761 / 800
第9章 2年目のニンデリー王立学園での生活は、波乱含みの授業参観から。
760.マーゴット。デコった杖を使っていたパメラ・ブルダムは、魔導具で切り取られた空間から弾き出されて、連れてこられた地下にはいない。
しおりを挟む
マーゴットとキャスリーヌは、空間を上下に移動させる魔導具の起動が止まった、と感じた。
切り離されていた空間が、開放される。
この先、何が起きるか、想像もつかない。
警戒を怠らないにしても。
この地下から脱出する方法を手探りで探さなくてはならない。
地下まで空間ごと人を降ろす魔導具は、地上にいる人を地下に連れてくるだけの一方通行のもの。
ニンデリー王国側の3人の様子から察するに。
地下に降りてきた人が、誰にでも分かる形で、地上に戻った記録がないか、記憶がない。
つまり。
地下に降ろされた人は、生きて帰れる、とは思われていない。
ニンデリー王国の貴族である1日教授の護衛が、マーゴット達を包囲するのに間隔をあけていたのは。
上下に移動する魔導具の起動時に巻き込まれないように注意喚起がされていたからではないだろうか。
魔導具が起動したときの空間に入っていたら、助からない、という注意喚起が。
というのも。
切り取られた空間の中にいる人を空間ごと上下に移動する魔導具が切り取った空間の中に、ニンデリー王国側の人物は、3人。
マーゴット達に魔法攻撃をしかけた、ニンデリー王国貴族の学生の母。
マーゴット達に拘束の魔導具を投げつけた、ニンデリー王国の平民の学生の母。
スラッルス・トークンに対して、恩人に従えと言っていた、ニンデリー王国貴族の1日教授の助手の肩書きでいた執事の格好をした青年。
この3人だけ。
魔法を使える人なら、マーゴット達の側にもう1人いたのに。
魔導具が起動する直前にマーゴット達へ攻撃をしかけた人物は、魔導具で切り取られた空間の中にいない。
その名は、パメラ・ブルダム。
魔導具が起動したときに、パメラ・ブルダムだけは、切り取られた空間から弾き出された。
パメラ・ブルダムが、魔導具の起動後に空間から弾き出された理由は、不明。
可能性としては、魔導具の規定する魔力量の基準を超えたから、余分だと弾き出されたのかもしれない。
魔導具の起動条件にそぐわない存在だから、魔導具が切り取った空間から弾き出されたのかもしれない。
分からないことだらけ。
分かるのは、死にたくないなら、自分で戦って生き残るしかない、ということ。
マーゴット達は、周りを囲まれていた。
人ではない、人型の顔のない人形が、ズラズラと何体も、マーゴット達の周りを幾重にも取り巻いている。
人型の顔のない人形は、切り取られていた空間が、周りに溶け込んだ瞬間に動き出した。
「始め。」
とマーゴット。
マーゴットは、3番目の兄ハーマルの手をしっかりと繋ぐ。
切り離されていた空間が、開放される。
この先、何が起きるか、想像もつかない。
警戒を怠らないにしても。
この地下から脱出する方法を手探りで探さなくてはならない。
地下まで空間ごと人を降ろす魔導具は、地上にいる人を地下に連れてくるだけの一方通行のもの。
ニンデリー王国側の3人の様子から察するに。
地下に降りてきた人が、誰にでも分かる形で、地上に戻った記録がないか、記憶がない。
つまり。
地下に降ろされた人は、生きて帰れる、とは思われていない。
ニンデリー王国の貴族である1日教授の護衛が、マーゴット達を包囲するのに間隔をあけていたのは。
上下に移動する魔導具の起動時に巻き込まれないように注意喚起がされていたからではないだろうか。
魔導具が起動したときの空間に入っていたら、助からない、という注意喚起が。
というのも。
切り取られた空間の中にいる人を空間ごと上下に移動する魔導具が切り取った空間の中に、ニンデリー王国側の人物は、3人。
マーゴット達に魔法攻撃をしかけた、ニンデリー王国貴族の学生の母。
マーゴット達に拘束の魔導具を投げつけた、ニンデリー王国の平民の学生の母。
スラッルス・トークンに対して、恩人に従えと言っていた、ニンデリー王国貴族の1日教授の助手の肩書きでいた執事の格好をした青年。
この3人だけ。
魔法を使える人なら、マーゴット達の側にもう1人いたのに。
魔導具が起動する直前にマーゴット達へ攻撃をしかけた人物は、魔導具で切り取られた空間の中にいない。
その名は、パメラ・ブルダム。
魔導具が起動したときに、パメラ・ブルダムだけは、切り取られた空間から弾き出された。
パメラ・ブルダムが、魔導具の起動後に空間から弾き出された理由は、不明。
可能性としては、魔導具の規定する魔力量の基準を超えたから、余分だと弾き出されたのかもしれない。
魔導具の起動条件にそぐわない存在だから、魔導具が切り取った空間から弾き出されたのかもしれない。
分からないことだらけ。
分かるのは、死にたくないなら、自分で戦って生き残るしかない、ということ。
マーゴット達は、周りを囲まれていた。
人ではない、人型の顔のない人形が、ズラズラと何体も、マーゴット達の周りを幾重にも取り巻いている。
人型の顔のない人形は、切り取られていた空間が、周りに溶け込んだ瞬間に動き出した。
「始め。」
とマーゴット。
マーゴットは、3番目の兄ハーマルの手をしっかりと繋ぐ。
11
お気に入りに追加
118
あなたにおすすめの小説

