《本編 完結 続編開始》29歳、異世界人になっていました。日本に帰りたいのに、年下の英雄公爵に溺愛されています。

かざみはら まなか

文字の大きさ
上 下
76 / 667
第5章 いつになったら、日本に帰れますか?

76.『公爵。オレ達は、離れたらダメだったんだ。 今日から、公爵は、オレの英雄になれよ。 魔王討伐の英雄は、昨日で終わりな。』

しおりを挟む
オレ、クズがクズ過ぎて、こいつに触られるの、本気で嫌なんだけど。

生理的に無理レベル。

実は、外国のいいお家の生まれじゃないか疑惑が芽生えた途端に、オレを掘る気満々になっているクズ。

クズは、ふむふむと言いながら、べたべたとオレを撫で回している。

高貴で珍しいものなら、触れるうちに、存分に触っておこう、という目論見があけすけのクズ。

オレと公爵が駆け落ちしたか、公爵が掻っ攫ってきたかしたから、公爵より前に初物じゃなくして、公爵の鼻を明かすという思考が、クズ以外の何者でもない。


オレ、まかり間違っても、こいつにだけは、掘られたくない。


挿入は、公爵のタイミングに合わせるはずだ。


チャンスは、きっとある。
オレと公爵が、巻き返しを図るチャンスが。


げ!

クズが!

クズが!

顔を近づけてきた!

頑張れ、オレの表情筋!

「反応しませんねえ。」

反応?

今すぐ、クズをグーで殴りたいなー。

クズは、何を思ったのか。

オレの乳首をペロリと舐めた。

ぎゃあああ。
舐められた。

クズに舐められた!

「やっぱり、分かってないんですねえ。」

「ああ。公爵の絶望が楽しみですねえ。」


あんたは、肥溜めに落ちて出てくるな!


人の足音が聞こえてきた。


「歓迎会の本番ですねえ。待ち遠しかったでしょう?」

クズは、オレの両足の間に体を入れてきた。

「本当に、公爵の伴侶を公爵よりも早くいただける機会を与えてくださるなんて、偉大ですよねえ。神子様は。」
とクズ。

クズの今から掘りますスタイル、嫌過ぎる!

「神子様は、公爵がいいと言うんですよねえ。
あんな、何も出来ないボンクラのどこがいいんだか。

公爵が、神子様と結婚していれば、全てうまくいったのに、国王陛下も、愚かな幼馴染みに、いらぬ苦労をさせられて。」

クズは、成功を確信したのか、喋る。

オレの予測通りだなー。

「そんな、苦労も、今日で終わりですねえ。公爵は、神子様と結婚し直すんですから。」

クズが、ぺらぺら喋っている。

「さて、私もスタンバイ出来ましたよ。まだですかねえ。」


部屋の前で、足音が止まった。

声も聞える。

「公爵の伴侶がここにいるって、報告があったんだよ?ぼくが、一緒に探さなかったら、見つからなかったね。」
神子様の鼻にかかった声。

「ここに、私のヒサツグが?」

公爵!

やっと来たか!


クズは、にやりと口を歪めて、クズの棒きれの切っ先をオレの尻の穴にくっつけた。

嫌だー。

気持ち悪いー。

粘膜から拒否する!

「せーの、で、扉を開けるからね!」
と神子様のはつらつとした声は、クズへの合図か。

オーケー、神子様。

勝負は最後まで、大番狂わせがあるんだぞ?


「せーの!」
と神子様。

クズが、腰を押し進めようとする隙間に、オレは手を伸ばす。

クズの元気な棒きれを握り、グキッと真ん中で折ってやった。

曲がれ曲がれ。

二度と元に戻るな!

クズは、股間を押さえてもがいている。

今まで、無抵抗だったオレの俊敏な動きに、クズとクズ仲間は反応出来なかった。

オレは叫ぶ。
「公爵、オレは、今、気持ち悪い男の棒きれを触ったから、気持ち悪い!
早く帰ろう!」

「ヒサツグ!」
公爵は、部屋に入ってきた。

「公爵、元気を出して。公爵の伴侶が不貞している!」
神子様が、公爵を追いかけて入ってきた。

神子様の後ろに、国王陛下も見える。

「公爵。
こいつら、歓迎会をするって、オレの服をビリビリにしたから、オレは裸なんだ。
オレの体を公爵の体で隠してくれよ。」

「私のヒサツグ。」
と公爵がオレに駆け寄る。

オレの周りにいたクズ仲間は、公爵と神子様と国王陛下の姿を見ると。

股間を押さえるクズを見捨てて、すすっと部屋の端へ。

オレは、公爵にぎゅうぎゅうと抱きついてやった。

公爵がオレを抱きしめ返す。

いつものオレ達と逆だな。

「オレは、公爵が来るのを待っていたんだぞ?

公爵。
オレ達は、離れたらダメだったんだ。

今日から、公爵は、オレの英雄になれよ。
魔王討伐の英雄は、昨日で終わりな。」

公爵に会えて、ほっとしたオレ、最後の方は、涙声になっていた。

「公爵は、オレの英雄なんだから、早く助けにこないとダメだろう。
オレは、公爵の伴侶だぞ?」

「ヒサツグ。」
公爵は、上着を脱いで、裸のオレに着させた。

公爵は、オレの両手をとると。
その場で、片足を一歩引いて、片膝立ちになった。

「止めてよ!」
と神子様。

「公爵!考え直せ。」
と国王陛下。

公爵は、二人に見向きもしない。

公爵は、オレだけを見ていた。
「魔王討伐の英雄は、公爵の伴侶ヒサツグ・ミズトに私の心、真実の愛を捧げる。」
と公爵。

言い終えた公爵は、オレの両手の甲にかわるがわるキスをした。


今、真実の愛を捧ぐって言わなかった?

