けられるも同性との婚約に困惑。その上性別は絶対バレちゃいけないのに、即行でバレた!?
下菊みこと
BL
髪色が呪われた黒であったことから両親から疎まれ、隠居した父方の祖父母のいる田舎で育ったアリスティア・ベレニス・カサンドル。カサンドル侯爵家のご令息として恥ずかしくない教養を祖父母の教えの元身につけた…のだが、農作業の手伝いの方が貴族として過ごすより好き。
そんなアリスティア十八歳に急な婚約が持ち上がった。アリスティアの双子の姉、アナイス・セレスト・カサンドル。アリスティアとは違い金の御髪の彼女は侯爵家で大変かわいがられていた。そんなアナイスに、とある同盟国の公爵家の当主との婚約が持ちかけられたのだが、アナイスは婿を取ってカサンドル家を継ぎたいからと男であるアリスティアに婚約を押し付けてしまう。アリスティアとアナイスは髪色以外は見た目がそっくりで、アリスティアは田舎に引っ込んでいたためいけてしまった。
アリスは自分の性別がバレたらどうなるか、また自分の呪われた黒を見て相手はどう思うかと心配になった。そして顔合わせすることになったが、なんと公爵家の執事長に性別が即行でバレた。
公爵家には公爵と歳の離れた腹違いの弟がいる。前公爵の正妻との唯一の子である。公爵は、正当な継承権を持つ正妻の息子があまりにも幼く家を継げないため、妾腹でありながら爵位を継承したのだ。なので公爵の後を継ぐのはこの弟と決まっている。そのため公爵に必要なのは同盟国の有力貴族との縁のみ。嫁が子供を産む必要はない。
アリスティアが男であることがバレたら捨てられると思いきや、公爵の弟に懐かれたアリスティアは公爵に「家同士の婚姻という事実だけがあれば良い」と言われてそのまま公爵家で暮らすことになる。
一方婚約者、二十五歳のクロヴィス・シリル・ドナシアンは嫁に来たのが男で困惑。しかし可愛い弟と仲良くなるのが早かったのと弟について黙って結婚しようとしていた負い目でアリスティアを追い出す気になれず婚約を結ぶことに。
これはそんなクロヴィスとアリスティアが少しずつ近づいていき、本物の夫婦になるまでの記録である。
小説家になろう様でも2023年 03月07日 15時11分から投稿しています。

【完結】ぎゅって抱っこして
かずえ
BL
幼児教育学科の短大に通う村瀬一太。訳あって普通の高校に通えなかったため、働いて貯めたお金で二年間だけでもと大学に入学してみたが、学費と生活費を稼ぎつつ学校に通うのは、考えていたよりも厳しい……。
でも、頼れる者は誰もいない。
自分で頑張らなきゃ。
本気なら何でもできるはず。
でも、ある日、金持ちの坊っちゃんと心の中で呼んでいた松島晃に苦手なピアノの課題で助けてもらってから、どうにも自分の心がコントロールできなくなって……。

転生貧乏貴族は王子様のお気に入り!実はフリだったってわかったのでもう放してください!
音無野ウサギ
BL
ある日僕は前世を思い出した。下級貴族とはいえ王子様のお気に入りとして毎日楽しく過ごしてたのに。前世の記憶が僕のことを駄目だしする。わがまま駄目貴族だなんて気づきたくなかった。王子様が優しくしてくれてたのも実は裏があったなんて気づきたくなかった。品行方正になるぞって思ったのに!
え?王子様なんでそんなに優しくしてくるんですか?ちょっとパーソナルスペース!!
調子に乗ってた貧乏貴族の主人公が慎ましくても確実な幸せを手に入れようとジタバタするお話です。
きっと世界は美しい
木原あざみ
BL
人気者美形×根暗。自分に自信のないトラウマ持ちが初めての恋に四苦八苦する話です。
**
本当に幼いころ、世界は優しく正しいのだと信じていた。けれど、それはただの幻想だ。世界は不平等で、こんなにも息苦しい。
それなのに、世界の中心で笑っているような男に恋をしてしまった……というような話です。
大学生同士。リア充美形と根暗くんがアパートのお隣さんになったことで始まる恋の話。
「好きになれない」のスピンオフですが、話自体は繋がっていないので、この話単独でも問題なく読めると思います。
少しでも楽しんでいただければ嬉しいです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる