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38.男リーダー、タツキがナイフの刃を、紅一点、オーちゃんに向ける。オーちゃんは、タツキだけは生き延びさせてやるまい、と決めた。『恩知らず』
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紅一点、オーちゃんは、痛みに顔中を歪め、体の拘束をとこうと、自由になった方の手で、オーちゃんの体を掴む手を外そうとしている。
オーちゃんの自由になった方の手を押さえる人は、いない。
美人枠、メグたんの号令がないと動かないのか。
目の前で起きている、これから始める惨状に恐れをなして、動けずにいるのか。
男リーダー、タツキがナイフを持って、オーちゃんの真面目に立つのをオーちゃんは見た。
ナイフの刃先は、オーちゃんに向いている。
喉奥にナイフを突き刺されたままのオーちゃんは、タツキが自分を刺そうとしていることを認識した。
痛みに苦しんでいたオーちゃんの表情は、目が血走るほどの怒りに染まった。
喉奥までナイフが突き刺さって、声を出すことができないオーちゃんは、それでも、裏切り者に対する怒りを爆発させた。
声を出そうとするだけで痛みが増すだろう声帯を動かす。
聞き取れた声は。
「あんただけは、しないと思っていた。あんただけは、他の人と違ったのに。あんたには、のうのうと生き延びさせてやるもんか。」
喉奥の肉を粘膜ごと引き裂かれて、えぐられた痛みを上回る怒りと怨嗟が、紅一点、オーちゃんを突き動かした。
「あんたにやられるくらいなら、あんたを先に殺してやる。
今まで、殺したくない、殺したくない、とさんざん喚き散らした挙げ句に、最初に殺す相手が、私?
あんたが、あんた達が、誰も殺さないで済むようにしてやった恩を仇で返すようになるなら、あんたには最初から地獄を見せてやったのに!」
オーちゃんは、足を押さえていた二人の手を振り払い、自由になる片手を、前に突き出して、男リーダー、タツキの喉仏を中心に力を込める。
喉仏周辺をオーちゃんに握られた男リーダー、タツキは、悲鳴をあげて、ナイフを持っている手と持っていない手の両方を振り回す。
直接肉体へと与えられる、予期しない痛み。
まさか自分が攻撃される側にはならないという驕り。
男リーダー、タツキは、予期せぬ衝撃にパニックなっている。
オーちゃんの腕を外せば、喉仏が自由になるということを、タツキが思いつくには、時間がかかるだろう。
男リーダー、タツキは、両腕を振り回しながら、後ずさろうとした。
オーちゃんの腕が届かない距離まで後退すれば、オーちゃんの手が離れる、ということまでは考えていないだろう。
男リーダー、タツキは、痛みだけでなく、向き合いたくないオーちゃんから、逃げ出そうとしている。
人を殺したことがなく、人を殺したいと考えたこともない人。
何の大義名分もないまま、人を殺さなくてはいけないデスゲームに参加することになった人は、殺したくない者同士で集まっていた。
集団でいれば、個々には狙われにくい。
集団に、デスゲームの知識がある知恵袋的存在の紅一点、オーちゃんがいれば、鬼に金棒。
デスゲームに参加しつつも、人の生き死にを避けてこれたのは、男リーダー、タツキと一緒に、オーちゃんという知恵袋的参謀が行動を共にしてきたから。
「リーダーは、逃げたら、後がないわよ。」
と美人枠、メグたんからの冷静な指摘が、男リーダー、タツキを踏みとどまらせた。
俺は、今さらながら、気づいた。
体育館の中で、今、行動しているのは、紅一点、オーちゃんと、オーちゃんに襲われている男リーダー、タツキの二人。
オーちゃんを押えている二人は、タツキの危機にも、言葉を発しない。
修羅場過ぎて、声が出せないのかもしれないけれど。
オーちゃんに存在を認識されたら、タツキみたいに、攻撃されてしまう、と考えて、空気になろうとしている?
美人枠、メグたんは見ているだけ。
他の参加者も、特に動こうとはしていない。
ラキちゃんも。
最初にオーちゃんに一刺ししようとした彼女、モエカ、も。
男リーダー、タツキと、男リーダーチームのメンバーに手を貸そうとする参加者は一人もいない。
誰もタツキに手を貸さない。
昏倒した、タツキのチームメンバーも放置されたまま。
今のところ、一人一刺ししたのは、美人枠、メグたん、ただ一人。
このままでいいのか?