オレに?
しおりを挟む
感想 84

あなたにおすすめの小説

どうしてこうなった?(ショートから短編枠にしたもの)

エウラ
BL
3歳で魔物に襲われて両親を亡くし、孤児院育ちの黒髪黒目で童顔のノヴァは前世の記憶持ちの異世界転生者だ。現在27歳のCランク冒険者。 魔物に襲われたときに前世の記憶が甦ったが、本人は特にチートもなく平々凡々に過ごしていた。そんなある日、年下22歳の若きSランク冒険者のアビスと一線を越える出来事があり、そこで自分でも知らなかった今世の過去を知ることになり、事態は色々動き出す。 若干ストーカー気味なわんこ系年下冒険者に溺愛される自己評価の低い無自覚美人の話。 *以前ショート専用の枠で書いてましたが話数増えて収拾がつかなくなったので短編枠を作って移動しました。 お手数おかけしますがよろしくお願いいたします。 なお、プロローグ以降、途中まではショートの投稿分をまるっと載せるのでそちらと重複します。ご注意下さい。出来次第投稿する予定です。 こちらはR18には*印付けます。(でも忘れたらすみません)

どうも、卵から生まれた魔人です。

べす
BL
卵から生まれる瞬間、人間に召喚されてしまった魔人のレヴィウス。 太った小鳥にしか見えないせいで用無しと始末されそうになった所を、優しげな神官に救われるのだが…

【完結】ぎゅって抱っこして

かずえ
BL
幼児教育学科の短大に通う村瀬一太。訳あって普通の高校に通えなかったため、働いて貯めたお金で二年間だけでもと大学に入学してみたが、学費と生活費を稼ぎつつ学校に通うのは、考えていたよりも厳しい……。 でも、頼れる者は誰もいない。 自分で頑張らなきゃ。 本気なら何でもできるはず。 でも、ある日、金持ちの坊っちゃんと心の中で呼んでいた松島晃に苦手なピアノの課題で助けてもらってから、どうにも自分の心がコントロールできなくなって……。

実はαだった俺、逃げることにした。

るるらら
BL
 俺はアルディウス。とある貴族の生まれだが今は冒険者として悠々自適に暮らす26歳!  実は俺には秘密があって、前世の記憶があるんだ。日本という島国で暮らす一般人(サラリーマン)だったよな。事故で死んでしまったけど、今は転生して自由気ままに生きている。  一人で生きるようになって数十年。過去の人間達とはすっかり縁も切れてこのまま独身を貫いて生きていくんだろうなと思っていた矢先、事件が起きたんだ!  前世持ち特級Sランク冒険者(α)とヤンデレストーカー化した幼馴染(α→Ω)の追いかけっ子ラブ?ストーリー。 !注意! 初のオメガバース作品。 ゆるゆる設定です。運命の番はおとぎ話のようなもので主人公が暮らす時代には存在しないとされています。 バースが突然変異した設定ですので、無理だと思われたらスッとページを閉じましょう。 !ごめんなさい! 幼馴染だった王子様の嘆き3 の前に 復活した俺に不穏な影1 を更新してしまいました!申し訳ありません。新たに更新しましたので確認してみてください!

君なんか求めてない。

ビーバー父さん
BL
異世界ものです。 異世界に召喚されて見知らぬ獣人の国にいた、佐野山来夏。 何かチートがありそうで無かった来夏の前に、本当の召喚者が現われた。 ユア・シノハラはまだ高校生の男の子だった。 人が救世主として召喚したユアと、精霊たちが召喚したライカの物語。

【完結】悪役令息の役目は終わりました

谷絵 ちぐり
BL
悪役令息の役目は終わりました。 断罪された令息のその後のお話。 ※全四話+後日談

αからΩになった俺が幸せを掴むまで

なの
BL
柴田海、本名大嶋海里、21歳、今はオメガ、職業……オメガの出張風俗店勤務。 10年前、父が亡くなって新しいお義父さんと義兄貴ができた。 義兄貴は俺に優しくて、俺は大好きだった。 アルファと言われていた俺だったがある日熱を出してしまった。 義兄貴に看病されるうちにヒートのような症状が… 義兄貴と一線を超えてしまって逃げ出した。そんな海里は生きていくためにオメガの出張風俗店で働くようになった。 そんな海里が本当の幸せを掴むまで…

──だから、なんでそうなんだっ!

涼暮つき
BL
「面倒くさいから認めちゃえば?」 「アホか」 俺は普通に生きていきたいんだよ。 おまえみたいなやつは大嫌いだ。 でも、本当は羨ましいと思ったんだ。 ありのままの自分で生きてるおまえを──。 身近にありそうな日常系メンズラブ。 *以前外部URLで公開していたものを 掲載し直しました。 ※表紙は雨月リンさんに描いていただきました。  作者さまからお預かりしている大切な作品です。  画像の無断転載など固く禁じます。

処理中です...