《本編 完結 続編開始》29歳、異世界人になっていました。日本に帰りたいのに、年下の英雄公爵に溺愛されています。

かざみはら まなか

文字の大きさ
上 下
81 / 667
第5章 いつになったら、日本に帰れますか?

81.『公爵。オレと公爵領に帰ろう?さあ、公爵お得意のお姫様抱っこの出番だぞ。』国王陛下が、帰らせてくれません。

しおりを挟む
神子様は、うんともすんとも言わなくなった。

うーん。
神子様と会話するには、秘技がいる。

オレは、まだその域に達していない。

オレは、思案中の公爵に声をかけた。

「公爵、まだ考えるなら、帰ってから考えよう。

クズとクズ仲間は、首だけ出して埋めたら?

利用するときに、引っこ抜けばいい。

誰かが、勝手に触らないように、公爵が仕掛けをしておけば、安心だろう?」

オレに外出させない仕掛けを作って、公爵家の屋敷に設置したように。

畑の野菜の盗難防止と同じ仕組みでいいと思う。

「帰る。」
公爵は、嬉しそう。

「帰るぞ、公爵領へ。」
オレは、もう一声かけてやる。

公爵は、オレの顔を見つめて、破顔した。

「よし、公爵。クズとクズ仲間を埋めて、帰ろう。」

オレは、公爵に両手をあげて、合図した。

公爵は、キョトンとしている。

「公爵お得意のお姫様抱っこの出番だぞ?

今のオレは、服も靴もない。

公爵が、優しくオレを包まなかったら、オレはどうなる?

移動中、オレは、生まれたままの姿を見られることになる。

オレは、露出したいとは思わない。

さあ、オレをお姫様抱っこしろ。
お姫様抱っこしたオレを連れて帰れ。」

公爵は、満面の笑みを浮かべた。

ひょいっとオレをお姫様抱っこする。

前も思ったけれど、軽々とオレを抱き上げるよな。

しかも、安定感抜群。

眠りながらの移動も安心。

公爵は、オレをお姫様抱っこしながら、クズとクズ仲間向けて、呪文を唱えた。

部屋の床に、七つの穴が出現する。

クズと、クズ仲間は、ズボ、ズボ、と一人ずつ、一つの穴に吸い込まれた。

首だけ出して。

魔法って、凄いなー。

後で、公爵に魔法の話をふってみよう。

公爵が、部屋を出ていこうとすると。

国王陛下が止めた。

「公爵は、英雄。
英雄は、神子と結ばれ、神子と生きろ。
逆らうことは認めぬ。」
と国王陛下。

「お断りします。」
公爵は、迷わず断った。

「陛下は、私の伴侶を殺せと命じました。
私は、私の伴侶を選びます。」

「国王に逆らうか。」
と国王陛下。

「先に禁を犯したのは、陛下です。

私の伴侶は、公爵家の人間で、私の家族です。

陛下の公爵家の屋敷への今後の出入りは、お断りします。

用件があるときは、使者を出してください。

公爵家の敷地内には入れません。

門扉で対応します。

私の伴侶を王城の門から締め出したことを忘れないでください。」
と公爵。

「伴侶を可愛いがりたいなら、逆らわぬことだ。悪いようにはせぬ。」
と国王陛下。

「今日は、私が陛下に従ったばかりに、私の伴侶が危ない目にあいました。」
と公爵。

「逆らうか?」
と国王陛下。

「私と伴侶は、公爵領で生きていきます。」
と公爵。

「ならば。」
と国王陛下。

「ダメだって!」
と神子様が大声をあげた。

「だから!殺すのも、傷つけるのも、ナシ!言ったよね?」
と神子様。

国王の手勢は、国のツートップの仲間割れのために、動きを止めている。

公爵は、スタスタと部屋を出た。

オレをお姫様抱っこしたまま。

オレは、建物の外にいる兵士を見つけて、怖くなった。

思わず、ぎゅっと両手を公爵に回す。

オレは、もう、公爵から引き離されたくない。

公爵は、堂々と、オレをお姫様抱っこしたまま兵士の前を通る。

大丈夫なのかな?