オーちゃんの自由になった方の手を押さえる人は、いない。
美人枠、メグたんの号令がないと動かないのか。
目の前で起きている、これから始める惨状に恐れをなして、動けずにいるのか。
男リーダー、タツキがナイフを持って、オーちゃんの真面目に立つのをオーちゃんは見た。
ナイフの刃先は、オーちゃんに向いている。
喉奥にナイフを突き刺されたままのオーちゃんは、タツキが自分を刺そうとしていることを認識した。
痛みに苦しんでいたオーちゃんの表情は、目が血走るほどの怒りに染まった。
喉奥までナイフが突き刺さって、声を出すことができないオーちゃんは、それでも、裏切り者に対する怒りを爆発させた。
声を出そうとするだけで痛みが増すだろう声帯を動かす。
聞き取れた声は。
「あんただけは、しないと思っていた。あんただけは、他の人と違ったのに。あんたには、のうのうと生き延びさせてやるもんか。」
喉奥の肉を粘膜ごと引き裂かれて、えぐられた痛みを上回る怒りと怨嗟が、紅一点、オーちゃんを突き動かした。
「あんたにやられるくらいなら、あんたを先に殺してやる。
今まで、殺したくない、殺したくない、とさんざん喚き散らした挙げ句に、最初に殺す相手が、私?
あんたが、あんた達が、誰も殺さないで済むようにしてやった恩を仇で返すようになるなら、あんたには最初から地獄を見せてやったのに!」
オーちゃんは、足を押さえていた二人の手を振り払い、自由になる片手を、前に突き出して、男リーダー、タツキの喉仏を中心に力を込める。
喉仏周辺をオーちゃんに握られた男リーダー、タツキは、悲鳴をあげて、ナイフを持っている手と持っていない手の両方を振り回す。
直接肉体へと与えられる、予期しない痛み。
まさか自分が攻撃される側にはならないという驕り。
男リーダー、タツキは、予期せぬ衝撃にパニックなっている。
オーちゃんの腕を外せば、喉仏が自由になるということを、タツキが思いつくには、時間がかかるだろう。
男リーダー、タツキは、両腕を振り回しながら、後ずさろうとした。
オーちゃんの腕が届かない距離まで後退すれば、オーちゃんの手が離れる、ということまでは考えていないだろう。
男リーダー、タツキは、痛みだけでなく、向き合いたくないオーちゃんから、逃げ出そうとしている。
人を殺したことがなく、人を殺したいと考えたこともない人。
何の大義名分もないまま、人を殺さなくてはいけないデスゲームに参加することになった人は、殺したくない者同士で集まっていた。
集団でいれば、個々には狙われにくい。
集団に、デスゲームの知識がある知恵袋的存在の紅一点、オーちゃんがいれば、鬼に金棒。
デスゲームに参加しつつも、人の生き死にを避けてこれたのは、男リーダー、タツキと一緒に、オーちゃんという知恵袋的参謀が行動を共にしてきたから。
「リーダーは、逃げたら、後がないわよ。」
と美人枠、メグたんからの冷静な指摘が、男リーダー、タツキを踏みとどまらせた。
俺は、今さらながら、気づいた。
体育館の中で、今、行動しているのは、紅一点、オーちゃんと、オーちゃんに襲われている男リーダー、タツキの二人。
オーちゃんを押えている二人は、タツキの危機にも、言葉を発しない。
修羅場過ぎて、声が出せないのかもしれないけれど。
オーちゃんに存在を認識されたら、タツキみたいに、攻撃されてしまう、と考えて、空気になろうとしている?
美人枠、メグたんは見ているだけ。
他の参加者も、特に動こうとはしていない。
ラキちゃんも。
最初にオーちゃんに一刺ししようとした彼女、モエカ、も。
男リーダー、タツキと、男リーダーチームのメンバーに手を貸そうとする参加者は一人もいない。
誰もタツキに手を貸さない。
昏倒した、タツキのチームメンバーも放置されたまま。
今のところ、一人一刺ししたのは、美人枠、メグたん、ただ一人。
このままでいいのか?
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