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290.サバイバルゲームのクリア条件とは?
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手詰まりだ。
正義が勝たないデスゲームの運営であるAIは、サバイバルゲームで、俺の死を決め、北白川サナの死も決めた。
北白川サナは、自身の死が決まったことを知らなかったように見えた。
北白川サナは、自身が、俺と一緒に正義が勝たないデスゲームから脱出できることを疑っていなかった。
北白川サナは、正義が勝たないデスゲームに参加するにあたり。
正義が勝たないデスゲームを生きて脱出するための方策を持っていない。
対策をしていない。
北白川サナと俺が、無条件に正義が勝たないデスゲームを脱出できると思い込んでいた俺にも、北白川サナと同じだ。
「俺は、正義が勝たないデスゲームで死ぬ気はないが。
生きて脱出するための方法が思いつかない。」
俺が考えあぐねていると。
「金剛ショウタ。
サバイバルゲームのクリア条件は、分かる?」
とカガネ。
カガネお得意のヒントか?
「正義が勝たないデスゲームを運用するAIの目的は、北白川サナと俺の死、だが?」
「正義が勝たないデスゲームの運営であるAIは、何のために、サナと金剛ショウタを死なせたい?」
とカガネ。
「何のため、か。
俺の場合は、タケハヤプロジェクトを離脱した学生が、俺を利用しないため。」
正義が勝たないデスゲームの運営であるAIは、タケハヤプロジェクトを離脱した学生が俺を利用しようとしているのを把握し、俺を利用させないために、死なせることにした。
正義が勝たないデスゲームの運営であるAIが俺の死を決めた原因は、俺自身にない。
タケハヤプロジェクトを離脱した学生が、余計な画策をしなければ、俺は正義が勝たないデスゲームに参加していなかったのではないか?
正義が勝たないデスゲームが、別の目的で、俺の口封じを計画していなければ、だが。
「サナは?」
とカガネ。
「支援団体と繫がりのある北白川サナを正義が勝たないデスゲームから断ち切るためではないか?」
北白川サナの今までの交友関係と行動が、北白川サナの死を決定づけた。
「支援団体と繫がりのある関係者は、サナだけ?」
とカガネ。
俺は、気づいていなかったことに気づいた。
「カガネも、キノもか。」
「私とキノとサナだけ?」
とカガネは、重ねて聞いてくる。
「ツカサもだ。」
「メグも。ラキも。支援団体との関わりはある。」
とカガネ。
ラキちゃんは、知っているが。
「メグたんもか?
メグたんが、タケハヤプロジェクトに参加した理由は、ツカサと一緒だったか。
今、生存を確認できる、俺以外の全員が、支援団体と因縁がある、ということか。」
今、この瞬間。
俺は。
意図的に、生かされているように思えてきた。
それとも。
支援団体と関わりを持っても、死んでいない強さがあるから、サバイバルゲームを生き延びられたのか?
「金剛ショウタ。
もう一度聞くわ。
サバイバルゲームのクリア条件は、分かった?」
とカガネ。
「クリア条件は、なし、か。」
八方塞がりか。
「いいえ。あるわ。」
とカガネは、力強く言う。
「ある、か?」
半信半疑だが、カガネに聞き返した。
「金剛ショウタ。サナは、なぜ死が確定している?」
とカガネ。
「タケハヤプロジェクトを離脱した学生でありながら、支援団体に協力していたから。」
俺は、ゆっくりと口に出した俺自身の言葉を反芻する。
「支援団体に関わりがあったから、ではなく。
支援団体に協力したから、か。
支援団体に協力したから、正義が勝たないデスゲームでの死を決定されている、とすると。」
俺は、次の言葉を発するのをためらった。
カガネに告げていいものかどうか、と。
俺がカガネに告げようとした台詞は、話し中の相手へ告げて良い言葉とはされていない。
しかし、カガネが想定しているなら、端的に伝えた方が良い。
「サバイバルゲームのクリア条件は、北白川サナ、カガネ、キノの三人の死、か。」
カガネは、涼しげに笑う。
「私が、金剛ショウタに賭けると決めた理由が、分かった?」
とカガネ。
「正義が勝たないデスゲームの参加者のうち、サバイバルゲームをクリアするための条件を完全に外していないのは、俺だけ、だからか。」
正義が勝たないデスゲームの参加者のうち。
俺だけは。
過去の何かを問題とされて、正義が勝たないデスゲームに参加しているわけではない。
「メグとツカサは、タケハヤプロジェクトの参加者として、正義が勝たないデスゲームに参加している。
メグとツカサが、正義が勝たないデスゲームのゲーム内で死ぬ場合。
タケハヤプロジェクトの契約に則った死でなければならない。」
とカガネ。
「正義が勝たないデスゲームの参加者のうち。
俺だけは、正義が勝たないデスゲームの運営であるAIが、死の決定を覆す可能性がある、ということか。」
「金剛ショウタ以外は、正義が勝たないデスゲームに参加する前に、支援団体に協力してタケハヤプロジェクトの成功の邪魔をしたり、正義が勝たないデスゲームを妨害したりしている。
金剛ショウタには、それがないわ。」
とカガネ。
突破口があった。
正義が勝たないデスゲームの運営であるAIは、サバイバルゲームで、俺の死を決め、北白川サナの死も決めた。
北白川サナは、自身の死が決まったことを知らなかったように見えた。
北白川サナは、自身が、俺と一緒に正義が勝たないデスゲームから脱出できることを疑っていなかった。
北白川サナは、正義が勝たないデスゲームに参加するにあたり。
正義が勝たないデスゲームを生きて脱出するための方策を持っていない。
対策をしていない。
北白川サナと俺が、無条件に正義が勝たないデスゲームを脱出できると思い込んでいた俺にも、北白川サナと同じだ。
「俺は、正義が勝たないデスゲームで死ぬ気はないが。
生きて脱出するための方法が思いつかない。」
俺が考えあぐねていると。
「金剛ショウタ。
サバイバルゲームのクリア条件は、分かる?」
とカガネ。
カガネお得意のヒントか?
