《本編 完結 続編開始》29歳、異世界人になっていました。日本に帰りたいのに、年下の英雄公爵に溺愛されています。

かざみはら まなか

文字の大きさ
上 下
31 / 667
第3章 結婚しました。公爵閣下と。オレ、歓迎、されてます?

31.異世界に来てみたものの。オレを守りたいのも、オレを守れるのも、一人しかいません、この世界には。

しおりを挟む
オレは、ゲストを探すために、外出の計画も立てていた。

日本に帰るまでの間になるけれど、公爵しか好きじゃない人以外の人と繋がりたいと思っていた。

オレは、金魚鉢の金魚になるつもりは、さらさらない。

お茶会をきっかけに、オレは自分の交友関係を築く予定で、先々のことを考えていた。

オレは、お茶会を成功させて、公爵に斡旋する人脈を作ろうと計画していた。

スケジュールを組んで、動くつもりだった。

オレの計画を丸々ぶっ潰したのは、教育係だ。

『公爵家のために、最初に呼ぶゲストです。
公爵の伴侶といえど、勝手なことは、させません。』

教育係は、オレの知らないうちに、オレの人生初のお茶会のゲストと日程を決めてきた。

その上。

『お茶会のホストくらいはうまくやりなさい。』
とオレに言ったにも関わらず。

ゲストと開催日時以外の、お茶会の開催に関わる全てにおいて、教育係は、オレに手を貸さなかった。

ゲストの情報を聞いたオレが、最近の社交界の流行りや、市井の流行りから、全員が満足できるものは、何か、と考えて相談した相手は、教育係じゃない。

ヤグルマさんをはじめとする、公爵家で働く使用人だ。

オレを突き放した教育係は、オレの相談に、一切乗らなかった。

オレが、どんな質問をしても。
『自分で試してみればいいんですよ。』
としか言わない。

オレの教育をする気がないなら、来なければいいのに、教育係は、オレがお茶会の準備をしている期間、毎日、公爵家に来た。

何の授業もしないのに。

授業の準備をしないから、暇になったのか?

教育係は、オレを教育しないのに、授業があったときよりも、公爵家に入浸っていた。


公爵の伴侶であるオレが、初めてホストとしてのお茶会を開く。

公爵家の使用人は、ヤグルマさんを筆頭に一致団結していた。

その横で、オレの教育係は、オレの教育をしないで、ダラダラと無為に過ごしていた。

オレは、ゲストも開催日時も、教育係が勝手に差配したお茶会を主催しなくてはいけないことに苛立っていた。

それでも、オレが投げ出さなかったのは。

お茶会は、オレが、やらなくてはいけないことだと思ったから。

だから、ムカつきをこらえて、今日まで準備をしてきた。


その結果が、この有り様。

オレは、オレを嫌っている誰かが、オレの心を踏みにじるのを良しとしない。

この異世界で、最初から最後までオレの味方でいるのは、オレ一人。

オレを守れるのは、オレしかいない。

負けてたまるか。
しおりを挟む
感想 84

あなたにおすすめの小説

どうしてこうなった?(ショートから短編枠にしたもの)

エウラ
BL
3歳で魔物に襲われて両親を亡くし、孤児院育ちの黒髪黒目で童顔のノヴァは前世の記憶持ちの異世界転生者だ。現在27歳のCランク冒険者。 魔物に襲われたときに前世の記憶が甦ったが、本人は特にチートもなく平々凡々に過ごしていた。そんなある日、年下22歳の若きSランク冒険者のアビスと一線を越える出来事があり、そこで自分でも知らなかった今世の過去を知ることになり、事態は色々動き出す。 若干ストーカー気味なわんこ系年下冒険者に溺愛される自己評価の低い無自覚美人の話。 *以前ショート専用の枠で書いてましたが話数増えて収拾がつかなくなったので短編枠を作って移動しました。 お手数おかけしますがよろしくお願いいたします。 なお、プロローグ以降、途中まではショートの投稿分をまるっと載せるのでそちらと重複します。ご注意下さい。出来次第投稿する予定です。 こちらはR18には*印付けます。(でも忘れたらすみません)