冤罪をかけられた上に婚約破棄されたので、こんな国出て行ってやります
真理亜
恋愛
「そうですか。では出て行きます」
婚約者である王太子のイーサンから謝罪を要求され、従わないなら国外追放だと脅された公爵令嬢のアイリスは、平然とこう言い放った。
そもそもが冤罪を着せられた上、婚約破棄までされた相手に敬意を表す必要など無いし、そんな王太子が治める国に未練などなかったからだ。
脅しが空振りに終わったイーサンは狼狽えるが、最早後の祭りだった。なんと娘可愛さに公爵自身もまた爵位を返上して国を出ると言い出したのだ。
王国のTOPに位置する公爵家が無くなるなどあってはならないことだ。イーサンは慌てて引き止めるがもう遅かった。

私はもう必要ないらしいので、国を護る秘術を解くことにした〜気づいた頃には、もう遅いですよ?〜
AK
ファンタジー
ランドロール公爵家は、数百年前に王国を大地震の脅威から護った『要の巫女』の子孫として王国に名を残している。
そして15歳になったリシア・ランドロールも一族の慣しに従って『要の巫女』の座を受け継ぐこととなる。
さらに王太子がリシアを婚約者に選んだことで二人は婚約を結ぶことが決定した。
しかし本物の巫女としての力を持っていたのは初代のみで、それ以降はただ形式上の祈りを捧げる名ばかりの巫女ばかりであった。
それ故に時代とともにランドロール公爵家を敬う者は減っていき、遂に王太子アストラはリシアとの婚約破棄を宣言すると共にランドロール家の爵位を剥奪する事を決定してしまう。
だが彼らは知らなかった。リシアこそが初代『要の巫女』の生まれ変わりであり、これから王国で発生する大地震を予兆し鎮めていたと言う事実を。
そして「もう私は必要ないんですよね?」と、そっと術を解き、リシアは国を後にする決意をするのだった。
※小説家になろう・カクヨムにも同タイトルで投稿しています。

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
聖女召喚されて『お前なんか聖女じゃない』って断罪されているけど、そんなことよりこの国が私を召喚したせいで滅びそうなのがこわい
金田のん
恋愛
自室で普通にお茶をしていたら、聖女召喚されました。
私と一緒に聖女召喚されたのは、若くてかわいい女の子。
勝手に召喚しといて「平凡顔の年増」とかいう王族の暴言はこの際、置いておこう。
なぜなら、この国・・・・私を召喚したせいで・・・・いまにも滅びそうだから・・・・・。
※小説家になろうさんにも投稿しています。

