《本編 完結 続編開始》29歳、異世界人になっていました。日本に帰りたいのに、年下の英雄公爵に溺愛されています。

かざみはら まなか

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第2章 ケレメイン公爵家での一週間が始まりました。

19.公爵家七日目。六対一でも、負けません。『え?結婚?伴侶?』

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「おかしな物言いをする。」
と公爵。

「オレが、あんたとの話し合いを希望したのは、あんたから、この一週間の報酬をもらうのと、明日からのオレの住まいと仕事の契約をするためだ。
さっさと話をするぞ。」

「何を言っている。」
と公爵。

「時間が勿体ないから、交渉を始めたいんだけど。」

「私と交渉するだと。何を言っている?」
と公爵。

「公爵じゃなきゃ、あんたを呼び出せと、あんたの上司に頼まないよ。」

オレは強気だ。

六対一だから。

弱気になったら、負ける。

「あんたが交渉に応じないというなら、オレは、あんたの上司に交渉をもちかけるわ。あんたのことは、腹心で、友人だそうだ。
あんたのために、報酬の他に、手切れ金と、賠償金も追加で、気前よくオレに払ってくれるんじゃないか、けつまくって逃げてる男の代わりに。」

オレは、胸を張った。

「逃げてる?私が?」
と公爵。

「初対面のオレが、仕事じゃないなら、あんたと行かないと拒否したにも関わらず。

オレを待ち伏せして、オレを誘拐したあげく、気球に乗らないと拒否したオレに構わず、オレを気球に乗せた。

この屋敷についたら、オレに何の説明もせず、置いてけぼり。

昨日、上司が来たから、あんたに帰ってきて、話し合いをするよう伝えたけれどな。
オレが催促しなけりゃ、今日で、この屋敷にきて、一週間だ。

ふざけんな。

オレは、道端の石ころじゃない。」

オレは、きっぱり言ってやった。

「お前を道端の石ころだと考えたことはない。」
と公爵。

「そうか、じゃあ、今から、しっかり交渉に入ろうじゃないか。」

「交渉することなどない。」
と公爵。

「はあ?この期に及んで何を言っているんだ?」

「お前はこの屋敷で暮らすのだから、交渉など無駄だ。」
と公爵。

「暮らさない、と言っているだろう。聞けよ。」

「それより、名前は?なんという?」
と公爵。

「あんたに教える名前なんか、あるか!」

「名前は、必要だ。フジツボとやら。報酬やらの書類を作るだろう?」
と国王陛下。

「これっきりなんだから、仮の名前でいいだろう?
書類の見直しなんて、しないだろうが。」

「偽造文書は、賛成しない。さて、名は?」
と国王陛下。

意地張って、金がもらえないのは、困る。

「ヒサツグ。」

「それだけか?」

「ヒサツグ・ミズト。」

「全部だな?」
と国王陛下。

「ああ。ヒサツグが名前。ミズトが名字。」

「ヒサツグ・ミズト。」
と公爵。

「なんだ、いきなり。」

名前だけ呼んで、終わりか?

公爵は、サラサラと書類を書いた。

公爵の友人その三、司祭と
公爵の友人その一、宰相補佐が書類にサインを入れる。

最後に、公爵の友人その五、国王陛下がサインした。

なんなんだ。
何がしたいんだ、仲良しグループは。

国王陛下は、公爵に、おめでとう、と言っている。

「内輪ネタは、後にしてくれますか?
公爵と交渉に入りたいんですが。」

「ヒサツグもおめでとう。」
と国王陛下。

「今のところ、なんも目出度いことは、起きていません。交渉の先行きがいい、という話ですか?」

「交渉の話をする日はこないだろう。」
と国王陛下。

「しますよ。」

「なぜなら、たった今、ヒサツグは公爵と結婚して、公爵の正式な伴侶になったのだから。」
と国王陛下。

は?はあ?
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