《本編 完結 続編開始》29歳、異世界人になっていました。日本に帰りたいのに、年下の英雄公爵に溺愛されています。

かざみはら まなか

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第4章 夫が真実の愛を捧げる相手はどこにいるのでしょうか?名乗り出てください。

47.『この浮気者!』神子様は公爵と一緒に魔王討伐したそうです。神子様は公爵の腕に絡みついています。公爵?神子様にされるがままですよ?

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医者の妹が勝ち誇ったように言った。
『私は毎日、公爵と会っているわ。あなたなんて、忘れられているわよ!』
医者の妹が言い終わる前に、妹をかかえた医者は、オレの前からいなくなった。

言い逃げか?

おい!説明していけ!

医者の妹のせいで、新婚家庭が崩壊の危機だぞ!

婚姻届を出しただけで、別居しているオレと公爵が、新婚家庭を築けているとは言い切れないけど。

あと、純粋に、オレを巻き込んだ公爵が、オレを放置しているのは、腹が立つ。

説明だけはしろよ!

遅くなってもいいから。


それにしても、医者の妹は、気になることを言っていた。

オレと公爵は、ひんやりした夫婦関係。

これは、クリアしている。

公爵が真実の愛を捧げる相手が、医者の妹なら、オレは、もう日本に帰っているんじゃないか?

つまり、医者の妹は、公爵が真実の愛を捧げる相手からは除外していい。

帰ったら、神子様が、何のことか、ヤグルマさんに聞こう。

会いたくない二人もいなくなった。

ケチがついたまま終わるのは嫌だなー。

もう少しぶらぶらしよう。



知らない人と遭遇した。

20歳くらいの男性。

大学生かなー?

雰囲気からして、社会人じゃなさそうだ。

オレは、公爵の伴侶として王城に来て、国王陛下の姉や、宰相の娘と会っているから、オーダーメイドの良い服を着ている。

知らない若者は、オレと同じくらいに、良い服を着ていた。

金持ちか良いお家の若様なんだろう。

会釈して立ち去ろうとしたら、怒られた。

「なんですか、あなた!」

29歳になって、人前で怒られることがまだ、あったんだなー。

会釈して、怒られるとは、異世界の常識は、難しい。

「観光にきただけなんで、お気になさらず。」

そのまま立ち去ろうとすると。

「この国の国民でありながら、ぼくに対してよくもそんな態度がとれるよね!」

もっと怒られた。

オレは、この国の国民か?

公爵の伴侶だから、一応は、この国の国民になるのか?

出生地で決まるなら、オレは日本国籍のままだけど。

異世界の戸籍法は、どうなっているんだろうな。

そして。
国王陛下でもないのに、
『ぼくのことを知らないなんて!』
と非難してくる若様は、どこの誰なんだ?

知らない、と、正直に言わない方が良さそう。

その時。

「神子様、神子様。どちらですか?」
と言う声が聞こえてきた。

聞き覚えがあるんだが?

物凄く久しぶりに聞くぞ。

何ヶ月ぶりに聞く声だわ。

オレは、毎日聞いていてもおかしくないはずなんだけどなー。

不思議だなー。


声の主は、神子様、と呼びかけながら、歩いている。

姿が見えた。

間違いない!

おい!公爵!

オレの夫!

紙面上のだけどな!

王城にいたのかよ!


オレが、公爵に呼びかけるより前に、目の前の男が、公爵に走り寄っていった。

男は、公爵の腕にしがみついた。

公爵は、振り払わない。

オレは、何を見せられているんだ?

浮気の現場か?

イラッとしたぞ、おい!

「公爵。聞いてくれる?凄く失礼な人がいたんだよ。」
公爵の腕にしがみついている若者の口調が、急に舌っ足らずになった。

さっきまで、ハキハキ喋っていただろう!

ぶりっ子か?

可愛くないぞ!

「神子のぼくを知らんぷりするなんて、どういう神経しているのかなあ。
ぼく、公爵と一緒に、魔王討伐を頑張ったのに。
公爵から、ちゃんと言ってよ。」
と若者。

20歳くらいの若者は、自身を神子って言ったぞ!

しかも、魔王討伐を?

公爵と一緒に頑張った、だあ?

未知の情報が多すぎる。

帰ったら、ヤグルマさんに確認しよう。


若者は、公爵に腕を絡ませながら歩いてくる。

公爵は、若者をなだめながら、若者にされるがまま。

公爵!覚えていろよ!

王城で、堂々と浮気しやがって!

「あの人!」
と若者は、オレを指差した。

失礼だな!

人を指差すんじゃない!

公爵は、若者に向けていた視線を、若者の指差す方に流した。

オレ、自分で分かるくらい、しかめっ面している自信がある。

オレは、公爵と若者が、オレを責める前に、大声で言ってやった。

「この浮気者!」
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