どうも、卵から生まれた魔人です。

べす
BL
卵から生まれる瞬間、人間に召喚されてしまった魔人のレヴィウス。 太った小鳥にしか見えないせいで用無しと始末されそうになった所を、優しげな神官に救われるのだが…

【完結】ぎゅって抱っこして

かずえ
BL
幼児教育学科の短大に通う村瀬一太。訳あって普通の高校に通えなかったため、働いて貯めたお金で二年間だけでもと大学に入学してみたが、学費と生活費を稼ぎつつ学校に通うのは、考えていたよりも厳しい……。 でも、頼れる者は誰もいない。 自分で頑張らなきゃ。 本気なら何でもできるはず。 でも、ある日、金持ちの坊っちゃんと心の中で呼んでいた松島晃に苦手なピアノの課題で助けてもらってから、どうにも自分の心がコントロールできなくなって……。

実はαだった俺、逃げることにした。

るるらら
BL
 俺はアルディウス。とある貴族の生まれだが今は冒険者として悠々自適に暮らす26歳!  実は俺には秘密があって、前世の記憶があるんだ。日本という島国で暮らす一般人(サラリーマン)だったよな。事故で死んでしまったけど、今は転生して自由気ままに生きている。  一人で生きるようになって数十年。過去の人間達とはすっかり縁も切れてこのまま独身を貫いて生きていくんだろうなと思っていた矢先、事件が起きたんだ!  前世持ち特級Sランク冒険者(α)とヤンデレストーカー化した幼馴染(α→Ω)の追いかけっ子ラブ?ストーリー。 !注意! 初のオメガバース作品。 ゆるゆる設定です。運命の番はおとぎ話のようなもので主人公が暮らす時代には存在しないとされています。 バースが突然変異した設定ですので、無理だと思われたらスッとページを閉じましょう。 !ごめんなさい! 幼馴染だった王子様の嘆き3 の前に 復活した俺に不穏な影1 を更新してしまいました!申し訳ありません。新たに更新しましたので確認してみてください!

君なんか求めてない。

ビーバー父さん
BL
異世界ものです。 異世界に召喚されて見知らぬ獣人の国にいた、佐野山来夏。 何かチートがありそうで無かった来夏の前に、本当の召喚者が現われた。 ユア・シノハラはまだ高校生の男の子だった。 人が救世主として召喚したユアと、精霊たちが召喚したライカの物語。

王子様から逃げられない!

白兪
BL
目を覚ますとBLゲームの主人公になっていた恭弥。この世界が受け入れられず、何とかして元の世界に戻りたいと考えるようになる。ゲームをクリアすれば元の世界に戻れるのでは…?そう思い立つが、思わぬ障壁が立ち塞がる。

αからΩになった俺が幸せを掴むまで

なの
BL
柴田海、本名大嶋海里、21歳、今はオメガ、職業……オメガの出張風俗店勤務。 10年前、父が亡くなって新しいお義父さんと義兄貴ができた。 義兄貴は俺に優しくて、俺は大好きだった。 アルファと言われていた俺だったがある日熱を出してしまった。 義兄貴に看病されるうちにヒートのような症状が… 義兄貴と一線を超えてしまって逃げ出した。そんな海里は生きていくためにオメガの出張風俗店で働くようになった。 そんな海里が本当の幸せを掴むまで…

──だから、なんでそうなんだっ!

涼暮つき
BL
「面倒くさいから認めちゃえば?」 「アホか」 俺は普通に生きていきたいんだよ。 おまえみたいなやつは大嫌いだ。 でも、本当は羨ましいと思ったんだ。 ありのままの自分で生きてるおまえを──。 身近にありそうな日常系メンズラブ。 *以前外部URLで公開していたものを 掲載し直しました。 ※表紙は雨月リンさんに描いていただきました。  作者さまからお預かりしている大切な作品です。  画像の無断転載など固く禁じます。

処理中です...