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第6章 異世界で公爵の伴侶やってます。溺愛とは、何でしょうか。
132.不和の種を一つ、ご用意しました。耕した土に種を植えて、水をやります。早く芽を出せ、不和の種。大きく育て、不和の種。
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医者の表情は、狡猾なものに切り替わる。
その顔の医者の方が、話しやすい。
オレは、その顔をしているあんたと話がしたいんだ。
オレを騙すつもりがなかったのは、始末する予定だったから、かなー?
医者と司祭との関係も気になるなー。
司祭と医者の仲は、悪くなかったよな?
オレの前ではさ。
「あんたを狗(いぬ)と呼ぶと、オレの品格が疑われるから、医者のことは、医者と呼ぶぞ。」
オレは、続けた。
「あんた、オレにつけよ。」
「嫁がクロードに口利きをするのか?」
と医者。
そうだ、あんたの喋り方は、そっちだよ。
「耳掃除はしていないのか?
オレは、オレにつけ、と言ったぞ。」
「誰が、お前に?」
と医者は馬鹿にしてくる。
「最初から、クロードの下につく気があんたにあったのなら、オレ達は、今、話していたりしない。
クロードじゃなく、国王陛下を選んで、尻尾を振ったあんたが、今さらクロードの下につくか?」
オレは、鼻で笑ってやった。
医者は、クロードと国王陛下を天秤にかけて、国王陛下を選んでいる。
「オレは、あんたが、オレを裏切らない限り、裏切らない。
分かりやすいだろう?
オレは、仕事を仕事として、完遂できるやつがほしいからな。
オレがあんたに要求するのは、オレへの忠誠心や、忠義じゃない。
オレの与えた仕事を期間内に完遂し、オレに成果を差し出せる能力だ。
だからな?
あんたは誘うが、あんたの妹はいらない。
あんたの妹は、失敗が目につく。
失敗したリカバリーも、あんたの妹は自力で出来ないよな。
妹には、医者がいないとダメだというなら、医者さえいればいい。
オレの言いたいことは、分かるな?
オレにつくなら、オレに分かる手土産を寄越せ。」
「なんのことか、分からない。」
と医者。
医者は、狡猾そうな表情のままだが、オレの話を聞く気になっている。
「医者は、オレにつくぞ。医者は、勝者に敏感だ。
医者自身の友人で英雄のクロードにつかずに、国王陛下につくぐらい、医者は、保身に長けている。
この戦いはな、オレが勝つ。
国王陛下でも、クロードでも、神子様でもない。
勝者は、オレだ。
勝者に敏感な医者に、一人だけ特別枠を設けてやる。
医者とそいつが、オレを裏切らないなら、医者と一緒にそいつを迎え入れてやる。
誰のことか、言わない方が互いのためだろう?
あんた達は、仲良しだ。」
医者は、オレの言葉を否定せずに反芻している。
いい兆候だ。
国王陛下VS英雄と神子様。
医者は、戦局の移り変わりを間近で見てきた。
医者が、クロードに面会を要求してきたのは、国王陛下の計画を隠れ蓑にして、医者自身の目的を果たすため。
医者が、被害者ヅラをしながら、クロードに対面していたのは、保険をかけていたからだ。
国王陛下の敗色濃厚になってから、クロードに投降するんじゃ遅すぎる。
「国王陛下とクロードを両天秤にかけるよりも、オレにつけ。
医者は、勝者といたい。
オレは、仕事ができるやつを心ゆくまで、使いたい。」
「クロードは、いいのか?」
と医者。
医者が、確認してきた。
乗り気だな。
オレは、真面目くさって、答えてやる。
「クロードは、英雄公爵だぞ?
オレは、英雄公爵の伴侶だからな?
クロードとオレは、同じ方向を見ていても、同じことはしない。」
医者には、考える時間が必要だなー。
オレは、医者を部屋から出すときに、言ってやった。
「オレに手土産を忘れるなよ。
手土産がないと、もう一人は、人質になってしまうからな?
