《本編 完結 続編開始》29歳、異世界人になっていました。日本に帰りたいのに、年下の英雄公爵に溺愛されています。

かざみはら まなか

文字の大きさ
上 下
40 / 667
第4章 夫が真実の愛を捧げる相手はどこにいるのでしょうか?名乗り出てください。

40.お忍びで、工房見学しにきたオレ。技術の継承って、大事なんだと痛感しました。ベテランと中堅がいなくなった工房の方向性を決めていきます。

しおりを挟む
オレは、ひやかしの一見さんになりきっている。

棚に飾られた商品を見ていく。

一目瞭然。

「昔の品と最近の品を両方見たいから、年代バラバラで、いくつも見せてくれるかい?」

オレは、工房の昔の作品と、若手の作品を見比べる。

昔の作品は、ベテラン、中堅、若手の全員が関わったんだろうなあ、というのが分かった。

絵皿なんだけど。

若手は、簡単な部分。
中堅は重要な部分。
ベテランは、最終調整。

三段階で仕上げてきた工房だから、中堅とベテランがいなくて、立ち行かなくなっている。

在庫を売り切った後、どうするか?

中堅とベテランの技は、失伝している。

他の工房も、似た状況なら、似た状況の工房をあつめて、新しい事業を始められないかな。

技術を登録制にして、技術が使われたら、発案者に使用料が支払われる仕組みにしたらどうだろう?

魔王の出現が、この先もないとは、言い難いわけだし。

属人性が高い産業は、魔王がいないときはいいけど、キーパーソンが消失したら、残っている人は、路頭に迷う。

新しい事業は、アイディアを見本にすることが大事。

アイディアが売れたら、
アイディア管理料、
アイディア担当の取り分、
見本製作担当の取り分、
の三分割。

割合は、アイディアによって、決めよう。

アイディアの質や、需要もある。

高く設定しても、売れなければ現金が手に入らない。

オレは、大まかな指示をする。

細かい取り決めは、各部署の担当が、これから頑張ってくれる。



よし、二つ目の工房に行こう。

二つ目は、木工細工だった。

木工細工は、受注生産の工房だった。

消失した親方が、趣味から始めた工房で、残された職人は、見習いだけで、職人同士の横の繋がりがない。

他所にお願いにいくか、受注した分をキャンセルするか、だが、キャンセルしてしまうと、工房を畳むしかない。

この工房は、見習いを大量に採用していた。
職を失う見習いの数が多すぎて、他で引き取りきれない。

何人もの見習いに、オレの目の前で、実演してもらった。

図工の教科書に載せられるレベルは一人もいなかった。

下手の横好きにもならない。

「見習いは、木工細工でお客様から、お金をもらうレベルじゃないぞ。

他の職で生活しながら、毎日、5分ずつ練習を続けていっては?
まずは、自分の食い扶持を稼げるようになってみようか。」

オレも、説明を聞きながら、一つ、試してみたけど、木工細工を売り物レベルに仕上げるのは、難しかった。

見習いの製作物が、売り物レベルになるには、良い指導者の指導を受けて、何年も練習が必要だ。

そこまでしても、全ての見習いが、ものになるか?
オレには分からない。

オレに分かるのは、見習いの面倒をみる余裕は、国も含めて、今は、どこにもないということ。

見習いが、自分で、自活の道を探さなければ、見習い自身が飢えて、路頭に迷う。

完全に突き放すと暴動が起きる。

最終的には、自活させる方向へ舵をきる。

そのための、ソフトランディングを探らせよう。
しおりを挟む
感想 84

あなたにおすすめの小説

どうしてこうなった?(ショートから短編枠にしたもの)

エウラ
BL
3歳で魔物に襲われて両親を亡くし、孤児院育ちの黒髪黒目で童顔のノヴァは前世の記憶持ちの異世界転生者だ。現在27歳のCランク冒険者。 魔物に襲われたときに前世の記憶が甦ったが、本人は特にチートもなく平々凡々に過ごしていた。そんなある日、年下22歳の若きSランク冒険者のアビスと一線を越える出来事があり、そこで自分でも知らなかった今世の過去を知ることになり、事態は色々動き出す。 若干ストーカー気味なわんこ系年下冒険者に溺愛される自己評価の低い無自覚美人の話。 *以前ショート専用の枠で書いてましたが話数増えて収拾がつかなくなったので短編枠を作って移動しました。 お手数おかけしますがよろしくお願いいたします。 なお、プロローグ以降、途中まではショートの投稿分をまるっと載せるのでそちらと重複します。ご注意下さい。出来次第投稿する予定です。 こちらはR18には*印付けます。(でも忘れたらすみません)

