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257.キノの行動理由は、ブレない。ツカサがツカサのファンを殺したという話の実際のところは?
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機嫌よく話していたキノは、俺が疑問を呈すると不機嫌になった。
「金剛ショウタは、まだ、キノを理解していない。」
とドッジボールの女リーダー。
理解か。
キノの動機を考えても。
キノの思考が、俺の思考と重ならない以上、俺の思考だけでは、結論を出せないか。
それにしても。
「ツカサが支援団体に狙われている、という情報をツカサがつかんでいれば、ツカサの事務所も、ツカサを守るために動きようがあったのではないか?」
ツカサに何も伝えなかったキノの行動は、理解に苦しむ。
「キノがツカサに伝えて、ツカサの事務所が動くことで。
キノに何の利点があるか、考えた?」
とドッジボールの女リーダー。
キノの利点?
言うまでもなく。
「好きな男を助けられるが?」
「誰が、ツカサを助ける?」
とドッジボールの女リーダー。
「誰が、か。」
キノから情報を得た後、ツカサはどうするかを考えてみる。
「困った状態に陥っているツカサを助けるのは、誰になるかを考えてみたらいいわ?」
とドッジボールの女リーダー。
「ツカサの事務所と、事務所の伝手で探した誰か、になるのではないか?
助けられるかどうか、は別にして。
ツカサの事務所は、ツカサを助けようと動くのではないか?」
「助けられるかどうか、というと。
既に目をつけられた時点で、可能性は低い。
ツカサを助けられるかどうかで考えると、キノの行動を説明できないわ。」
とドッジボールの女リーダー。
「ツカサを助けたいというのは、キノの動機にはならないのか?」
俺は、ドッジボールの女リーダーの伝えたいことが分からずに、困惑した。
「ツカサを助けたいことがキノの行動理由にならないなら、キノの行動理由そのものがなくなるのではないか?」
ドッジボールの女リーダーは、俺が困惑している様を涼しい顔で見ている。
「ツカサに危機を知らせることのどこに、キノにとって利点があると言える?」
とドッジボールの女リーダー。
キノが、ツカサに危機を知らせたことによって、キノにもたらされる利点の有無を考えるのか。
「ツカサが助かる見込みがないなら、キノは、裏切り者として消されるか。」
キノに利点はない。
「消されもするけれど、論点は、そこではないわ。」
とドッジボールの女リーダー。
違うのか?
俺は、時系列で考えてみた。
「キノから情報を聞いたツカサが、ツカサの事務所に相談して対応した場合。
キノが介入できる余地がない。
キノ自身が、ツカサを直接助けなければ。
キノは、ツカサを手に入れられない、か。」
キノの動機は、判明した。
好きな男を自分だけのものにしたい、がキノの動機だ。
次の疑問を片付けるか。
「ツカサがツカサのファンを殺したという話の、実際のところはどうか?」
「ツカサに近づいてきたツカサのファンは、キノの登場に逆上したりはしなかった。
ツカサに聞いているんだから、とキノを追い払おうとした。」
とドッジボールの女リーダー。
「キノが、一人でツカサに会いにきたわけではなかったことは覚えている?」
とドッジボールの女リーダー。
「拡散する目撃者になるように何人も連れ歩いていた、という話か?」
「ツカサのファンとキノが揉め始めたとき。
キノが連れ歩いていた目撃者候補達は、ツカサのファンとキノとツカサの三人の周りに集まってきたかと思うと、一瞬でツカサとツカサのファンを取り囲んだ。
全員が、ツカサ、ツカサと連呼しながら。」
とドッジボールの女リーダー。
俺は、ドッジボールの女リーダーが話す情景を想像してみた。
「集団の関係性を見せつけてしまった後に、目撃者だと主張しても、目撃者としての信憑性は薄れないか?」
「目撃者だと主張する場所によるわ。
あらかじめ用意された目撃者は、どこで主張することになると思う?」
とドッジボールの女リーダー。
「事件現場ではないのか?
SNSにあげるための目撃者ではないのか?」
「SNSにあげるのは、誰が頼まなくてもキノが勝手にする。」
とドッジボールの女リーダー。
それも、そうか。
「頼まなくても、とは何よ!」
とキノ。
情報の拡散が目的ではないのなら。
支援団体は、何のために目撃者を用意していた?
