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第4章 夫が真実の愛を捧げる相手はどこにいるのでしょうか?名乗り出てください。
54.『外に出たい。一緒に。』と公爵に訴えたら、公爵と一緒に、公爵領にある別邸に行くことになりました。
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オレは、金魚鉢の金魚にはならない。
オレは、屋敷で軟禁状態から脱する作戦を考えた。
「公爵、一緒に遠出したいんだけど、行かないか?泊まりで何泊か。」
オレは、朝食の席、公爵を誘った。
一人で、外に出るな、というなら、一緒に出かけたらいい。
公爵は、オレを愛してると言う。
一ヶ月ほど、公爵に軟禁されているオレには、愛されている実感が、湧いてこない。
ただ、オレを軟禁し始めてから、毎日屋敷に帰ってくるようになった公爵を見ていると。
公爵は、公爵だけの家族が欲しかったのかなー?
という気がする。
公爵だけに寄り添って、公爵だけを大事にしてくれる家族。
公爵は、一人っ子だ。
公爵の両親が消失して、血の繋がった家族はいなくなった。
公爵が、自分で、伴侶を選びたかったのは、公爵の孤独や寂しさ、重圧を理解して、励まし、支え、ときには守ってくれる人に一緒にいてほしいから、じゃないかなー。
公爵の婚約者候補の五人は、皆、家族がいる。
公爵を一番大事にしてくれるかもしれないけれど、公爵は、一番じゃ嫌なんだ。
家族の序列に入りたくないんだと思う。
一部か、全部か、問題。
公爵が一番大事だけど、肉親も大事、は、公爵には通用しない。
公爵以外を大事にする可能性がある人を、公爵は、伴侶としては考えられない。
国王陛下の姉や、医者の妹のように、誰かの姉妹。
宰相の娘や司祭の従兄弟のように、両親が生きていて、両親に甘えられる誰かの息子や娘。
近衛騎士団長の甥のように親戚に利用されながらも、利用される以上に、親戚に可愛がられている男。
公爵にとって、婚約者候補の五人といることは、失われた家族との時間を喉元に突きつけられることになるから。
どういう経緯で、五人が婚約者候補になったのか、オレは知らない。
魔王による消失が始まる前なら、いざ知らず。
消失後の選択肢として、婚約者候補だった五人は、一番選ばれない人選だった。
公爵からの初夜のお誘いは、夜中に、帰ってきて、『初夜がまだ』と言っていた日以来、聞いていない。
オレから、初夜を誘ったことはない。
軟禁状態で、軟禁しているやつと体の関係を持つのは、怖い。
体の関係は、最後の砦だから。
公爵は、伴侶を自分のものと認識していて、誰かに使われるのが嫌、という感情からきていないか?という疑いをオレは持っている。
自分のもの、自分だけのもの。
自分だけの特別な存在。
『オレは、公爵の唯一の家族』
だから、そう感じるのかなー。
オレは、公爵だけの家族。
それで、軟禁の理由の説明がつくんだよなー。
家族だから、公爵を優先して、公爵だけを見て。
他の人は、家族じゃないから、見ないで。
そんな感じ。
公爵の両親と公爵は仲の良い家族だったらしい。
公爵の両親は、魔王による消失で消えた。
公爵の両親は、消失が起き始めて間もない頃の消失者だったようだ。
公爵は、急遽、公爵になった。
今から、約一年前の出来事。
当時、神子様は、まだ、この国に来ていなかった。
急な継承だったため、公爵は、仕事を覚えるのに必死で、両親の消失を嘆き悲しむ時間が取れなかったらしい。
公爵家の使用人や、公爵領の担当達から当時の話を聞くと、寝る暇も惜しむ程だったそうだ。
消失という現象が、国中に起きているとわかり、魔王討伐の筆頭候補になった公爵。
オレさー。
公爵が、仕事が忙しいと言って、家に帰って来なくなった理由。
両親がいない家に帰りたくなかったんじゃないかな?
