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第5章 いつになったら、日本に帰れますか?
79.公爵には考える時間を。神子様は、何を知っているのでしょうか?神子様は、オレにお怒りです。
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オレは、公爵に公爵自身と公爵の周囲について、考える時間が必要だと思っていた。
公爵は、何をどうすればよいかわからない仕事に追われているうちに、思考する習慣を失ってしまった。
公爵領での時間は、公爵の中の固く強張っていた部分を、ほぐした。
公爵は、柔軟性を取り戻しつつある。
今は、公爵が一人で、あれもこれも考えて決める必要もない。
公爵が困ったときは、オレがいる。
公爵の家族で、伴侶のオレが一緒にいるぞ?
オレは、いつも、公爵の味方だ。
今の公爵に、立ち止まって考える機会を与えれば、公爵は、自分自身で考えることが出来る。
手助けはするけど、強制も導きもしないから、自分自身でよく考えろよ、公爵。
公爵は、出来るんだ。
公爵は、オレを抱きしめたままで、国王陛下と神子様を見つめている。
公爵は、落ち着いて、二人の反応を見定めようとしている。
成長したな、公爵。
短期間に、頑張ったな。
オレと家庭についての話し合いをしたときの公爵は。
公爵の友人は、公爵を裏切らないと盲信していた。
公爵が仕事に追われて、帰宅できていない期間。
公爵の友人が、公爵の屋敷を我が物顔で歩き回る状況なんて、公爵は想像したこともなかった。
公爵は、育ちの良さから、友人を疑う考えがなかったんだろうなー。
公爵の友人が、公爵を心配する気持ちを持っていたことまで、オレは否定しない。
時間の経過と、環境の変化に伴い、公爵の友人の気持ちは、変質していったのだと思う。
公爵の友人は、自身の変質していく気持ちを押し込めず、公爵に気づかれないように、公爵の生活に影響を与えていった。
公爵への間接的な支配を強めていった。
その先陣を切ったのが、国王陛下なのは、間違いないだろう。
魔王による消失が始まる前の、公爵の友人と、公爵との関係は、今のように歪ではなかったのかな。
国のトップが、率先して動くから、他の友人も嬉々として追随した?
国王陛下から、裏切り者のそしりを受ける前に、公爵を裏切ることで、他の友人は身の安全を図った?
公爵が、望めば、確認したらいい。
公職を辞去したら、友人との関係を考える時間も出来るだろう。
「戯れ言を好む伴侶か?」
と国王陛下は歯牙にもかけない。
国王陛下は、うんとは、言わないだろうなー。
神子様は、爛々と輝く目でオレを見ている。
神子様が見ているのは、公爵じゃない。
オレだ。
公爵とオレがいて。
神子様が、公爵じゃなく、オレを見るのは初めて。
オレは、オレを襲わせた首謀者の神子様が何を言い出すのか、と待った。
「公爵が、公爵の伴侶に騙されて、真実の愛を伴侶に捧げてしまった。
何もかもおしまいだよ。
うまくやった気分は、どう?
ぼくは、最悪。
ぼくも、公爵の伴侶には騙されたよ。
本当に、ズルいよね?
ぼくを応援すると言っていたから、許したのに。
自分が、公爵に真実の愛を捧げられたかったんだね。
公爵の真実の愛を、ぼくに捧げられなくして、最低だよ!」
と神子様。
神子様の眼光からは、オレへの恨みや憎しみがほとばしっている。
神子様とオレの認識の隔たりは、広がる一方。
オレは、公爵の腕の中から、公爵を見上げた。
公爵は、もう、神子様に萎縮していない。
かつて。
神子様に絡まれても、国王陛下から神子様の意に反する言動を禁止する言葉をもらったせいで、
公爵は、神子様への要望も反論もオレに任せることしか出来なかった。
今、公爵は。
神子様が、オレだけを見て、オレだけに恨み言をぶつけてくるのを冷静に受け止めている。
頑張れよ、公爵。
オレは、神子様の発言が気になって仕方がない。
オレは、オレへの神託が神子様絡みだと考えていたから、公爵が真実の愛を捧げる人物が、神子様なら、神子様へ協力する、と話をした。
公爵が、オレに真実の愛を捧げたのは、確定らしい。
うーん。
真実の愛って、何なんだ?