【完結】元婚約者であって家族ではありません。もう赤の他人なんですよ?
つくも茄子
ファンタジー
私、ヘスティア・スタンリー公爵令嬢は今日長年の婚約者であったヴィラン・ヤルコポル伯爵子息と婚約解消をいたしました。理由?相手の不貞行為です。婿入りの分際で愛人を連れ込もうとしたのですから当然です。幼馴染で家族同然だった相手に裏切られてショックだというのに相手は斜め上の思考回路。は!?自分が次期公爵?何の冗談です?家から出て行かない?ここは私の家です!貴男はもう赤の他人なんです!
文句があるなら法廷で決着をつけようではありませんか!
結果は当然、公爵家の圧勝。ヤルコポル伯爵家は御家断絶で一家離散。主犯のヴィランは怪しい研究施設でモルモットとしいて短い生涯を終える……はずでした。なのに何故か薬の副作用で強靭化してしまった。化け物のような『力』を手にしたヴィランは王都を襲い私達一家もそのまま儚く……にはならなかった。
目を覚ましたら幼い自分の姿が……。
何故か十二歳に巻き戻っていたのです。
最悪な未来を回避するためにヴィランとの婚約解消を!と拳を握りしめるものの婚約は継続。仕方なくヴィランの再教育を伯爵家に依頼する事に。
そこから新たな事実が出てくるのですが……本当に婚約は解消できるのでしょうか?
他サイトにも公開中。

調子に乗りすぎて処刑されてしまった悪役貴族のやり直し自制生活 〜ただし自制できるとは言っていない〜
EAT
ファンタジー
「どうしてこうなった?」
優れた血統、高貴な家柄、天賦の才能────生まれときから勝ち組の人生により調子に乗りまくっていた侯爵家嫡男クレイム・ブラッドレイは殺された。
傍から見ればそれは当然の報いであり、殺されて当然な悪逆非道の限りを彼は尽くしてきた。しかし、彼はなぜ自分が殺されなければならないのか理解できなかった。そして、死ぬ間際にてその答えにたどり着く。簡単な話だ………信頼し、友と思っていた人間に騙されていたのである。
そうして誰もにも助けてもらえずに彼は一生を終えた。意識が薄れゆく最中でクレイムは思う。「願うことならば今度の人生は平穏に過ごしたい」と「決して調子に乗らず、謙虚に慎ましく穏やかな自制生活を送ろう」と。
次に目が覚めればまた新しい人生が始まると思っていたクレイムであったが、目覚めてみればそれは10年前の少年時代であった。
最初はどういうことか理解が追いつかなかったが、また同じ未来を繰り返すのかと絶望さえしたが、同時にそれはクレイムにとって悪い話ではなかった。「同じ轍は踏まない。今度は全てを投げ出して平穏なスローライフを送るんだ!」と目標を定め、もう一度人生をやり直すことを決意する。
しかし、運命がそれを許さない。
一度目の人生では考えられないほどの苦難と試練が真人間へと更生したクレイムに次々と降りかかる。果たしてクレイムは本当にのんびり平穏なスローライフを遅れるのだろうか?
※他サイトにも掲載中

こちらの異世界で頑張ります
kotaro
ファンタジー
原 雪は、初出勤で事故にあい死亡する。神様に第二の人生を授かり幼女の姿で
魔の森に降り立つ 其処で獣魔となるフェンリルと出合い後の保護者となる冒険者と出合う。
様々の事が起こり解決していく

魔法が使えない令嬢は住んでいた小屋が燃えたので家出します
怠惰るウェイブ
ファンタジー
グレイの世界は狭く暗く何よりも灰色だった。
本来なら領主令嬢となるはずの彼女は領主邸で住むことを許されず、ボロ小屋で暮らしていた。
彼女はある日、棚から落ちてきた一冊の本によって人生が変わることになる。
世界が色づき始めた頃、ある事件をきっかけに少女は旅をすることにした。
喋ることのできないグレイは旅を通して自身の世界を色付けていく。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる