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第6章 異世界で公爵の伴侶やってます。溺愛とは、何でしょうか。

100.初夜の前に、順番がありますよね?順番通りで、お願いします。

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公爵がオレの腹をさする手を止めない。

冗談で乗り切ろう。

「クロードは、オレの腹が、何か、気になるのかなー?あははー。」

クロードは、じんわりと腹を温めるように手を動かさなくなった。

「オレ、腹の具合は、悪くないからな?」

「ヒサツグ。もう覚悟も出来たと、朝。」
と公爵。

公爵と目が合ったオレは、捕食者の顔を見てしまった。

く、く、食われる。

さっきまで、和やかな会話をしていた気がするのに。

「夫婦の関係についての覚悟を決めた、と。」
と公爵。

ぎゅうぎゅうするときも、ナデナデするときも。

今まで、性欲とか、情欲なんて、感じさせなかっただろう!

急に、全開にしてくるなー。

こちとら、気持ちを自覚仕立てだぞ!

でも、ここで、誤魔化したら、お子ちゃま夫婦に逆戻り。

お子ちゃま夫婦は、嫌だ。

オレは、大人の夫婦がいい。

オレ以外の誰かに、クロードを触らせたくない。

でも、だなー。

いきなり、は、勢いつけすぎだろ?

「そうだなー。クロードも大人だから、オレが保護者を名乗るのも、違うと分かったんだ。」

「ヒサツグが、私のために奮闘する姿を見ると。」

うん?
カッコ良さに惚れ直したかなー?

「早く服を脱がせたくて。」

へ?

脈絡なくない?

「私のために、話す口で、私の名前を呼んでほしいと願っていた。」

公爵が、忘れずに、オレに名乗っていたら、名前くらい、呼んでいたと思うぞ?

「私のほとばしる思いのたけを腹の中におさめたままのヒサツグが。」

あれ?

夜の夫婦生活のお話かなー?

すごく、具体的な要求が来そうだなー。

「溢れてきて困り果てながら、私の名前を控え目に呼ぶ姿を見てみたい。」
とクロード。

クロードの瞳に宿る熱に、オレは、回避すべし、と感じた。

「遠慮、しようかなー。」

「遠慮は、いらない。」
とクロード。

いや、遠慮させてくれ。

「今日は、初夜の準備を。」
とクロード。

待て、待て、待て。

心の準備の方が先にいるからな?

「クロード、オレは、結婚前も、結婚してからも、クロードとデートしたことがない。」

「デート?」
とクロード。

「初夜の前に、順番というものがあるはずだ!」

「どんな?」
とクロード。

「デートして、プロポーズして、結婚式。初夜は、その後!」

「ヒサツグの望むように。」
クロードは、にこっと笑った。

「そっか。ありがとう。」
オレは、ほっとした。

結婚式の準備は、何ヶ月もかけるものだと聞いたことがある、日本で。

閃いて良かった。

これで、一先ずは、安心。

オレは、何ヶ月も猶予が出来たと安心していた。

油断していたオレは、貴族の本気を思い知らされることになった。
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