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第4章 夫が真実の愛を捧げる相手はどこにいるのでしょうか?名乗り出てください。
42.王城に会いに来て、とお誘いがありました。公爵の婚約者候補のうち三名からです。国王陛下の姉から順に会うことにしました。
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視察から帰ってきて、担当者と話し合いを続けていたら。
お招きを受けた。
王城に。
なんで王城?
使者に確認すると。
国王陛下の姉は、王宮に住んでいるが、同性ではないので、王城で会いたい、とのこと。
近衛騎士団長の甥は、王城で、仕事の合間に話をしたい、と。
宰相の娘は、お父様のお手伝いをしに王城に来ているから、会いに来るといいでしょう、と。
三名の使者と前後して、司祭の従兄弟からも使者がきた。
司祭の従兄弟は、普通の貴族のご子息だから、どこか適当な場所を用意するから、そこに来て、と。
来るなと言ったら、来い、と返してくるとは、たくましい。
簡単にへこたれていたら、生きていけないな。
誰から、会おう?
地位の高い人から、が無難だな。
国王陛下の姉から会いに行ってくるか。
お茶会終わりに、相談にのると、オレは言った。
オレに相談したいのかな?
オレは、王城にある国王陛下の姉の執務室にいる。
先代国王陛下夫妻が消失した後、子ども世代の王族は力を合わせて、国王陛下の仕事を分担しているそうだ。
国王陛下の姉は、仕事の合間にオレと話をしている。
お茶を飲みながら。
ひょっとすると、息抜きかな?
「考えていた。」
と国王陛下の姉。
「何をですか?」
「公爵は、なぜ、わたくしを選ばなかったのか?」
と国王陛下の姉。
直球だな、おい。
オレの言葉を真剣に受け止めてくれた分、国王陛下の姉の方は、公爵よりも、オレの好感度が上がったぞ。
「この国に、わたくしより条件が良い娘はいない。そのわたくしの誇りが、公爵との結婚の足かせ。」
まんじりともしない国王陛下の姉。
「国王陛下の姉という地位じゃなくて、地位があるから大丈夫だと思っている考え方に問題はないか?
政略結婚をするなら、地位の高い相手の方が、第三者からの評価が高いかもしれない。
でもさ。
政略結婚の相手として、公爵に選ばれていたら、国王陛下の姉は、満足していたか?」
「公爵とわたくしは、政略結婚を望まなかった。」
と国王陛下の姉。
「国王陛下の姉は、政略結婚を望んでいたなら、今まで待っていない。
政略結婚ではなく、一人の人として、望まれたかったから、公爵の気持ちを待っていたんだろう?」
国王陛下の姉は、目をしばたいた。
「わたくしが、公爵を待っていた?」
ああ、自分で、自分の恋心に気づいていなかったのか。
「好意がある相手に、好きになってもらいたい、と、思う気持ち。
気持ちの中には、立場とは関係なく出てくるものもあるんだろうな。
公爵への気持ちに、今まで気づいていなかったのなら、自分の中で、思い出になるまで、大切に置いておけば?」
休憩時間は、終わりです、という声が部屋の外から聞こえた。
オレは、席を立つ。
「よく来た。今日は、もう良い。」
と国王陛下の姉。
「また、お茶を飲む機会があったら、来るよ。お誘いがあれば。」
オレが、言うと、うむ、と機嫌よく頷いている国王陛下の姉。
始まりは、良くなかったが、まともな言葉が交わせる相手と話をするのは、苦じゃない。
気が向いたら、また話でもするか。
オレも、話し相手がいる方が、いないより、楽しい。
屋敷の外に出る理由があると、気軽に出かけやすい。
視察のときみたいに、全力で接待されるのも、公務に頭を使うのもなし。
フラットな会話をしながらお茶を飲む外出は、たまにしたいと思っていたんだ。
お招きを受けた。
王城に。
なんで王城?
使者に確認すると。
国王陛下の姉は、王宮に住んでいるが、同性ではないので、王城で会いたい、とのこと。
近衛騎士団長の甥は、王城で、仕事の合間に話をしたい、と。
宰相の娘は、お父様のお手伝いをしに王城に来ているから、会いに来るといいでしょう、と。
三名の使者と前後して、司祭の従兄弟からも使者がきた。
司祭の従兄弟は、普通の貴族のご子息だから、どこか適当な場所を用意するから、そこに来て、と。
来るなと言ったら、来い、と返してくるとは、たくましい。
簡単にへこたれていたら、生きていけないな。
誰から、会おう?
地位の高い人から、が無難だな。
国王陛下の姉から会いに行ってくるか。
お茶会終わりに、相談にのると、オレは言った。
オレに相談したいのかな?
オレは、王城にある国王陛下の姉の執務室にいる。
先代国王陛下夫妻が消失した後、子ども世代の王族は力を合わせて、国王陛下の仕事を分担しているそうだ。
国王陛下の姉は、仕事の合間にオレと話をしている。
お茶を飲みながら。
ひょっとすると、息抜きかな?
「考えていた。」
と国王陛下の姉。
「何をですか?」
「公爵は、なぜ、わたくしを選ばなかったのか?」
と国王陛下の姉。
直球だな、おい。
オレの言葉を真剣に受け止めてくれた分、国王陛下の姉の方は、公爵よりも、オレの好感度が上がったぞ。
「この国に、わたくしより条件が良い娘はいない。そのわたくしの誇りが、公爵との結婚の足かせ。」
まんじりともしない国王陛下の姉。
「国王陛下の姉という地位じゃなくて、地位があるから大丈夫だと思っている考え方に問題はないか?
政略結婚をするなら、地位の高い相手の方が、第三者からの評価が高いかもしれない。
でもさ。
政略結婚の相手として、公爵に選ばれていたら、国王陛下の姉は、満足していたか?」
「公爵とわたくしは、政略結婚を望まなかった。」
と国王陛下の姉。
「国王陛下の姉は、政略結婚を望んでいたなら、今まで待っていない。
政略結婚ではなく、一人の人として、望まれたかったから、公爵の気持ちを待っていたんだろう?」
国王陛下の姉は、目をしばたいた。
「わたくしが、公爵を待っていた?」
ああ、自分で、自分の恋心に気づいていなかったのか。
「好意がある相手に、好きになってもらいたい、と、思う気持ち。
気持ちの中には、立場とは関係なく出てくるものもあるんだろうな。
公爵への気持ちに、今まで気づいていなかったのなら、自分の中で、思い出になるまで、大切に置いておけば?」
休憩時間は、終わりです、という声が部屋の外から聞こえた。
オレは、席を立つ。
「よく来た。今日は、もう良い。」
と国王陛下の姉。
「また、お茶を飲む機会があったら、来るよ。お誘いがあれば。」
オレが、言うと、うむ、と機嫌よく頷いている国王陛下の姉。
始まりは、良くなかったが、まともな言葉が交わせる相手と話をするのは、苦じゃない。
気が向いたら、また話でもするか。
オレも、話し相手がいる方が、いないより、楽しい。
屋敷の外に出る理由があると、気軽に出かけやすい。
視察のときみたいに、全力で接待されるのも、公務に頭を使うのもなし。
フラットな会話をしながらお茶を飲む外出は、たまにしたいと思っていたんだ。
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