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第5章 いつになったら、日本に帰れますか?

70.王城で、出来立てホヤホヤの配下と対面します。公爵と一緒に。全員仏頂面な上に、明後日向いています。

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神子様と話し合いの結果。

見事に決裂した。

互いに譲るところがなかったからなー。

オレ、完全に敵認定されたなー。

公爵には、神子様の恋路に待ったをかけることも、拒絶することも、出来なかったからなー。

今までは、神子様を適当にいなしてきたんだろうけど、本人は、もう神子様から離れるとオレに誓っている。

公爵の精神衛生上は、神子様と距離をおくのが、正解だけど。

公爵は、神子様から、離れていいのか?

神子様から、離れられるのか?

分からん。

公爵が真実の愛を捧げる相手が、神子様だと神子様自身が言っているのは、根拠があるのか?

根拠があるなら、神子様は、急ぐ必要がないよな?

神子様が、公爵の気持ちに寄り添って、公爵を見守って、公爵が大丈夫になってから、仲を深めていく時間はあるよなー。

そうすれば、遠回りにみえても、最終的に、神子様と公爵は、互いに思いやれる関係を築いていける。


今、公爵は、神子様だけじゃなく、誰に対しても、真実の愛を捧げる余裕がない。

時間が経てば。

どのくらいの時間?

想像つかないなー。

だから、神子様は、待てないのかな?


公爵が神子様と仲良くなったら、オレと公爵の家族の時間にカウントダウンが始まる。

昨日。
オレにナデナデされて、公爵は、嬉しそうだった。

昨日は、食事と入浴と睡眠の時間以外、ほとんど抱擁していたな。

オレのつむじの匂いを嗅げるほど背丈があるのに、めちゃくちゃ甘えていたよなー。


なあ、公爵、神子様ともうまくやれよー。


はあ、神子様かー。

うまくやれよ、と、公爵を送り出さないといけないのに、送り出したくない。


どうしようもないことを考えていても、詮ないか。

公爵と神子様対策を練っておこう。



午後。
オレと公爵は、在宅勤務の成果を持って、王城へ。


公爵とオレは、王城にある公爵の執務室にいる。

オレは、公爵の腕を腰に巻き付けて、オレの配下とご対面した。

一人、足りないぞ?

また、今日も、重役出勤か?

部屋の中は、見事に、仏頂面が揃っている。

「諸君らの新しい上司、公爵の伴侶だ。」

一人も、オレの顔を見ない。

まあ、いい。

「名前と、職務経歴を一人ずつ、オレに話せ。」

しーん。

反抗的だなー。


その時、扉が、ゆっくりと開いた。

ノックもなしに、公爵の執務室の扉をあけた男は、オレと公爵の顔を見て、執務机を見た。

「あー。今日は片付いてますねー。」
と男は言った。

現在時刻は、午後二時。

公爵の執務室に、早番も遅番もない。

仕事をする気があるようには見えないぞ?

「あんた、配置換えで、公爵の下から、オレの下になっているから。
今まで、仕事をしていなかった分の給料は、返金しにこい。
返金終わるまで、無給な。
今日から働かない分は、無給だ。」

「ははっ。低俗な冗談を。」
と男。

「誰が低俗な冗談を言った、だって?」

「公爵をはりつかせて、吠える、吠える。」
と男。

男が、笑うと、部屋の仏頂面が、ぷっと吹き出した。

「仕事を一人前に出来るようになってからにしてほしいですな。」
と男。

「公爵の下についてから、一人前に仕事をしていないあんたには、何にも言えないだろう?

この一年間。あんたは、仕事をした実績がない。

あんたが仕事をしないから、あんたの仕事は、公爵がしていたな。」

オレは、憤怒の表情の男を示しながら、仏頂面の配下に言った。

「この男が、公爵の下から、オレの下になった理由は、分かるな?

仕事をしないから、干されたんだ。

左遷だよ。

諸君は、左遷された男と同じ扱いになりたいのかな?」
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