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第4章 夫が真実の愛を捧げる相手はどこにいるのでしょうか?名乗り出てください。
61.『神子様とは何もない。私は、潔白だ。』と公爵は、オレに言いました。オレが聞きたい答えは、それじゃないんです。
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オレの質問を聞いた公爵の秘書とオレの秘書は、同時に公爵に厳しい声をかけた。
「「公爵。」」
公爵の秘書とオレの秘書は、王城と王都の公爵の屋敷で起こった、神子様と公爵とオレの三角関係の愛憎劇を知っている。
オレと公爵とヤグルマさんが揃って話をする場には、必ず秘書も控えている。
事情を知らないのは、公爵領の文官。
「神子様?公爵と魔王を討伐した神子様でしょうか?」
文官は、声に出して確認していた。
執事長は、公爵領に来た経緯を知っているようだ。
静観している。
「神子様に何があったんですか?」
と話し始めた文官を執事長は黙らせた。
「オレは、公爵に、神子様のことを聞きたい。
公爵が話してくれるのを待っていた。
でも、もう待てない。
今、聞きたい。
王都の公爵家の屋敷に戻るなら、オレは、何も知らないままでいたくない。」
オレは、真剣に、公爵の心に響くことを願って、言葉を選んだ。
神子様への懸念を表さず、オレの知りたい気持ちだけを抽出した。
言葉選びは、間違っていなかったと思う。
文官は、シリアスな雰囲気を感じ取って、執事長の隣で静かにしている。
「公爵、今日まで、伴侶に説明しなかったんですか?
私は、説明するために、王都を離れたんだと思っていました。
伴侶が、今日、勇気を出さなかったら、話さないつもりだったんですか?
それは、さすがに、伴侶の健気さを踏みにじる行いでは?」
公爵の秘書が、公爵にお説教している。
オレの健気さ、というより、オレの意思を踏み潰してきたよ、公爵は。
健気さ云々は、ともかく。
公爵には、説明してほしい。
「この件で、ヒサツグ様が責められることがあっても、夫が何にも言わないせいだと弁明できます。」
とオレの秘書。
「二人とも、ありがとう。オレは、神子様についての説明が聞けたら、十分。」
公爵の秘書とオレの秘書の熱意が、公爵を動かしたのか、公爵は、分かった、と返事した。
よし。
オレの聞きたいことを聞いていくぞ!
オレが、姿勢を正して、質問しようとすると。
公爵が先に話し始めた。
「ヒサツグからの質問の前に、これだけは、言っておきたい。
神子様とは何もない。
私は、潔白だ。
私のヒサツグに顔向け出来ないような不実な真似はしていない。
誤解だ。」
そうか。
そうなんだ。
へー。
今さら、それを聞かされてもなー。
オレの聞きたい話じゃないからなー。
オレは、冷めた目で、公爵を見てしまった。
その後、怒りがふつふつと湧いてきた。
王城で、神子様が公爵の腕に絡んでいるときに、さ。
『誤解だ。』
と神子様を振り払っていたら、信憑性はあったよ?
神子様が乗り込んできて、公爵と別れろ、とオレに言ってきた、と、オレが公爵に話したとき、公爵は、何をした?
神子様の望みは、公爵の望みではない、としか言っていない。
神子様に対しで、ヘタレな上に、オレに対して、労りも謝罪もなく、言い訳さえしなかった。
そんな扱いをしているのにさあ。
なぜ、オレと結婚を強行したのかなー?
オレは、公爵にめちゃくちゃ腹が立っていると自覚した。
「この期に及んで、公爵は悪くなくて、オレが悪いって、公爵は言うんだ?」
オレが聞きたいことは、たくさんあったんだ。
聞かなくちゃいけないことも、たくさん。
オレは、さあ。
公爵には、期待するだけ、期待した側が辛くなるボンクラだって、知っていたのに。
無意識に期待したんだな。
情けない。
オレは、公爵と、オレ自身に腹が立った。
オレは、席を立って、部屋を出ていってやろう、と思ったのに、出来なかった。
「ヒサツグは、神子様のことで、もう不安にならなくていい。」
と公爵が言ったから。
期待したら、裏切られる、と頭では分かっていても、期待してしまうんだ。
なぜだろう?