公爵は、オレに、真実の愛を捧げると言っただけだよな?
神子様から、話を聞けたらいいんだけどなー。
公爵は、何をどうすればよいかわからない仕事に追われているうちに、思考する習慣を失ってしまった。
公爵領での時間は、公爵の中の固く強張っていた部分を、ほぐした。
公爵は、柔軟性を取り戻しつつある。
今は、公爵が一人で、あれもこれも考えて決める必要もない。
公爵が困ったときは、オレがいる。
公爵の家族で、伴侶のオレが一緒にいるぞ?
オレは、いつも、公爵の味方だ。
今の公爵に、立ち止まって考える機会を与えれば、公爵は、自分自身で考えることが出来る。
手助けはするけど、強制も導きもしないから、自分自身でよく考えろよ、公爵。
公爵は、出来るんだ。
公爵は、オレを抱きしめたままで、国王陛下と神子様を見つめている。
公爵は、落ち着いて、二人の反応を見定めようとしている。
成長したな、公爵。
短期間に、頑張ったな。
オレと家庭についての話し合いをしたときの公爵は。
公爵の友人は、公爵を裏切らないと盲信していた。
公爵が仕事に追われて、帰宅できていない期間。
公爵の友人が、公爵の屋敷を我が物顔で歩き回る状況なんて、公爵は想像したこともなかった。
公爵は、育ちの良さから、友人を疑う考えがなかったんだろうなー。
公爵の友人が、公爵を心配する気持ちを持っていたことまで、オレは否定しない。
時間の経過と、環境の変化に伴い、公爵の友人の気持ちは、変質していったのだと思う。
公爵の友人は、自身の変質していく気持ちを押し込めず、公爵に気づかれないように、公爵の生活に影響を与えていった。
公爵への間接的な支配を強めていった。
その先陣を切ったのが、国王陛下なのは、間違いないだろう。
魔王による消失が始まる前の、公爵の友人と、公爵との関係は、今のように歪ではなかったのかな。
国のトップが、率先して動くから、他の友人も嬉々として追随した?
国王陛下から、裏切り者のそしりを受ける前に、公爵を裏切ることで、他の友人は身の安全を図った?
公爵が、望めば、確認したらいい。
公職を辞去したら、友人との関係を考える時間も出来るだろう。
「戯れ言を好む伴侶か?」
と国王陛下は歯牙にもかけない。
国王陛下は、うんとは、言わないだろうなー。
神子様は、爛々と輝く目でオレを見ている。
神子様が見ているのは、公爵じゃない。
オレだ。
公爵とオレがいて。
神子様が、公爵じゃなく、オレを見るのは初めて。
オレは、オレを襲わせた首謀者の神子様が何を言い出すのか、と待った。
「公爵が、公爵の伴侶に騙されて、真実の愛を伴侶に捧げてしまった。
何もかもおしまいだよ。
うまくやった気分は、どう?
ぼくは、最悪。
ぼくも、公爵の伴侶には騙されたよ。
本当に、ズルいよね?
ぼくを応援すると言っていたから、許したのに。
自分が、公爵に真実の愛を捧げられたかったんだね。
公爵の真実の愛を、ぼくに捧げられなくして、最低だよ!」
と神子様。
神子様の眼光からは、オレへの恨みや憎しみがほとばしっている。
神子様とオレの認識の隔たりは、広がる一方。
オレは、公爵の腕の中から、公爵を見上げた。
公爵は、もう、神子様に萎縮していない。
かつて。
神子様に絡まれても、国王陛下から神子様の意に反する言動を禁止する言葉をもらったせいで、
公爵は、神子様への要望も反論もオレに任せることしか出来なかった。
今、公爵は。
神子様が、オレだけを見て、オレだけに恨み言をぶつけてくるのを冷静に受け止めている。
頑張れよ、公爵。
オレは、神子様の発言が気になって仕方がない。
オレは、オレへの神託が神子様絡みだと考えていたから、公爵が真実の愛を捧げる人物が、神子様なら、神子様へ協力する、と話をした。
公爵が、オレに真実の愛を捧げたのは、確定らしい。
うーん。
真実の愛って、何なんだ?
公爵は、オレに、真実の愛を捧げると言っただけだよな?
神子様から、話を聞けたらいいんだけどなー。
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