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第9章 2年目のニンデリー王立学園での生活は、波乱含みの授業参観から。

765.キャスリーヌとスラッルス・トークンの自称父とスラッルス・トークン。その1。私の息子の体の中にいる君は誰だ?

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「スラッルスの自称父は、ああいう人型を知っている?」
とキャスリーヌ。

「私は、スラッルスの自称父ではなく、生物学上の父だ。」
とスラッルス・トークンの自称父は、キャスリーヌに訂正を求めた。

「今、この場で確かめようがないことを主張しても、自称父の枕詞は変更しない。」
とキャスリーヌは拒否。

「スラッルスは、私が父親だと分かるだろう?」
とスラッルス・トークンの自称父は、隣にいるスラッルス・トークンに話しかけてきた。

まるで、初対面で親子だと分かるのが当たり前だと言わんばかりの言動に、スラッルス・トークンは、ムッとする。

分かるわけないだろう、と一刀両断にしてやりたいが、スラッルス・トークンと自称父以外もいる場所で言うことではない。

「父親は死亡していると聞かされてきたから、初対面の人に父だと名乗り出られても、俺には誰だか分からない。」
とスラッルス・トークン。

スラッルス・トークンは、理性的であろうと言葉を選ぶ。

「私が父親だと分からないだって?スラッルスは、本気で言っているのかな?」
と驚くスラッルス・トークンの自称父。

スラッルス・トークンは、イラッとした。

「分かる要素がどこにあるのか、胸に手を当てて考えてみろ、という言葉を大の大人に向かって吐くことになるとは思わなかったけど、あえて言う。

胸に手を当てて考えてから発言したらいい。」
とスラッルス・トークン。

「胸に手を当てたところで何も変わりっこないけど、スラッルスには、何か変わるのかい?」
とスラッルス・トークンの自称父。

スラッルス・トークンの自称父は、心底不思議そうにしている。

「胸に手を当てて考えてみれば、というのは、思い当たることがないのか、あるだろう、反省してからものを言えという皮肉だから。」
とスラッルス・トークン。

スラッルス・トークンの自称父は、皮肉が通じない大人なんだ、と思うと、スラッルス・トークンは、どっと疲れた。

生まれたての赤ん坊に会いにこないだけでなく、何年も妻子を放置するような男だ。

期待してはいけない。

スラッルス・トークンは、すぐに気を引き締めた。

何にせよ、父を自称する男に一言言ってやらないと気がすまない。

「生きていて、名乗り出る気があったにしても、名乗り出るのは、今じゃない。

もっと前に名乗り出てきてくれたら、誰も傷つかなかったのに。」
とスラッルス・トークン。

スラッルス・トークンの恨み言は、スラッルス・トークンの自称父の耳を華麗に通り抜けていった。

「話がとんだから元に戻すけれど、スラッルスは、私が父親だと分からないんだね?」
とスラッルス・トークンの自称父は、真剣に聞いてくる。

「俺の父親の外見的特徴なんて、誰も俺に教えようとしなかった。」
とスラッルス・トークンは硬い声を出す。

「教わらなくては分からないとでも言うのかい?」
とスラッルス・トークンの自称父。

「教わっても分からない。」
とスラッルス・トークン。

「君は、誰だ?」
とスラッルス・トークンの自称父。

「父親を名乗り出ておきながら、何を。」
とスラッルス・トークン。

「私の息子なら、私が父親だと分かる。

どこにいても、親子の結びつきは永遠に無くならない。

つまり、君は、私の息子ではない。

私の息子の体の中にいる君は、誰だ?」
とスラッルス・トークンの自称父。
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