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104.デスゲーム初戦クリア後に案内された部屋。新人歓迎会は、誰を歓迎していた?

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スマホの案内に従って着いた部屋は、ワンルームマンションのつくりになっていた。

風呂、トイレ、洗面所、ベッド。
食事ができる簡易テーブルと椅子が一脚。

台所はない。

飲水用の蛇口がテーブルの近くについていた。

テーブルの上には、割れにくい素材のコップが一つ。

洗面所には、歯磨きセットとペーパータオル。

ベッド脇の壁には、ティッシュとゴミ箱がセットされている。

部屋のテーブルとセットの椅子は、風呂椅子ではなかった。

風呂場を見てみると。

シャワーがついていて、浴槽もある。

シャンプーやボディーソープは、浴室の壁にセットされている。

風呂場に、風呂椅子と洗面器はなかった。

今日は、飽きるほど見たので、風呂椅子はもう見たくない。

俺は、水をがぶ飲みして、椅子に腰をおろす。

初戦、俺は、生き延びた。

生き延びたから、寝泊まりする部屋の案内がきた。

もしかしたら、と考える。

白組の人達は、デスゲーム運営から、スマホを貸与されていなかったのでは?

新人歓迎会は、俺の歓迎会だったという可能性はないか?

スマホが震える。

メッセージがきていた。

「食事の用意ができています。

受け渡し口から食事を受け取り、食べ終わったら受け渡し口に食器を戻します。

食事の時間は、今から一時間とします。

一時間後、食器はお盆ごと受け渡し口に戻します。

食事後は、入浴時間、その後、就寝時間となります。

健康な心身を維持して、明日に備えます。」

受け渡し口というのを探すと、テーブルの近くにあるスライド式の窓が、それだった。

窓だと思っていたら、窓に見せかけた引き戸。

引き戸をあけると、サバの塩焼き定食だった。

けんちん汁、漬物、ご飯、サバの塩焼き、サラダ、りんごが三切れ。

俺が大人になってから、ここまで健康的な食事をしたことを思い出せないくらいに、健康的な食事。

けんちん汁もサバの塩焼きもご飯も温かい。

刑務所にいるとご飯に困らない、という誰かの発言が脳裏をよぎる。

誰が話していたのだったか?

俺は、その声を近くで聞いていた気がする。

どこで、誰が話していたのだろうか?

思い出せないが、重要なことだったら、そのうち思い出すだろう。

俺は、頭を切り替えた。

デスゲーム運営から貸与されたスマホは、デスゲーム参加者用のアプリ以外に何か入っていないのか?

俺は、スマホをいじってみたが、デスゲーム参加者用アプリ以外は、入っていなかった。

ネットもできない。

俺は、何年ぶりくらいに、スマホを見ないで食事を終えた。

スマホを見ないと、時間が余る。

食事を終えた俺は、お盆と食器を受け渡し口に戻そうと、引き戸を開けた。

受け渡し口には、下着とパジャマが置いてある。

至れり尽くせりだ。

スマホが振動する。

「用意されている下着とパジャマは、入浴を済ませたら、着替えます。

下着とパジャマを出して、お盆と食器を受け渡し口に置きます。」

スマホのメッセージに従って、パジャマと下着を取り出し、食器とお盆を置いて、引き戸を閉める。

スマホが、また震えた。

「部屋の出入り口にロックがかかりました。

入浴して汚れを落としたら、睡眠を確保します。」

メッセージには、タオルについての記載がない。

ペーパータオルで拭くのか、と思ったが、違った。

浴室内で、洗い終わると、浴室内に温風が流れ込んできた。

全自動洗濯機の乾燥コースまでセットされた洗濯物になった気分だ。

俺は、今日着ていたシャツや靴下やらを浴室に持ち込んで洗い、浴槽の縁に置いてみた。

俺が濡れている間は、温風が吹くが、俺が乾くと温風は止まる。

人間専用の洗濯機か。

俺は、濡れた靴下を絞って、テーブルの上に並べ、濡れたシャツは、絞って、椅子の背にかけた。

一日待てば、乾くだろう。

今日は、濃い一日だった。

俺は、歯磨きをして、ベッドに横になる。

今日のデスゲームは、俺に甘い仕様だったのかもしれない。

新人歓迎会用のデスゲーム。

俺は、野村レオに一撃を入れたが、野村レオを直接死に至らしめたのは、北白川サナだ。

俺は、まだ、俺の力だけで人を殺していない。

今日の新人歓迎会。

北白川サナは、最初からずっと、俺を助けてくれていた。

なぜ、北白川サナは、俺を助けてくれたのか?

デスゲーム運営の意思なのか?

はたまた。
北白川サナの独断か?

考えても、答えは出ない。

ただ、おーちゃんとタツキの姿を見た後だけに。

北白川サナの独断ではなく、デスゲーム運営の意思であることを願いたい。

明日から、俺は、本格的なデスゲームに参加していくことになるのだろうか。

俺は疲れた体を休ませながら考えていた。

明日以降は、ラキちゃんに会えるだろうか?

野村レオは、ラキちゃんを知っていた。

ラキちゃんも、野村レオを知っているだろう。

俺が、野村レオに致命傷を負わせたと知ったら、ラキちゃんは、俺を厭うだろうか。

ラキちゃんには、嫌われたくない。

デスゲームの中で、そんな感情を持つことは、俺のためにならないだろうが、嫌われたくないと思ってしまう。

あわよくば、好かれたい、と。

モエカにも、会うだろう。

モエカと会ったら、どんな顔で、どんな風に話をするか?

つらつらと考えているうちに俺は、眠っていた。
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