オレは公爵にしがみついた。

ドキドキしているオレとは裏腹に。
兵士は、何の反応も示さなかった。

オレは、ほっと、力を抜く。

オレは、疲れていた。

怖い思いも、嫌な思いも、我慢もたくさんした。

オレの体は、休息を求めていた。

オレは、公爵のお姫様抱っこに安心して、うつらうつらしながら、意識を手離した。
しおりを挟む
感想 84

あなたにおすすめの小説

どうしてこうなった?(ショートから短編枠にしたもの)

エウラ
BL
3歳で魔物に襲われて両親を亡くし、孤児院育ちの黒髪黒目で童顔のノヴァは前世の記憶持ちの異世界転生者だ。現在27歳のCランク冒険者。 魔物に襲われたときに前世の記憶が甦ったが、本人は特にチートもなく平々凡々に過ごしていた。そんなある日、年下22歳の若きSランク冒険者のアビスと一線を越える出来事があり、そこで自分でも知らなかった今世の過去を知ることになり、事態は色々動き出す。 若干ストーカー気味なわんこ系年下冒険者に溺愛される自己評価の低い無自覚美人の話。 *以前ショート専用の枠で書いてましたが話数増えて収拾がつかなくなったので短編枠を作って移動しました。 お手数おかけしますがよろしくお願いいたします。 なお、プロローグ以降、途中まではショートの投稿分をまるっと載せるのでそちらと重複します。ご注意下さい。出来次第投稿する予定です。 こちらはR18には*印付けます。(でも忘れたらすみません)

どうも、卵から生まれた魔人です。

べす
BL
卵から生まれる瞬間、人間に召喚されてしまった魔人のレヴィウス。 太った小鳥にしか見えないせいで用無しと始末されそうになった所を、優しげな神官に救われるのだが…

【完結】ぎゅって抱っこして

かずえ
BL
幼児教育学科の短大に通う村瀬一太。訳あって普通の高校に通えなかったため、働いて貯めたお金で二年間だけでもと大学に入学してみたが、学費と生活費を稼ぎつつ学校に通うのは、考えていたよりも厳しい……。 でも、頼れる者は誰もいない。 自分で頑張らなきゃ。 本気なら何でもできるはず。 でも、ある日、金持ちの坊っちゃんと心の中で呼んでいた松島晃に苦手なピアノの課題で助けてもらってから、どうにも自分の心がコントロールできなくなって……。

実はαだった俺、逃げることにした。

るるらら
BL
 俺はアルディウス。とある貴族の生まれだが今は冒険者として悠々自適に暮らす26歳!  実は俺には秘密があって、前世の記憶があるんだ。日本という島国で暮らす一般人(サラリーマン)だったよな。事故で死んでしまったけど、今は転生して自由気ままに生きている。  一人で生きるようになって数十年。過去の人間達とはすっかり縁も切れてこのまま独身を貫いて生きていくんだろうなと思っていた矢先、事件が起きたんだ!  前世持ち特級Sランク冒険者(α)とヤンデレストーカー化した幼馴染(α→Ω)の追いかけっ子ラブ?ストーリー。 !注意! 初のオメガバース作品。 ゆるゆる設定です。運命の番はおとぎ話のようなもので主人公が暮らす時代には存在しないとされています。 バースが突然変異した設定ですので、無理だと思われたらスッとページを閉じましょう。 !ごめんなさい! 幼馴染だった王子様の嘆き3 の前に 復活した俺に不穏な影1 を更新してしまいました!申し訳ありません。新たに更新しましたので確認してみてください!

【完結】悪役令息の役目は終わりました

谷絵 ちぐり
BL
悪役令息の役目は終わりました。 断罪された令息のその後のお話。 ※全四話+後日談

嫌われ者の長男

りんか
BL
学校ではいじめられ、家でも誰からも愛してもらえない少年 岬。彼の家族は弟達だけ母親は幼い時に他界。一つずつ離れた五人の弟がいる。だけど弟達は岬には無関心で岬もそれはわかってるけど弟達の役に立つために頑張ってるそんな時とある事件が起きて.....

αからΩになった俺が幸せを掴むまで

なの
BL
柴田海、本名大嶋海里、21歳、今はオメガ、職業……オメガの出張風俗店勤務。 10年前、父が亡くなって新しいお義父さんと義兄貴ができた。 義兄貴は俺に優しくて、俺は大好きだった。 アルファと言われていた俺だったがある日熱を出してしまった。 義兄貴に看病されるうちにヒートのような症状が… 義兄貴と一線を超えてしまって逃げ出した。そんな海里は生きていくためにオメガの出張風俗店で働くようになった。 そんな海里が本当の幸せを掴むまで…

若頭と小鳥

真木
BL
極悪人といわれる若頭、けれど義弟にだけは優しい。小さくて弱い義弟を構いたくて仕方ない義兄と、自信がなくて病弱な義弟の甘々な日々。

処理中です...