《本編 完結 続編開始》29歳、異世界人になっていました。日本に帰りたいのに、年下の英雄公爵に溺愛されています。

第1章 異世界人になっていました。早く日本に帰りたいです。どうやったら、帰れますか。

9.執事長の背後にいる態度の悪い使用人と、ふざけた自称護衛は、何者なんですか？

明らかに有害な二名を追い出せて、オレは一安心。

「あの二人は、なんであの態度？」

「公爵のご友人です、お二方とも。」
とヤグルマさん。

「友達の家であんなにでかい顔していて、いいのか？分からん世界だ。」

「よろしくはございません。
公爵の前では、尻尾をつかませない方々なので。
最初のお二方がフジツボ様に追い払われましたので、まもなく別の方々が来られることになるかと。」
とヤグルマさん。

「公爵の友人は、他にも来るのか。しかも、ろくでなし、しかいないのか。友達を選べないのか？」

「ご友人方は、友人のためにしているおつもりのようです。」
とヤグルマさん。

「公爵のために、公爵の家で、でかい顔をする友人。あんな友人がいるなら、類友だと思われて、公爵に、人は寄り付かなくならないのか。
公爵の友人は、公爵を嫌われ者にしたいのか？
それは、友人のすることじゃないぞ？」

「公爵に近寄ってくる良くない人間を追い払っているそうです。」
とヤグルマ。

「良くない人間って、誰にとって、という話だよな。公爵にとって、じゃなく、公爵の友人にとってじゃないのか？」

「今のところ、両方あります。」
とヤグルマさん。

「完全に有害だと排除するけれど、役に立つ面もあるから、温存しているのか。」

「公爵の友人ではあるのです。」
とヤグルマさん。

「ヤグルマさんは、公爵の友人がいないと、感じが変わるな。
面倒な告げ口するやつがいなくなったからか？」

「ふふっ。ご想像にお任せします。」
とヤグルマさん。

「まあいい。で、今から、オレのこれからの生活について話をしたいんだ。」

「是非。私にご一任ください。」
とヤグルマさん。

「嫌だよ。話をすると言っているだろ、オレは。」

オレ達は、互いに譲らない。

「仕方がありません。お住まいは、こちらに用意するお部屋でお過ごしください。屋敷内で生活できます。」
とヤグルマさん。

「いやいやいや？待て待て待て？
オレは、屋敷で住むつもりもなければ、生活するつもりもないの。」

「お仕事でしたら、私のお仕事のお手伝いをどうぞ。」
とヤグルマさん。

「公爵家にどっぷりなヤグルマさんのお仕事のお手伝いなんて、引き受けたら、機密情報保持のために、家から出さない、とか言われるオチだよな？」

「うまいことを。」
とヤグルマさん。

「なんも、うまいことはないから、公爵家から、離れて生活できる仕事にしてくれ。」

「そのような無茶を。」
とヤグルマさん。

「書類の間違い探し、とか、並び替えとか、最初は、そんなのにしてくれ。まかり間違っても、税収とか、取引相手の話とか見せてくるなよ。
今日の寝床もほしいから、とりあえず、一週間は、屋敷の部屋で寝泊まりする。
服とか食事は、ヤグルマさんが手配してくれ。
護衛は、屋敷の案内な？」

「ふふ。かしこまりました。」
とヤグルマさんは、めちゃくちゃ楽しそうにしていた。

オレは、公爵家の屋敷で、一週間、寝泊まりしながら、仕事をすることにした。

一週間に一回くらい、公爵が顔を出すとにらんで。