《本編 完結 続編開始》29歳、異世界人になっていました。日本に帰りたいのに、年下の英雄公爵に溺愛されています。

かざみはら まなか

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第6章 異世界で公爵の伴侶やってます。溺愛とは、何でしょうか。

135.優しい英雄公爵クロードは、優しいだけではなくなっていました。どんなクロードでも、オレのクロードです。

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クロードと神子様は、医者の妹のところから帰ってきた。

収穫はあったかなー。

帰ってきたクロードは、オレを抱きしめて、つむじの匂いを嗅ぎ始めた。

神子様は、げんなりしている。

医者の妹は、神子様を押しのけて、クロードをものにしたいがために、神子様の侍女になったと、神子様は認識している。

医者の反応から推測すると。

医者の妹は、オレのお茶会で、任務に失敗。

謹慎。

神子様の侍女になって、失敗を取り返す予定が、私利私欲に負けて、失敗。

挽回するために、神子様のお忍びに同行するも、神子様にまかれて、失敗。

三回目の失敗の後に、国王陛下からの最終通告があったのかなー。

公爵領での作戦のメインは、医者だと思う。

医者の妹は、医者と公爵領に来て、直接オレを狙ったけれど、失敗。

現在は、医者の妹は、公爵領の襲撃現場にいる。

柵で作った囲いの中で、医者の妹の同行者と一緒に隔離されている。

医者の妹は、自分の感情に振り回される傾向にある。


どんな話が、聞けるかな。

オレは、わくわくと、二人が話すのを待った。

クロードは、オレのつむじから顔を上げない。

げんなりモードの神子様が、話してくれた。

「クロードの姿を見た医者の妹は、公爵と結婚するのは自分だ、と騒いだんだよ。」

元気だなー。

「クロードが
『神子様の侍女とは、結婚しない。』
と言ったら。」
と神子様。

医者の妹は、まだ諦めていないのか。

「『そんなの聞いていない。神子様の侍女は、辞めます。』
と言ったよ。
ぼくは、既に、クビを言い渡しているんだよ?」
と神子様。

「神子様を踏み台にしてました、と暗に告白していないかなー?」

「『国王陛下に任命されたのなら、国王陛下に解任されなくていいの?』
と聞いたら。

『神子様から国王陛下に伝えてください。』
と、ぼくに言うんだよ。」
と神子様。

「『公爵領を出て、自分で国王陛下に会いに行くように。』とクロードが言うと。

『公爵との時間がなくなるから、嫌です。』
とクロードにすり寄ろうとした。」
と神子様。

「斬新なハニートラップかな?」

「うざ絡みが?」
と神子様。

「ハニートラップに適性がないか、本気かな?」

「医者の妹と一緒に柵に入れている連中には、医者の妹と一緒に、公爵領から追放することをクロードが告げたよ。」
と神子様。

「『公爵夫妻の結婚式を妨害した者は、本来、処刑。
医者の妹と一緒に、公爵領から出ていけば、恩赦で、永久追放にとどめる。
今、決めろ。』
と私が言うと。」
とクロード。

「うん。」

「『帰れないから、一緒だ。』
と言う者がいた。」
とクロード。

一緒ではないんだよなー。

「『生きる希望が持てないなら、処刑を早めるのも慈悲か。』
とクロードが言ったら、『え?』という顔をしたんだよね、全員。
医者の妹もだよ。」
と神子様。

哀れを装えば、助けてもらえると聞いていたのかな。

クロードが、国王陛下と対立していなくて、英雄として苦しむ経験もないままだったら。

哀れに見える国民を、救済したかもしれない。

でも。
クロードは、優しさを利用されて、苦しんだ経験から、優しいだけじゃなくなった。

友人の言う事を鵜呑みにしなくなった。

人を疑うことを覚えた。

クロードと公爵家、公爵領のために働く人を頼ることを覚えた。

理不尽な苦労が、クロードを成長させた。

オレは、クロードに、これ以上、理不尽な苦労をしてほしくない。

だから。
足りない部分、綺麗事では済まない部分は、オレが担当するつもりだ。

騙し合いとか。
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