と、今は思っている。
公爵が話さないから、触れないけれど。
今、オレの目下の課題は。
オレのことを、半年、仕事にかまけて放置していたら、寂しさのあまり不貞しようとした新妻という誤解をとくことだ。
動きづらいったら、ありゃしない。
公爵と神子様の関係を進展させるのは、オレへの疑いがはれてからだなー。
「ヒサツグと一緒に?なら、公爵領の別邸に行くか?」
「行きたい。楽しみ。いつ?」
「来週、出発する。」
オレは、屋敷で軟禁状態から脱する作戦を考えた。
「公爵、一緒に遠出したいんだけど、行かないか?泊まりで何泊か。」
オレは、朝食の席、公爵を誘った。
一人で、外に出るな、というなら、一緒に出かけたらいい。
公爵は、オレを愛してると言う。
一ヶ月ほど、公爵に軟禁されているオレには、愛されている実感が、湧いてこない。
ただ、オレを軟禁し始めてから、毎日屋敷に帰ってくるようになった公爵を見ていると。
公爵は、公爵だけの家族が欲しかったのかなー?
という気がする。
公爵だけに寄り添って、公爵だけを大事にしてくれる家族。
公爵は、一人っ子だ。
公爵の両親が消失して、血の繋がった家族はいなくなった。
公爵が、自分で、伴侶を選びたかったのは、公爵の孤独や寂しさ、重圧を理解して、励まし、支え、ときには守ってくれる人に一緒にいてほしいから、じゃないかなー。
公爵の婚約者候補の五人は、皆、家族がいる。
公爵を一番大事にしてくれるかもしれないけれど、公爵は、一番じゃ嫌なんだ。
家族の序列に入りたくないんだと思う。
一部か、全部か、問題。
公爵が一番大事だけど、肉親も大事、は、公爵には通用しない。
公爵以外を大事にする可能性がある人を、公爵は、伴侶としては考えられない。
国王陛下の姉や、医者の妹のように、誰かの姉妹。
宰相の娘や司祭の従兄弟のように、両親が生きていて、両親に甘えられる誰かの息子や娘。
近衛騎士団長の甥のように親戚に利用されながらも、利用される以上に、親戚に可愛がられている男。
公爵にとって、婚約者候補の五人といることは、失われた家族との時間を喉元に突きつけられることになるから。
どういう経緯で、五人が婚約者候補になったのか、オレは知らない。
魔王による消失が始まる前なら、いざ知らず。
消失後の選択肢として、婚約者候補だった五人は、一番選ばれない人選だった。
公爵からの初夜のお誘いは、夜中に、帰ってきて、『初夜がまだ』と言っていた日以来、聞いていない。
オレから、初夜を誘ったことはない。
軟禁状態で、軟禁しているやつと体の関係を持つのは、怖い。
体の関係は、最後の砦だから。
公爵は、伴侶を自分のものと認識していて、誰かに使われるのが嫌、という感情からきていないか?という疑いをオレは持っている。
自分のもの、自分だけのもの。
自分だけの特別な存在。
『オレは、公爵の唯一の家族』
だから、そう感じるのかなー。
オレは、公爵だけの家族。
それで、軟禁の理由の説明がつくんだよなー。
家族だから、公爵を優先して、公爵だけを見て。
他の人は、家族じゃないから、見ないで。
そんな感じ。
公爵の両親と公爵は仲の良い家族だったらしい。
公爵の両親は、魔王による消失で消えた。
公爵の両親は、消失が起き始めて間もない頃の消失者だったようだ。
公爵は、急遽、公爵になった。
今から、約一年前の出来事。
当時、神子様は、まだ、この国に来ていなかった。
急な継承だったため、公爵は、仕事を覚えるのに必死で、両親の消失を嘆き悲しむ時間が取れなかったらしい。
公爵家の使用人や、公爵領の担当達から当時の話を聞くと、寝る暇も惜しむ程だったそうだ。
消失という現象が、国中に起きているとわかり、魔王討伐の筆頭候補になった公爵。
オレさー。
公爵が、仕事が忙しいと言って、家に帰って来なくなった理由。
両親がいない家に帰りたくなかったんじゃないかな?
と、今は思っている。
公爵が話さないから、触れないけれど。
今、オレの目下の課題は。
オレのことを、半年、仕事にかまけて放置していたら、寂しさのあまり不貞しようとした新妻という誤解をとくことだ。
動きづらいったら、ありゃしない。
公爵と神子様の関係を進展させるのは、オレへの疑いがはれてからだなー。
「ヒサツグと一緒に?なら、公爵領の別邸に行くか?」
「行きたい。楽しみ。いつ?」
「来週、出発する。」
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