「正義が勝たないデスゲームを運用するAIの目的は、北白川サナと俺の死、だが?」
「正義が勝たないデスゲームの運営であるAIは、何のために、サナと金剛ショウタを死なせたい?」
とカガネ。
「何のため、か。
俺の場合は、タケハヤプロジェクトを離脱した学生が、俺を利用しないため。」
正義が勝たないデスゲームの運営であるAIは、タケハヤプロジェクトを離脱した学生が俺を利用しようとしているのを把握し、俺を利用させないために、死なせることにした。
正義が勝たないデスゲームの運営であるAIが俺の死を決めた原因は、俺自身にない。
タケハヤプロジェクトを離脱した学生が、余計な画策をしなければ、俺は正義が勝たないデスゲームに参加していなかったのではないか?
正義が勝たないデスゲームが、別の目的で、俺の口封じを計画していなければ、だが。
「サナは?」
とカガネ。
「支援団体と繫がりのある北白川サナを正義が勝たないデスゲームから断ち切るためではないか?」
北白川サナの今までの交友関係と行動が、北白川サナの死を決定づけた。
「支援団体と繫がりのある関係者は、サナだけ?」
とカガネ。
俺は、気づいていなかったことに気づいた。
「カガネも、キノもか。」
「私とキノとサナだけ?」
とカガネは、重ねて聞いてくる。
「ツカサもだ。」
「メグも。ラキも。支援団体との関わりはある。」
とカガネ。
ラキちゃんは、知っているが。
「メグたんもか?
メグたんが、タケハヤプロジェクトに参加した理由は、ツカサと一緒だったか。
今、生存を確認できる、俺以外の全員が、支援団体と因縁がある、ということか。」
今、この瞬間。
俺は。
意図的に、生かされているように思えてきた。
それとも。
支援団体と関わりを持っても、死んでいない強さがあるから、サバイバルゲームを生き延びられたのか?
「金剛ショウタ。
もう一度聞くわ。
サバイバルゲームのクリア条件は、分かった?」
とカガネ。
「クリア条件は、なし、か。」
八方塞がりか。
「いいえ。あるわ。」
とカガネは、力強く言う。
「ある、か?」
半信半疑だが、カガネに聞き返した。
「金剛ショウタ。サナは、なぜ死が確定している?」
とカガネ。
「タケハヤプロジェクトを離脱した学生でありながら、支援団体に協力していたから。」
俺は、ゆっくりと口に出した俺自身の言葉を反芻する。
「支援団体に関わりがあったから、ではなく。
支援団体に協力したから、か。
支援団体に協力したから、正義が勝たないデスゲームでの死を決定されている、とすると。」
俺は、次の言葉を発するのをためらった。
カガネに告げていいものかどうか、と。
俺がカガネに告げようとした台詞は、話し中の相手へ告げて良い言葉とはされていない。
しかし、カガネが想定しているなら、端的に伝えた方が良い。
「サバイバルゲームのクリア条件は、北白川サナ、カガネ、キノの三人の死、か。」
カガネは、涼しげに笑う。
「私が、金剛ショウタに賭けると決めた理由が、分かった?」
とカガネ。
「正義が勝たないデスゲームの参加者のうち、サバイバルゲームをクリアするための条件を完全に外していないのは、俺だけ、だからか。」
正義が勝たないデスゲームの参加者のうち。
俺だけは。
過去の何かを問題とされて、正義が勝たないデスゲームに参加しているわけではない。
「メグとツカサは、タケハヤプロジェクトの参加者として、正義が勝たないデスゲームに参加している。
メグとツカサが、正義が勝たないデスゲームのゲーム内で死ぬ場合。
タケハヤプロジェクトの契約に則った死でなければならない。」
とカガネ。
「正義が勝たないデスゲームの参加者のうち。
俺だけは、正義が勝たないデスゲームの運営であるAIが、死の決定を覆す可能性がある、ということか。」
「金剛ショウタ以外は、正義が勝たないデスゲームに参加する前に、支援団体に協力してタケハヤプロジェクトの成功の邪魔をしたり、正義が勝たないデスゲームを妨害したりしている。
金剛ショウタには、それがないわ。」
とカガネ。
突破口があった。
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