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第6章 異世界で公爵の伴侶やってます。溺愛とは、何でしょうか。

95.神子様を真ん中に挟んで、両脇に公爵とオレ。デートの行き先、一軒目はどちらへ?『宝飾品店ですか。』『何をお求め?』『指輪ですか。』

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乗り物に乗って、出発。

公爵と神子様の二人での移動じゃなくなったため、二人が乗る予定だった乗り物は、オレが変更した。

せっかくの公爵夫妻と神子様のお出かけだからなー。

政治的に有効活用しないとなー。

ということで。

移動は、オープンカーにした。

貴婦人がドレスで乗ることも考慮して作られているので、座席が広々。

真ん中の神子様は、周りからよく見えるように、一段高めになるように、座席を高くした。

日本で、一般道を走っているタイプのオープンカーじゃなくて、パレード用のオープンカーのイメージ。

公爵も神子様も、デート用のおめかしはしていても、パーティー用や、儀式用の正装ではない。

オレも、綺麗めなお出かけファッション。

成人男性三人、無事に一列に並べた。

「二人しか並べなかったら、公爵は、一人で別移動になっていたから、三人並べて良かったな?」

オレは、公爵の伴侶らしく、とても思いやりに溢れる対応をしている。

ゲストの神子様に。

神子様ファーストを徹底しているオレに、誰も文句をつけられない。

たまに、お手振りをしながら、オープンカーは、ゆっくりと進む。

車酔いの心配もない。

オレ、いい仕事をしたなー。


今日は、気球じゃなくて、良かった。

オレ、移動は、地面の上が落ち着く。

初日、公爵が気球を選んだのは、理由があるのか、ないのか?


さて。
肝心要のデートの行き先。

オレは、行き先を知らないから、どこに行くのか、とても楽しみだ。

サプライズだな。

着きました、着きました。

本日の一軒目。

宝飾品店。

公爵領屈指の名店。

デートコースの一軒目で、宝石を買いに行くのか。

そうか、そうか。

公爵と神子様よ、オレが同行したからには、ただの貢がせでは終わらせないからな。

宝飾品店は、公爵と神子様の二人の来店予定が、オレを含めた三人になっても、慌てることなく、対応した。

慣れているなー。

公爵と神子様は、本日、指輪を見に来たんだそうだ。

へえー。

神子様の希望の指輪を探しにきた、とな。

オレは、公爵と神子様の前のトレーに並ぶ指輪を見る。

10個前後あるなー。

いくらぐらいかなー?

神子様と公爵は、腕を絡めたまま。

公爵、慣れすぎだぞ?

「公爵、ぼくは、全部、試したい。
どれも、素敵で決められない。」
と神子様は鼻にかかった声を出す。

「店主、指輪は、神子様のお手に触れるもの。

店主を疑う気などない。

しかし、神子様は、たった一人のお方。

公爵家として、神子様にお喜びいただく際、間違いがないようにしたい。

オレが、神子様のお望みの指輪を神子様の指に、おはめする。

神子様が、選んだ指輪は、オレに渡すように。」

オレは、店主に命令した。

公爵個人の買い物ではなく、公爵家の接待だと、暗に示したのだ。

神子様は、まるっと無視していたオレを振り返った。

「あなたから、渡されるなんて、指輪が台無し!」
と神子様。

「我が公爵家は、神子様の尊い御身を預かる手前、万が一には常に備えなくてはなりません。

オレの夫の公爵は、神子様のお体をお支えしており、既に片腕が塞がっております。

公爵の両腕が塞がる状況を作らないように、公爵家の伴侶として、オレは警戒しなくてはなりません。

神子様の素敵なお買い物の実現のためには、必要なことなのです。

お聞き入れいただけないなら、本日のお出かけは、一度、取りやめです。

日を改めて、関係各所と神子様のお出かけの計画を練ります。」

オレが、話を聞かせたいのは、宝飾品店の店主だ。

宝飾品店の店主には、公爵と神子様から事前に打診がきているか、打ち合わせがあったはず。

宝飾品店側は、オレの前には、神子様に見せている宝飾品を並べない。

商売の基本は、信用だからなー。

でも。
今、オレのジョブが入った。

オレの意向を無視して、神子様と公爵とだけ、取り引きを進めると、宝飾品店はどうなるか?

オープンカーで乗り付けた神子様と公爵夫妻が、何も買わずに帰ることになる。


公爵夫妻が連れてきた神子様に満足できる商品を提供出来なかったから、何も買わずに帰られた、という評判がたつ。

実際は、神子様とオレが揉めているのが、原因だとしても、そんな事情までは、誰も踏み込んでこない。


さて、店主。

オレと話をする気になったかな?



魔王による消失からの復興は、長期戦だ。

公爵家は、緊縮財政を続けていたから、オレは勿論、公爵家全体で、贅沢品を買っていなかった。


宝飾品店についてきたオレは、神子様へ何を贈るにしても、公爵のポケットマネーではなく、公爵家から、金を出すとは示唆した。


スポンサーが、有名人に自社の製品を提供するのと同じ。

公爵家が、公爵家の産業を盛り上げるために、金を払って、神子様に公爵家のものを身に着けてもらう。


神子様は、いい広告塔になってくれるぞ。
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