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第6章 異世界で公爵の伴侶やってます。溺愛とは、何でしょうか。

102.初デートに行こう!と着いた先には。『大店の主人!公爵領へは、どんな用事で?』

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クロードに撫で回されながら移動していたら、良い雰囲気に。

あ、着いた。

良かった。

服の中に、手を入れてこい、とか言いそうになっていた。

密室で、撫で回されて、気持ちがたかぶった。

結婚式まで、とっておく初夜が、朝から始まるところだった。

危なかった。

オレの理性が、溶けて、仕事を忘れていた。


到着したのは、見た目が、重厚で豪華な建物。

結婚式の披露宴会場の下見?

クロードと一緒に建物の中に入って案内された部屋には。


オレの初公務となった、訪問先の大店の主人がいた。

結婚式に招待するのか?

「本日は誠に光栄なお話をいただけましたことに。」
と、挨拶し始めた大店の主人。

「そのくらいで。」
と挨拶を止めるクロード。
「時間が惜しい。」

おめでとうございます、ありがとうございます、の流れを省略するほど、急ぐのか?

今日のデートは、スケジュールが詰まっているんだなー。


二時間前のオレよ。

スケジュールは、ぎっしり詰まっていたよ。

この二時間。
オレは、大店の主人と店員の説明を聞いて、選んだり、決めたりしている。

何を?

オレとクロードの結婚式とご成婚パレードに使うオレのものを。

公爵家に伝わる品は、女性の伴侶向きのものなので、オレ向きではない。

公爵家の伴侶と一目で分かり、男のオレを際立たせる一品を探し続けている。

「アリ、ナシ。」
と言いながら。

大店の主人は、クロードとオレの結婚式の打ち合わせをするために、公爵領に来ていたのだ。

オレとクロードが終わったら、神子様の番。

神子様が、参列して祝っていることを公爵領の内外に知らしめる。

国王陛下との対立の足場固めは、着々と。

お祝い事も、無邪気に喜んではいられないんだったなー。

公爵領で、神子様が参列する公爵夫妻の結婚式を執り行うことの政治的な意味は重い。

魔王を討伐した国の英雄の結婚式に、国の重鎮が出席しない。

神子様との良好な関係をアピールする一方。

国王陛下とは距離をおいていることを、言外に示している。

オレ、クロードに結婚式を要求したとき、政治的意図まで考えていなかった。

オレは、クロードに公爵家の屋敷に連れてこられてから、公爵家の使用人以外に嫌われてきた。

クロードとの婚姻届を出す前も、出してからも。

オレは、オレとクロードとの結婚を喜んでいる人に、会ったことがない。

オレとクロードは、両思いだ。

最初はともかく、今は、クロードのことを好きになった。

クロードもオレを好きだと知った。

オレが、クロードとの体の関係に二の足を踏むのは、
未体験ゾーンに足を突っ込む勇気がまだ準備中なだけじゃない。

オレとクロードは、結婚して以来、オレ達の結婚を誰にも祝福されないまま、ここまできた。

お互いに愛があれば、十分という人もいるだろうけれど。

オレは、クロードの周囲から嫌われてきた時間を経験している。

祝福されない結婚を維持するのは、辛い。

別れろ攻撃にさらされ続けるのは、心身共に疲労困憊した。

他人を信用するのが難しくなった。

警戒心マックスで過ごすので、疲れが取れにくい。

当時、日本に帰るという希望がなければ、オレは、今もこうして立っていなかった。


オレは、オレとクロードの結婚を祝福してほしいと思っている。

最低でも、オレとクロードの周りにいる人には。

オレとクロードが、二人で夫婦として幸せになっていいんだ、と、安心したいんだ。

心身共に、リラックスした状態で、クロードと夫婦として繋がりたい。
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