どうも、卵から生まれた魔人です。

べす
BL
卵から生まれる瞬間、人間に召喚されてしまった魔人のレヴィウス。 太った小鳥にしか見えないせいで用無しと始末されそうになった所を、優しげな神官に救われるのだが…

【完結】ぎゅって抱っこして

かずえ
BL
幼児教育学科の短大に通う村瀬一太。訳あって普通の高校に通えなかったため、働いて貯めたお金で二年間だけでもと大学に入学してみたが、学費と生活費を稼ぎつつ学校に通うのは、考えていたよりも厳しい……。 でも、頼れる者は誰もいない。 自分で頑張らなきゃ。 本気なら何でもできるはず。 でも、ある日、金持ちの坊っちゃんと心の中で呼んでいた松島晃に苦手なピアノの課題で助けてもらってから、どうにも自分の心がコントロールできなくなって……。

実はαだった俺、逃げることにした。

るるらら
BL
 俺はアルディウス。とある貴族の生まれだが今は冒険者として悠々自適に暮らす26歳!  実は俺には秘密があって、前世の記憶があるんだ。日本という島国で暮らす一般人(サラリーマン)だったよな。事故で死んでしまったけど、今は転生して自由気ままに生きている。  一人で生きるようになって数十年。過去の人間達とはすっかり縁も切れてこのまま独身を貫いて生きていくんだろうなと思っていた矢先、事件が起きたんだ!  前世持ち特級Sランク冒険者(α)とヤンデレストーカー化した幼馴染(α→Ω)の追いかけっ子ラブ?ストーリー。 !注意! 初のオメガバース作品。 ゆるゆる設定です。運命の番はおとぎ話のようなもので主人公が暮らす時代には存在しないとされています。 バースが突然変異した設定ですので、無理だと思われたらスッとページを閉じましょう。 !ごめんなさい! 幼馴染だった王子様の嘆き3 の前に 復活した俺に不穏な影1 を更新してしまいました!申し訳ありません。新たに更新しましたので確認してみてください!

αからΩになった俺が幸せを掴むまで

なの
BL
柴田海、本名大嶋海里、21歳、今はオメガ、職業……オメガの出張風俗店勤務。 10年前、父が亡くなって新しいお義父さんと義兄貴ができた。 義兄貴は俺に優しくて、俺は大好きだった。 アルファと言われていた俺だったがある日熱を出してしまった。 義兄貴に看病されるうちにヒートのような症状が… 義兄貴と一線を超えてしまって逃げ出した。そんな海里は生きていくためにオメガの出張風俗店で働くようになった。 そんな海里が本当の幸せを掴むまで…

愛などもう求めない

白兪
BL
とある国の皇子、ヴェリテは長い長い夢を見た。夢ではヴェリテは偽物の皇子だと罪にかけられてしまう。情を交わした婚約者は真の皇子であるファクティスの側につき、兄は睨みつけてくる。そして、とうとう父親である皇帝は処刑を命じた。 「僕のことを1度でも愛してくれたことはありましたか?」 「お前のことを一度も息子だと思ったことはない。」 目が覚め、現実に戻ったヴェリテは安心するが、本当にただの夢だったのだろうか?もし予知夢だとしたら、今すぐここから逃げなくては。 本当に自分を愛してくれる人と生きたい。 ヴェリテの切実な願いが周りを変えていく。  ハッピーエンド大好きなので、絶対に主人公は幸せに終わらせたいです。 最後まで読んでいただけると嬉しいです。

学院のモブ役だったはずの青年溺愛物語

紅林
BL
『桜田門学院高等学校』 日本中の超金持ちの子息子女が通うこの学校は東京都内に位置する野球ドーム五個分の土地が学院としてなる巨大学園だ しかし生徒数は300人程の少人数の学院だ そんな学院でモブとして役割を果たすはずだった青年の物語である

前世である母国の召喚に巻き込まれた俺

るい
BL
 国の為に戦い、親友と言える者の前で死んだ前世の記憶があった俺は今世で今日も可愛い女の子を口説いていた。しかし何故か気が付けば、前世の母国にその女の子と召喚される。久しぶりの母国に驚くもどうやら俺はお呼びでない者のようで扱いに困った国の者は騎士の方へ面倒を投げた。俺は思った。そう、前世の職場に俺は舞い戻っている。

処理中です...