オレは、オレに無害な知り合いには、寛容でいてもいい。
オレは、オレの役に立つ知り合いには、親切だぞ。」
オレは、不和の種を一つ、土を耕して、植えた。
早く芽を出せ、不和の種。
大きく育て、不和の種。
その顔の医者の方が、話しやすい。
オレは、その顔をしているあんたと話がしたいんだ。
オレを騙すつもりがなかったのは、始末する予定だったから、かなー?
医者と司祭との関係も気になるなー。
司祭と医者の仲は、悪くなかったよな?
オレの前ではさ。
「あんたを狗(いぬ)と呼ぶと、オレの品格が疑われるから、医者のことは、医者と呼ぶぞ。」
オレは、続けた。
「あんた、オレにつけよ。」
「嫁がクロードに口利きをするのか?」
と医者。
そうだ、あんたの喋り方は、そっちだよ。
「耳掃除はしていないのか?
オレは、オレにつけ、と言ったぞ。」
「誰が、お前に?」
と医者は馬鹿にしてくる。
「最初から、クロードの下につく気があんたにあったのなら、オレ達は、今、話していたりしない。
クロードじゃなく、国王陛下を選んで、尻尾を振ったあんたが、今さらクロードの下につくか?」
オレは、鼻で笑ってやった。
医者は、クロードと国王陛下を天秤にかけて、国王陛下を選んでいる。
「オレは、あんたが、オレを裏切らない限り、裏切らない。
分かりやすいだろう?
オレは、仕事を仕事として、完遂できるやつがほしいからな。
オレがあんたに要求するのは、オレへの忠誠心や、忠義じゃない。
オレの与えた仕事を期間内に完遂し、オレに成果を差し出せる能力だ。
だからな?
あんたは誘うが、あんたの妹はいらない。
あんたの妹は、失敗が目につく。
失敗したリカバリーも、あんたの妹は自力で出来ないよな。
妹には、医者がいないとダメだというなら、医者さえいればいい。
オレの言いたいことは、分かるな?
オレにつくなら、オレに分かる手土産を寄越せ。」
「なんのことか、分からない。」
と医者。
医者は、狡猾そうな表情のままだが、オレの話を聞く気になっている。
「医者は、オレにつくぞ。医者は、勝者に敏感だ。
医者自身の友人で英雄のクロードにつかずに、国王陛下につくぐらい、医者は、保身に長けている。
この戦いはな、オレが勝つ。
国王陛下でも、クロードでも、神子様でもない。
勝者は、オレだ。
勝者に敏感な医者に、一人だけ特別枠を設けてやる。
医者とそいつが、オレを裏切らないなら、医者と一緒にそいつを迎え入れてやる。
誰のことか、言わない方が互いのためだろう?
あんた達は、仲良しだ。」
医者は、オレの言葉を否定せずに反芻している。
いい兆候だ。
国王陛下VS英雄と神子様。
医者は、戦局の移り変わりを間近で見てきた。
医者が、クロードに面会を要求してきたのは、国王陛下の計画を隠れ蓑にして、医者自身の目的を果たすため。
医者が、被害者ヅラをしながら、クロードに対面していたのは、保険をかけていたからだ。
国王陛下の敗色濃厚になってから、クロードに投降するんじゃ遅すぎる。
「国王陛下とクロードを両天秤にかけるよりも、オレにつけ。
医者は、勝者といたい。
オレは、仕事ができるやつを心ゆくまで、使いたい。」
「クロードは、いいのか?」
と医者。
医者が、確認してきた。
乗り気だな。
オレは、真面目くさって、答えてやる。
「クロードは、英雄公爵だぞ?
オレは、英雄公爵の伴侶だからな?
クロードとオレは、同じ方向を見ていても、同じことはしない。」
医者には、考える時間が必要だなー。
オレは、医者を部屋から出すときに、言ってやった。
「オレに手土産を忘れるなよ。
手土産がないと、もう一人は、人質になってしまうからな?
オレは、オレに無害な知り合いには、寛容でいてもいい。
オレは、オレの役に立つ知り合いには、親切だぞ。」
オレは、不和の種を一つ、土を耕して、植えた。
早く芽を出せ、不和の種。
大きく育て、不和の種。
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