上 下
80 / 616
第5章 いつになったら、日本に帰れますか?

80.国王陛下の手勢が潜んでいます。神子様に聞いてみました。神子様とは、会話が成立するでしょうか?

しおりを挟む
公爵は、思考のお時間。

国王陛下の手勢が、建物のそこかしこに潜んでいることは、把握した。

国王陛下は、刺激しないでおく。

オレは、神子様にターゲットを絞った。

神子様に、なんと切り出すか、が、最大の難問。

オレと神子様って、言いたいことを言い合うけれど、意思疎通、出来ないんだよなー。

神子様の地雷源は、オレの存在そのもの。

オレが何を言おうと、ダメかなー?

聞いてみないよりは、いいかな。

オレは、神子様に聞いてみた。
「神子様は、どうして、公爵から真実の愛を捧げられたかったんだ?」

神子様に、めちゃくちゃ睨まれた。

呪い殺さんばかりの視線が突き刺さる。

神子様にしたら、トンビに油揚げをさらわれた後。

お怒りは、ごもっとも。

でも、オレは、オレを襲うよう命令したのが、神子様だと知っているから、怯まない。

公爵が、オレに真実の愛を捧げたのも、オレには謎。

推測するなら。

神子様に真実の愛を捧げるように強要された公爵は、神子様に、真実の愛を捧げるのが嫌で、オレに捧げたのかな?

真実の愛を捧げるのは、先着順、ということになるよな?

真実の愛、というくらいだから、先着順が正しいのか?

「オレは、神子様と違って、何にも知らない。
さっき、公爵が、オレに捧げた真実の愛というフレーズ。
神子様にとって、真実の愛を捧げられることは、何を意味したんだ?

神子様が公爵との結婚を計画した理由は何だ?

公爵と結婚することで、何が叶えられたんだ?」

「公爵と別れる?」
と神子様。

極端だなー。

公爵が、『別れる』と聞いて、敏感に反応している。

公爵は、心配症だな。

オレが日本に帰るまでは、オレが伴侶だからな?

「あのさ。オレが、公爵と別れても、神子様の順番が来るとは限らないぞ?」

オレの口からは、老婆心さながらの本音が、こぼれてしまった。

「オレと別れたら、公爵は、別の人とくっつくぞ?

神子様は、オレより早く公爵に会っていた。

オレと公爵が会うより前に、神子様と公爵が結婚する展開になっていない。

そんなのさあ。

神子様と公爵の結婚の可能性は、今後、さらに低くなる一方だろう?

オレの排除に成功していたら、神子様は余計に公爵に避けられたとは考えないのか?」

神子様は、表情をどこかに落としたのかな。

神子様は、真顔だ。

神子様の目は、オレから外れない。

「あなたが、全部ダメにした。
ぼくの何もかもを台無しにした!
ぼくは神子で、公爵は英雄なのに。」
と神子様。
しおりを挟む
感想 84

あなたにおすすめの小説

炊き出しをしていただけなのに、大公閣下に溺愛されています

ぽんちゃん
BL
 男爵家出身のレーヴェは、婚約者と共に魔物討伐に駆り出されていた。  婚約者のディルクは小隊長となり、同年代の者たちを統率。  元子爵令嬢で幼馴染のエリンは、『医療班の女神』と呼ばれるようになる。  だが、一方のレーヴェは、荒くれ者の集まる炊事班で、いつまでも下っ端の炊事兵のままだった。  先輩たちにしごかれる毎日だが、それでも魔物と戦う騎士たちのために、懸命に鍋を振っていた。  だがその間に、ディルクとエリンは深い関係になっていた――。  ディルクとエリンだけでなく、友人だと思っていたディルクの隊の者たちの裏切りに傷ついたレーヴェは、炊事兵の仕事を放棄し、逃げ出していた。 (……僕ひとりいなくなったところで、誰も困らないよね)  家族に迷惑をかけないためにも、国を出ようとしたレーヴェ。  だが、魔物の被害に遭い、家と仕事を失った人々を放ってはおけず、レーヴェは炊き出しをすることにした。  そこへ、レーヴェを追いかけてきた者がいた。 『な、なんでわざわざ総大将がっ!?』  同性婚が可能な世界です。  女性も登場しますが、恋愛には発展しません。