ツカサを嵌め、ツカサの事務所の力を削ぐためというのなら。
いつ、どこで、どのように、支援団体は、目撃者を使おうとしていたのか?
「金剛ショウタは、まだ、キノを理解していない。」
とドッジボールの女リーダー。
理解か。
キノの動機を考えても。
キノの思考が、俺の思考と重ならない以上、俺の思考だけでは、結論を出せないか。
それにしても。
「ツカサが支援団体に狙われている、という情報をツカサがつかんでいれば、ツカサの事務所も、ツカサを守るために動きようがあったのではないか?」
ツカサに何も伝えなかったキノの行動は、理解に苦しむ。
「キノがツカサに伝えて、ツカサの事務所が動くことで。
キノに何の利点があるか、考えた?」
とドッジボールの女リーダー。
キノの利点?
言うまでもなく。
「好きな男を助けられるが?」
「誰が、ツカサを助ける?」
とドッジボールの女リーダー。
「誰が、か。」
キノから情報を得た後、ツカサはどうするかを考えてみる。
「困った状態に陥っているツカサを助けるのは、誰になるかを考えてみたらいいわ?」
とドッジボールの女リーダー。
「ツカサの事務所と、事務所の伝手で探した誰か、になるのではないか?
助けられるかどうか、は別にして。
ツカサの事務所は、ツカサを助けようと動くのではないか?」
「助けられるかどうか、というと。
既に目をつけられた時点で、可能性は低い。
ツカサを助けられるかどうかで考えると、キノの行動を説明できないわ。」
とドッジボールの女リーダー。
「ツカサを助けたいというのは、キノの動機にはならないのか?」
俺は、ドッジボールの女リーダーの伝えたいことが分からずに、困惑した。
「ツカサを助けたいことがキノの行動理由にならないなら、キノの行動理由そのものがなくなるのではないか?」
ドッジボールの女リーダーは、俺が困惑している様を涼しい顔で見ている。
「ツカサに危機を知らせることのどこに、キノにとって利点があると言える?」
とドッジボールの女リーダー。
キノが、ツカサに危機を知らせたことによって、キノにもたらされる利点の有無を考えるのか。
「ツカサが助かる見込みがないなら、キノは、裏切り者として消されるか。」
キノに利点はない。
「消されもするけれど、論点は、そこではないわ。」
とドッジボールの女リーダー。
違うのか?
俺は、時系列で考えてみた。
「キノから情報を聞いたツカサが、ツカサの事務所に相談して対応した場合。
キノが介入できる余地がない。
キノ自身が、ツカサを直接助けなければ。
キノは、ツカサを手に入れられない、か。」
キノの動機は、判明した。
好きな男を自分だけのものにしたい、がキノの動機だ。
次の疑問を片付けるか。
「ツカサがツカサのファンを殺したという話の、実際のところはどうか?」
「ツカサに近づいてきたツカサのファンは、キノの登場に逆上したりはしなかった。
ツカサに聞いているんだから、とキノを追い払おうとした。」
とドッジボールの女リーダー。
「キノが、一人でツカサに会いにきたわけではなかったことは覚えている?」
とドッジボールの女リーダー。
「拡散する目撃者になるように何人も連れ歩いていた、という話か?」
「ツカサのファンとキノが揉め始めたとき。
キノが連れ歩いていた目撃者候補達は、ツカサのファンとキノとツカサの三人の周りに集まってきたかと思うと、一瞬でツカサとツカサのファンを取り囲んだ。
全員が、ツカサ、ツカサと連呼しながら。」
とドッジボールの女リーダー。
俺は、ドッジボールの女リーダーが話す情景を想像してみた。
「集団の関係性を見せつけてしまった後に、目撃者だと主張しても、目撃者としての信憑性は薄れないか?」
「目撃者だと主張する場所によるわ。
あらかじめ用意された目撃者は、どこで主張することになると思う?」
とドッジボールの女リーダー。
「事件現場ではないのか?
SNSにあげるための目撃者ではないのか?」
「SNSにあげるのは、誰が頼まなくてもキノが勝手にする。」
とドッジボールの女リーダー。
それも、そうか。
「頼まなくても、とは何よ!」
とキノ。
情報の拡散が目的ではないのなら。
支援団体は、何のために目撃者を用意していた?
ツカサを嵌め、ツカサの事務所の力を削ぐためというのなら。
いつ、どこで、どのように、支援団体は、目撃者を使おうとしていたのか?
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