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270.正義が勝たないデスゲームのAIがどういうものかを解き明かすと、カガネが長生きできないと確信した理由が判明する?カガネの三つのヒント。

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「カガネが、俺に賭けることにしたのは、カガネ自身が長生きできないという確信を得たからか?」

カガネは、何から確信を得たのか。

「正解。

正義が勝たないデスゲームの運営は、AIによる完全な自動制御。

正義が勝たないデスゲームの中で。

誰をいつ殺すか。

いつ誰を参加させるか。

誰が決めているかという問いに答えられる?」
とドッジボールの女リーダー、カガネ。

「正義が勝たないデスゲーム運営である、AIが決めているのか?」

「正解。

正義が勝たないデスゲーム運営であるAIは、完全な自動制御。

殺し方、生かし方、投げ銭の集め方、どんなデスゲームをするか、参加者の選定、参加者の集め方、参加者の生活に必要なものの選別。

ありとあらゆる項目を、自動的に学習して、正義が勝たないデスゲームを運営する仕様になっている。

集めた情報を蓄積していくけれど、情報の扱い方については、まだ学習の余地があった。

私が、正義が勝たないデスゲームを外で見ていたときはね。」
とドッジボールの女リーダー、カガネ。

「カガネが、正義が勝たないデスゲームに詳しいのは、内情と実際の運用の両方を知っているからか。」

「正解。」
とドッジボールの女リーダー、カガネ。

「今まで、正義が勝たないデスゲームを生き延びてきたカガネが、今ある優位性を無くしてまで、正義が勝たないデスゲームを脱出する俺に、託そうと決めるだけの何かが起きたのか?

正義が勝たないデスゲーム内で。」

ドッジボールの女リーダー、カガネは、俺の問いかけに正解とは言わなかった。

「正義が勝たないデスゲーム運営のAIは、学習し続ける。

学習し続けるAIは、AIを取り巻く環境についての情報も学習している。」
とドッジボールの女リーダー。

「AIを取り巻く環境というのは、AI利用者が増える一方で、AIを警戒する人もいるという現状のことか?

現状に無関心な人もいるが。」

「金剛ショウタ。

新しい技術が開発された後、情報が拡散し、利用者が増えて、知名度があがるタイミングがあるとしたら。

いつそのタイミングが来る?」
とドッジボールの女リーダー、カガネ。

「技術を発表したとき、もしくは、広報に金をかけたとき、か?」

「トップダウン型の技術は、そうなるわ。

ボトムアップ型の技術は、以下の三点で変わる。

法整備がされる前。

もしくは、原理が解明される前。

謎が明らかになる前。」
とドッジボールの女リーダー、カガネ。

具体的に聞こえて、具体的が示されていない回答がきた。

トップダウン型は、国が音頭をとっている場合。

ボトムアップ型は、市井の技術者による自主的な技術革新か。

「法整備がされる前というと。

利用者が増えて、予期せぬトラブルをさばききれなくなってから、法律を検討して定める前のことか。」

法律がなければ、規制することはできない。

規制が必要なほど盛んになったから、法律を作る。

「例えば、消費者金融。

法律での規制が入る前と後。

規制前は、明るい企業イメージを押し出し、CMが量産されていた時代があった。

規制後は、CMに影響される人のために説明を足した。

CMは、CMに虚像である、という説明がつくと、CMのインパクトは落ちるけれど。

規制前に、知名度と企業イメージを上げることには成功している。」
とドッジボールの女リーダー。

知名度と企業イメージを上げたが、規制により、知名度は、そのまま、上げた分の企業イメージを下げて、企業イメージは規制前に戻った、と伝えたいのか?

「原理が解明される前後というのは、何か?」

「クローン技術で生み出された羊のドリーのニュースは、一世を風靡したわ。」
とドッジボールの女リーダー、カガネ。

「クローン技術の開発は、騒ぎになったのか?」

「クローン技術について法が整備がされ、倫理感が統一される前。

クローン人間というワードは、想像力の賜物として、エンターテイメントに科学的な刺激を加えていた。

現実になるかもしれないが、ならないかもしれない、という曖昧なラインが、想像力を豊かにしたわ。」
とドッジボールの女リーダー、カガネ。

「クローン技術が、現実のものとなり、エンターテイメントを楽しむのに、技術的な検証を必要とするようになったことで、エンターテイメント上のクローン技術というワードは廃れたのか?」

「エンターテイメントとして取り上げるには、技術的な検証が必要になっただけではなく、倫理感についての意見が飛び交ったから。

エンターテイメントを作ろうとしても、想像力にブレーキをかけることが必要になった。

想像力にブレーキをかけた上で作られるエンターテイメントは、面白くなりにくい上に、扱いにくいと思わない?」
とドッジボールの女リーダー、カガネ。

「面倒に感じたら、扱う理由がなければ、扱わなくなる、か。」

「新しい技術は、規制が始まる前が一番盛り上がり、その後は、必要な人にだけ認知されるようになる。」

ボトムアップ型での発展は、規制が入ると熱狂が落ち着く傾向にある、か。

「三つ目の、謎が明らかになった件だが、直近で謎が解明したことなどあったか?」

「謎というよりも、未知への狂騒。

2000年を迎える前は、世紀末だと盛り上がったけれど、今は?

なんでもなく世紀末を過ぎて、ミレニアムを引きずっているという現象は、起きている?」
とドッジボールの女リーダー、カガネ。

「世紀末とミレニアムの狂騒。

過去の祭りを今さら振り返るか?」

世紀末を超えたときに、熱が冷めたのは、迎えてしまった新世紀が代わり映えしないもので、世紀末に関する不思議さがなくなったからではないか。

「今一度、考えてみて。

正義が勝たないデスゲームのAIは、どういう存在として定義づけられたAIなのか。

どうあろうとするAIなのか。

全自動で学習するとは、どういうことを引き起こすか?」
とドッジボールの女リーダー、カガネ。
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