転移したらなぜかコワモテ騎士団長に俺だけ子供扱いされてる

塩チーズ
BL
平々凡々が似合うちょっと中性的で童顔なだけの成人男性。転移して拾ってもらった家の息子がコワモテ騎士団長だった! 特に何も無く平凡な日常を過ごすが、騎士団長の妙な噂を耳にしてある悩みが出来てしまう。

【第2部開始】悪役令息ですが、家族のため精一杯生きているので邪魔しないでください~僕の執事は僕にだけイケすぎたオジイです~

ちくわぱん
BL
【第2部開始 更新は少々ゆっくりです】ハルトライアは前世を思い出した。自分が物語の当て馬兼悪役で、王子と婚約するがのちに魔王になって結局王子と物語の主役に殺される未来を。死にたくないから婚約を回避しようと王子から逃げようとするが、なぜか好かれてしまう。とにかく悪役にならぬように魔法も武術も頑張って、自分のそばにいてくれる執事とメイドを守るんだ!と奮闘する日々。そんな毎日の中、困難は色々振ってくる。やはり当て馬として死ぬしかないのかと苦しみながらも少しずつ味方を増やし成長していくハルトライア。そして執事のカシルもまた、ハルトライアを守ろうと陰ながら行動する。そんな二人の努力と愛の記録。両片思い。じれじれ展開ですが、ハピエン。

成長を見守っていた王子様が結婚するので大人になったなとしみじみしていたら結婚相手が自分だった

みたこ
BL
年の離れた友人として接していた王子様となぜか結婚することになったおじさんの話です。

結婚式当日に「ちょっと待った」されたので、転生特典(執事)と旅に出たい

オオトリ
BL
とある教会で、今日一組の若い男女が結婚式を挙げようとしていた。 今、まさに新郎新婦が手を取り合おうとしたその時――― 「ちょっと待ったー!」 乱入者の声が響き渡った。 これは、とある事情で異世界転生した主人公が、結婚式当日に「ちょっと待った」されたので、 白米を求めて 俺TUEEEEせずに、執事TUEEEEな旅に出たい そんなお話 ※主人公は当初女性と婚約しています(タイトルの通り) ※主人公ではない部分で、男女の恋愛がお話に絡んでくることがあります ※BLは読むことも初心者の作者の初作品なので、タグ付けなど必要があれば教えてください ※完結しておりますが、今後番外編及び小話、続編をいずれ追加して参りたいと思っています ※小説家になろうさんでも同時公開中

幽閉王子は最強皇子に包まれる

皇洵璃音
BL
魔法使いであるせいで幼少期に幽閉された第三王子のアレクセイ。それから年数が経過し、ある日祖国は滅ぼされてしまう。毛布に包まっていたら、敵の帝国第二皇子のレイナードにより連行されてしまう。処刑場にて皇帝から二つの選択肢を提示されたのだが、二つ目の内容は「レイナードの花嫁になること」だった。初めて人から求められたこともあり、花嫁になることを承諾する。素直で元気いっぱいなド直球第二皇子×愛されることに慣れていない治癒魔法使いの第三王子の恋愛物語。 表紙担当者:白す(しらす)様に描いて頂きました。

R指定はないけれど、なんでかゲームの攻略対象者になってしまったのだが(しかもBL)

黒崎由希
BL
   目覚めたら、姉にゴリ推しされたBLゲームの世界に転生してた。  しかも人気キャラの王子様って…どういうことっ? ✻✻✻✻✻✻✻✻✻✻✻✻  …ええっと…  もう、アレです。 タイトル通りの内容ですので、ぬるっとご覧いただけましたら幸いです。m(_ _)m .

巻き戻りした悪役令息は最愛の人から離れて生きていく

藍沢真啓/庚あき
BL
婚約者ユリウスから断罪をされたアリステルは、ボロボロになった状態で廃教会で命を終えた……はずだった。 目覚めた時はユリウスと婚約したばかりの頃で、それならばとアリステルは自らユリウスと距離を置くことに決める。だが、なぜかユリウスはアリステルに構うようになり…… 巻き戻りから人生をやり直す悪役令息の物語。 【感想のお返事について】 感想をくださりありがとうございます。 執筆を最優先させていただきますので、お返事についてはご容赦願います。 大切に読ませていただいてます。執筆の活力になっていますので、今後も感想いただければ幸いです。

処理中です...