《本編 完結 続編 完結》29歳、異世界人になっていました。日本に帰りたいのに、年下の英雄公爵に溺愛されています。

かざみはら まなか

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第6章 異世界で公爵の伴侶やってます。溺愛とは、何でしょうか。

138.神子様が、俺とクロードの馴れ初めを聞いてきました。オレとクロードは、二人で話し合いをすることになりそうです。

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「二人の馴れ初めって、どうなっているの?」
と神子様。

馴れ初め?

オレとクロードの結婚に至る過程?

人に語れる箇所がないぞ。

「嫁を連れて帰ってきて、結婚した。」
とクロード。

話せる事実だけを話すと、そうなるなー。

「馴れ初めになってないよね?」
と神子様。

「ヒサツグを見つけたから、連れて帰ってきて、一週間後に婚姻届を提出した。」
とクロード。

「逃げ出す何かは、いつあったの?」
と神子様。

「理屈を並べて、一人で行こうとするヒサツグだから、私は、用心に用心を重ねた。」
とクロード。

「らちが明かない。一人で、どこに?」
と神子様。

オレに話題をふらないでほしいなー、と願っていたら、お鉢が回ってきた。

「仕事の斡旋かと話を聞いたけど、違ったから、一緒に行かないと断ったら、待ち伏せされて、気球に乗せられて、公爵家の屋敷にいた。」

「気球、あるんだー。どんな感じ?」
と神子様。

「気球に乗せられて、怖いから、寝ていた。」

神子様は、オレを残念そうに見ている。

「目が覚めたら、公爵家の屋敷にいて、一週間後に出ていく予定で動いていたら、七日目に婚姻届を書いていた。」

「馴れ初め、を聞いているんだけど、何も伝わってこないよ?」
と神子様。

オレも、そう思う。

だから、説明を止めてもいいかなー?

黙秘したいなー。

「屋敷にヒサツグがいる毎日は、充実していた。」
とクロードは、満足そう。

「クロードは、充実していた。あなたは?」
と神子様。

神子様の追求が止まらない。
なぜ?

「公爵家の屋敷を出て、仕事を紹介してもらって、家を借りて、迷惑料を回収したら、クロードと縁を切る予定だった。」

「結婚したんだよね?」
と神子様。

「ヒサツグが、縁切りという恐ろしい計画を立てていると知ったから、ヒサツグが実行に移す前に阻止した。」
と、にこやかなクロード。

「阻止?話し合いは?してないの?」
と神子様。

オレは、そっと顔を背けた。

神子様の視線が刺さる。

「あなた、女神様に、帰れないと知らされて、寝たきりになるほど弱っていたよね?」
と神子様。

神子様は、痛いところを的確についてくる。

「ヒサツグ?帰りたいとは?どこに帰ろうとしている?」
とクロード。

クロードが、がしっと抱きしめてきた。

クロードが、不安がっている。

「今は、帰ろうとしていない。大丈夫。
オレは、クロードを一人にしない。
オレは、クロードと一緒に生きるって決めたから。」

オレは、クロードを不安にさせたくない。

「決めさせられた、だよね?」
と神子様。

神子様が容赦ない。

「ヒサツグ。どういう意味だ?」
とクロード。

「二人で、話し合いなよ。神託の話も含めて。」
と神子様。

神子様。
クロードには、神託の件は話していないんだ!

クロードの視線が、話すまで、離さないと語っている。

神子様、どうして、急に?

「ぼくは、クロードとの結婚が叶わなかった。

ぼくなら、クロードとの結婚から、逃げ出そうとしなかった。

ぼくが結婚したかったクロードと結婚したあなたが不幸になったら、ぼくが可哀想だよ。

あなたとクロードは、ちゃんと話し合って。」
と神子様。
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