《本編 完結 続編開始》29歳、異世界人になっていました。日本に帰りたいのに、年下の英雄公爵に溺愛されています。

かざみはら まなか

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第5章 いつになったら、日本に帰れますか?

87.『公爵を幸せにしたら、日本に帰れますか?』女神様は、英雄の幸せが喜ばしい。『そなたは、妾の民ぞ。』オレ、涙が止まりません。

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「英雄は、そなたに真実の愛を捧げて結婚しておる。」

「オレと公爵は、結婚が先でした。順番は関係ないんですか?」

順番が、逆なら、ダメになるよなー?

ダメと言ってくれ!

「妾は、英雄の幸せが喜ばしい。」
と女神様。

英雄?

ああ、公爵のことか。

公爵、女神様に愛されていて、良かったなー。

オレは、公爵に心の中で、語りかけていた。

「そなたに祝福を授ける。」

いや、だから、公爵の幸せを望んで、オレに祝福を与える流れに?

ひょっとして?

「オレが、女神様の祝福を授かるのは、公爵が、オレに真実の愛を捧げて結婚しているから、ですか?

オレに女神様の祝福があることで、公爵は幸せになるんですか?」

「ふむ。」

「オレが日本に帰った後に公爵と結婚する人が、女神様の祝福を授かるのは、公爵の幸せに効果がありませんか?」

「そなた。帰る、帰ると話しておるが、そなたはどこに帰ろうとしておる?」
と女神様。

「元の世界のオレが暮らしていた国に、です。」

「そなたは、妾の民であろうに。」
と女神様。

「オレは、生まれも育ちも日本です。
いつの間にか、こちらにおりましたが。

女神様。オレがこちらにいることは、女神様に関係しますか?」

「ふむ。」

「オレは、こちらに来る前に、女神様とお会いした記憶はありません。

女神様は、何かをオレに期待されていますか?

神子様は、こちらに来る前に、女神様と会っていますよね?」

「ふむ。英雄の幸せをな。」
と女神様。

「オレが、日本に帰る条件は、公爵の幸せ、ですか?」

それを達成したら、オレは、日本に帰れる?

公爵を幸せにするのは、オレも願ったりかなったり。

公爵を幸せにすることが条件なら、やる気アップ!

「公爵を幸せ判定する条件は、なんですか?」

曖昧さ回避で、聞いておかないと。

「妾の民は、妾の世界から出ていかぬ。」
と女神様。

「そうですか。」
なんだろうな?

「そなたは、妾の民。」
と女神様。

「オレは、こちらの生まれではありません。」

「そなたは、英雄と結婚して、妾の民となった。」
と女神様。

え?結婚?

異世界人でも、結婚したら、女神様の民になる?

女神様の民は、世界を越えて、行き来しない、と女神様がさっき話をしていた。

だとすれば。

公爵と結婚した時点で、オレは、女神様の民。

オレと日本との縁は切れていることになる。


オレが日本に帰る日は、二度とこない。


知ってしまった事実は、オレには衝撃的過ぎた。

だって、オレが結婚してから、半年。

オレは、日本に帰りたいという目的を胸に、一心不乱に生きてきた。

それが全部、オレの空回りだったんだ?

オレの両目から、涙が溢れてきた。

涙は、次々に溢れてきて、オレの頬と寝間着を濡らしていく。

オレは、ただ突っ立ったまま、静かに涙を流している。

泣くことでしか、今は、もう。

女神様が目の前にいるにも関わらず、オレは、女神様と会話する気力を完全に失った。

女神様は、話さなくなったオレの心臓の上らへんに手を置く。

「そなたに祝福を授ける。」
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