「「公爵。」」
公爵の秘書とオレの秘書は、王城と王都の公爵の屋敷で起こった、神子様と公爵とオレの三角関係の愛憎劇を知っている。
オレと公爵とヤグルマさんが揃って話をする場には、必ず秘書も控えている。
事情を知らないのは、公爵領の文官。
「神子様?公爵と魔王を討伐した神子様でしょうか?」
文官は、声に出して確認していた。
執事長は、公爵領に来た経緯を知っているようだ。
静観している。
「神子様に何があったんですか?」
と話し始めた文官を執事長は黙らせた。
「オレは、公爵に、神子様のことを聞きたい。
公爵が話してくれるのを待っていた。
でも、もう待てない。
今、聞きたい。
王都の公爵家の屋敷に戻るなら、オレは、何も知らないままでいたくない。」
オレは、真剣に、公爵の心に響くことを願って、言葉を選んだ。
神子様への懸念を表さず、オレの知りたい気持ちだけを抽出した。
言葉選びは、間違っていなかったと思う。
文官は、シリアスな雰囲気を感じ取って、執事長の隣で静かにしている。
「公爵、今日まで、伴侶に説明しなかったんですか?
私は、説明するために、王都を離れたんだと思っていました。
伴侶が、今日、勇気を出さなかったら、話さないつもりだったんですか?
それは、さすがに、伴侶の健気さを踏みにじる行いでは?」
公爵の秘書が、公爵にお説教している。
オレの健気さ、というより、オレの意思を踏み潰してきたよ、公爵は。
健気さ云々は、ともかく。
公爵には、説明してほしい。
「この件で、ヒサツグ様が責められることがあっても、夫が何にも言わないせいだと弁明できます。」
とオレの秘書。
「二人とも、ありがとう。オレは、神子様についての説明が聞けたら、十分。」
公爵の秘書とオレの秘書の熱意が、公爵を動かしたのか、公爵は、分かった、と返事した。
よし。
オレの聞きたいことを聞いていくぞ!
オレが、姿勢を正して、質問しようとすると。
公爵が先に話し始めた。
「ヒサツグからの質問の前に、これだけは、言っておきたい。
神子様とは何もない。
私は、潔白だ。
私のヒサツグに顔向け出来ないような不実な真似はしていない。
誤解だ。」
そうか。
そうなんだ。
へー。
今さら、それを聞かされてもなー。
オレの聞きたい話じゃないからなー。
オレは、冷めた目で、公爵を見てしまった。
その後、怒りがふつふつと湧いてきた。
王城で、神子様が公爵の腕に絡んでいるときに、さ。
『誤解だ。』
と神子様を振り払っていたら、信憑性はあったよ?
神子様が乗り込んできて、公爵と別れろ、とオレに言ってきた、と、オレが公爵に話したとき、公爵は、何をした?
神子様の望みは、公爵の望みではない、としか言っていない。
神子様に対しで、ヘタレな上に、オレに対して、労りも謝罪もなく、言い訳さえしなかった。
そんな扱いをしているのにさあ。
なぜ、オレと結婚を強行したのかなー?
オレは、公爵にめちゃくちゃ腹が立っていると自覚した。
「この期に及んで、公爵は悪くなくて、オレが悪いって、公爵は言うんだ?」
オレが聞きたいことは、たくさんあったんだ。
聞かなくちゃいけないことも、たくさん。
オレは、さあ。
公爵には、期待するだけ、期待した側が辛くなるボンクラだって、知っていたのに。
無意識に期待したんだな。
情けない。
オレは、公爵と、オレ自身に腹が立った。
オレは、席を立って、部屋を出ていってやろう、と思ったのに、出来なかった。
「ヒサツグは、神子様のことで、もう不安にならなくていい。」
と公爵が言ったから。
期待したら、裏切られる、と頭では分かっていても、期待してしまうんだ。
なぜだろう?
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